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Wizard of Defect  作者:
【第二部 狭間の姫君】
23/38

プロローグ『シア』

久々の更新です


 私は、呪われた子として、この世に生を受けた。

 だから、家族にも嫌われた。必要とされなかった。


 だから、私は『愛』を知らない。

 家族の愛を知らない。愛することを知らない。

 物心ついた時には既に一人だった。周りには、身の世話をする侍女や、私に勉強などを教える教師しかいなかった。

『忌み子』。気付いたときには、周りからそう呼ばれていた。


 私は家に縛られた。

 絶対に必要とされないのに、私は家に縛られ続けた。

 教育を受け、技を知り、知識を知る。毎日、毎日、それの繰り返し。

 それはまるで光のない、暗闇の日々。


 でもそんな私にも、唯一の楽しみがあった。

 お伽噺や英雄譚など――古今東西のあらゆる物語を読むこと。それが私の楽しみだった。

 

 その数ある物語の中でも私が好きだったのは、【剣聖・グラン】の物語だった。

 エリムベルム大陸最大の戦争、『統一戦争』で剣国【グランティカ】の始祖となった、剣聖と呼ばれた男、グランの物語。

 数々の武勲、戦績、戦勝話。グランにまつわる全ての物語は、私を熱く高揚させ、昂ぶらせた。

 だからこそ、私は『剣士』というモノに憧れた。

 性別が女である以上、それは目指してはいけないモノだったかもしれない。しかし、それでも私は剣に憧れた。

 その輝きに、魅せられたのだ。


 それと同時に、私はその存在にはなれない――なってはいけない――ということも、幼いながらも理解していた。


 私はその存在に為るだけの――資格が、ない。

 鳥籠の少女。箱の中の少女。

 其処に自由は無く、在るのは束縛。

 それが、私。

 

 けど、小さな救いはあった。 

 私が読んできた、数々の物語は共通して幸せな結末(ハッピーエンド)で終わっている。決して。不幸な結末(バッドエンド)なんて無かった。

 だから私にも、きっとハッピーエンドが来る。この鳥籠から救けだしてくれる誰かが来てくれる、そう信じていた。

 それは、夢見がちな少女の、勝手な願望だっただろう。

 けど確かに、そう想うことで幼い私が救われていたのも確かなのだ。


 幼い私は、夢を見る。


 ――何時の日か、この鳥籠から救け出してくれる、私の英雄が現れてくれる夢を。


 そしてその夢は、叶うことなく、叶わぬ夢として、私の中で消えていった。


更新速度が遅くなると思いますが、頑張って書きます。

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