もしもバトル小説の登場人物とナレーションの文章力が壊滅的だったら
「俺の名前は田中信弘、普通の人です。」
そう、この男が主人公である。
「俺は、喧嘩で負けた事は無い。そう、負けた事は無い。」
負けた事は無いのである。
「そして・・・負けまくっているのが横にいる吉田幸作。そう、吉田だ。・・・えっと・・・うん、吉田だ。」
吉田である。
「吉田です。」
吉田である。
「僕はそう、吉田、そう僕は吉田。吉田です。」
吉田である。
「何か知らんけど展開的に・・・そう、勝負!」
勝負である。
「おりゃあ!」
なんかもう凄い音が鳴った。
「ハーイゴメンナサーイマケマシターシニマース。」
死んだ。
「俺は、そう、負けない。絶対に。めっちゃ強くなる。なりたい。いや、なる!」
なるらしい。
「この拳と、お袋と、死んだ親父と、・・・親父と・・・死んだ隣のミケと、やっぱ死んでない。
・・・なんかめっちゃ色々あるけど・・・そう、俺には色々ある。から負けたりとか無い。強い。だから負けない。」
だけどそれは色々あったからそういうことになったんであって、決してムカつくから人殴るわけでないのである。
「借金があって、喧嘩したら金がもらえる。から。人を殴る。殺す。金が手に入る。から。お袋が泣く。
でもそうしないと死ぬ。だから殴る。殺す。そんでボブから依頼が来る。殺す。ボブが・・・じゃなくて、間違えた。
金が・・・てぎっ手に入って、殺す。」
殺すのである。
「でもボブ悪いやつだからいつか殺す。」
殺すのである。
「ボブのせいで親父が死んだかもしれないから殺す。」
殺すらしい。
「オウ、素晴らしいねミスター田中!いい働きしてるよ!バリバリだよ!凄いよ!
凄い働きしてるよ!」
ボブである。
「働いたから金くれ。」
金を要求している。
「ソーリー!ギャンブルで使い果たしたよ!ゴメンね!払う金無いよ!無一文だよ!すっからかんだよ!
言うなればボロ雑巾ね!ホームレスね!仕事無いよ!つまり金が払えないよ!」
早い話がノーマネーである。
「今、俺は、ムカついている。なぜなら、そう、たった今自分のことをボロ雑巾と言ったこの、・・・えー・・・
ボロボロの・・・こう・・・ボロイ・・・ボロ・・・えー・・・」
「無理しなくていいよ!」
「このボブ雑巾め!死ね!」
ボブ雑巾の体が凄いことになる。
「体が凄いことになってるね!痛いよ!」
痛いのである。
「どうだ、痛いか!」
「痛いよ!」
痛いのである。
「お前は数分後には!」
「遺体よ!」
遺体である。
「オーマイガ!割と貴重なそれなりの文章力を備えた人が死んでしまうよ!いいのか!?」
死んでしまう。
「ヤバイかもしれない。これは凄くヤバイ。ものすごくまずいし、とんでもない事態かもしれない。」
ここで冷静になって考えてみると、明日のご飯の原料になるべき存在とも言える男ボブが死んでしまうと
ものすごく都合が悪いのである。
「確かに結構都合が悪いことが起こっているかもしれないが、もっと冷静に考えてみたら、お前は、
晩御飯ではない。晩御飯になれない。なぜなら、しているから。ハローワーク通いを。
そんで、お前は殺してない。親父を殺していない。」
殺していなかったらしい。
「俺が強いのは、親父も強いからであって、親父は俺よりも強いんだ。だから、お前を今ボブ雑巾に
しているという事は、俺は、お前よりも強い。から、親父は死んでいない。だけど殺す。死ね。」
死んだ。
「私を倒してもまだまだボブの大量生産は続くよ!」
死んでなかった。
「今こうしている間にもボブは作られ続けているよ!そう、ボブは量産されているよ!
そのうちサブとかアブとか作り出すね!」
作られるらしい。
「という事はイブや、ウブ、エブやオブ、カブ、キブ、ケブなんてのも作られていくと言うわけか!?」
それはすごくものすごいことだ、いや、とてつもなくとんでもないことであり、すさまじいことである。
「フフフ、そしてそのイブや、ウブ、エブやオブ、カブ、キブ、ケブなんかはこのボブなんかよりも凄いよ!
ものすごいよ!大分なんてもんじゃない、結構ヤバイ文章力よ!」
ヤバイのである。
「そんなにヤバイのか。」
ヤバイのである
「ヤバイな。」
ヤバイのである。
「だが、そんなのは関係ねえ。俺は、そう、この先どんなイブや、ウブ、エブやオブ、カブ、キブ、ケブが
待ち構えていようと、イブ雑巾や、ウブ雑巾、エブ雑巾やオブ雑巾、カブ雑巾、キブ雑巾、ケブ雑巾
にしてやるだけだ。」
雑巾祭りである。
「俺の、いや、俺とお袋と死んだ親父と・・・とにかく色々な人たちと・・・そう、色々な人たちの戦いは、
まだまだ続く、いや、そう、始まったばかりであって・・・終わりが見えることは無い・・・
違う、終わりは見える。いつか。でもそれがいつになるかはわからないけど、まあ、これから始まる。」
始まるのである。
続かないのである。