ただ、君に……。
ただ、君に振り向いてほしくって、一生懸命努力した。
料理教室にも通ったし、仕事だって今までより頑張ったし、
それに、何よりも気遣いや君への想いを忘れたことはない。
ただ、私は君に振り向いてほしかった。 それだけを望んでた。
この想いを誰に伝えればいい?
夜な夜なそんなことで悩んだことがある。
君に直接伝えたらどうなるのかな?
そんなことを考えて、眠れなくなったことは数知れず。
だけど、君に告白なんてできない。
君の前に立つだけで顔が真っ赤になって、
話すとカミカミで、明らかに不自然で……。
そんな私が君に告白しようとしたらどうなると思う?
きっと、泣き出すんじゃないかな? わけがわからなくなって(笑);
だけどね、私はそれくらい本気なんだよ?
そのくらい君だけを思っていたんだよ?
だけど、叶うことがなかった片思い。
君はなんで、逝ってしまったのだろう。
私が好きって伝えていれば、君は死ななかったのかな?
何を抱えていたのかはわからない。
だけど、君はいつも私から見たら幸せそのものだった。
見とれてしまうぐらいの笑顔。 私の全て。
言葉じゃ表しきれないほど、君への想いはいっぱいある。
だけど、私が見ていた君は、ほんの一部だったらしい。
何を抱えていたのか、私は全く気付くことができなかった。
知らせを聞いて、驚いた。 ただただ、驚いた。
なんで君が? 事故? 事件? え、何??
私は色々なことを考えた。 けれど、どれもがハズレ。
君は自殺だった。 なんでかはわからないけれど。
ご両親はすでに、この世にはいなくって、
血縁者は、顔見知り程度の遠い遠い親戚だけだから、
遺体は取りに来るけれど、密葬するって聞いた。
なんで、私は君に手を合わせることもできないんだろう。
私はただ、知らせを聞いて泣いた。
君が死んで悲しくって、っていうよりも、
私の不甲斐なさが何とも言えなくて、涙が出た。
もし、あの日、
君が帰宅する前に、私が声をかけてたら、
告白をしなかったにしろ、声をかけることができていたら。
もしかしたら、君はこの世にまだ、いたのかな?
私は悲しいよ。 君がこの世にいない現実が。
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