第九話 ダブルコムラード
椿「さあさあ始まるよコンタクト・ブレイブスの第九話!」
???「なんで僕まで連れてこられてるんですか?姉さん。僕は本編で名前しか出てませんよ。それも一回だけ」
椿「あたしがこれから数話出番がないからね」
???「答えになってませんよ」
椿「あんたは姉一人に仕事を押し付けるのかい?」(うるうる)
???「分かりました分かりましたから!」
椿「桜花はやさしいねえ」(けろっ)
桜花「こっちだって楓姉さんのことで忙しいんですからね」
椿「分かってるよ。じゃあいくよ。せーの、」
椿・桜「第九話ダブルコムラード。ぜひ見ていってください!!」
「りゃあ!」
周囲の猿型のモンスターを一蹴。
コウキは紅蓮の剣PL・クリムゾンカリバーを構えなおす。
今回のクエスト『ディアゴルガの撃退』を受けたはいいものの、現在の状況はあまりいいとはいえなかった。
あれ以来ノイズに関して情報を集めていたコウキ達だったが、全く以て何も解っていない。
そんなときにこのクエストを見つけた。
コロニーで受注するクエストでありながら惑星ジィグラのクエストでもある。普通はコロニーでは人類未踏の地の探索や犯罪国家を倒すなどでない限り、他の星のクエストが並ぶことはまずない。だから、これにも何かあると思った訳だが……。
実際はジィグラで人が集まらず、事態が緊迫してきたからコロニーに回されただけだった。
「風周刃」
風の刃が黒ローブのエルフの青年の周囲で乱れ踊る。
猿型―――ディアゴルガは突風と刃の二種類のダメージを受け飛ばされる。
その魔法を放った青年はコウキの友人のシュネルだ。
今ここにいるのはこの二人のみ。
それには少々理由がある。
コロニーのクエストの難易度は低と高の二つが多く、真ん中程の物は少ない。よってコロニーには上位ランカーか初心者しかいないような状態だ。このクエストの難易度はD-というのもあり玄人には目を向けられず、素人では手が出せない。また数少ない中堅レベルの者も危険な状態になったから回されたというのを理解して怖気づく。
そこに中堅なりたてで、そして調査の為に手段は選べないこの二人が来たのだ。
ジィグラへ行く渡航許可証の為というのもある。
だがもう少し考えるべきだったのだ。
二人のプレイヤーに対して無数ディアゴルガ。
ここまでよく放置されてきたものだ。
「これは無双ゲームじゃないぞ?」そんなことを考えつつ二人は群れへの攻撃を再開した。
* * * * *
コロニーのクエストカウンターに生気の抜けた二人の姿があった。
勝ったのだ。
頭数の分だけ能力を下げられていたのが救いだった。
コウキの全身を疲労感が襲う。
やり遂げた疲れではない。作業感漂うクエスト。長時間労働。体感あり。これは本当にゲームなのか?実は異世界に飛ばされて扱き使われてるんじゃなかろうか?
そう思える程に疲弊していた。
「ゲームってさ、遊びなんだよね?」
シュネルもどうやら同じことを思っていたようだ。
「あ~もう!なんでRPGの主人公バリにトントンと進まねえんだよっ!」
「もしくはどこぞの名探偵みたいの手掛かりが簡単に見つかったりとかな」
不満しか湧いてこなかった。
最初こそ意気込んでたシュネル、やらなくちゃと義務感を感じていたコウキであったが、さすがにハズレしか引かない、またはハズレですらこないことばかりしていればだれる。
ブロークエッジもあの時の活躍が嘘だったかのようにビームナイフしか出ず、威力も初期に支給された剣の方がマトモな位だ。
あのことは夢だったんだろうか。
夢であればこれまでの努力は水の泡である。が、そうであれば危険なことなどないという安心感もあり、どちらであってほしいとも思えないのであった。
「あなた方がノイズを調べている方達ですか?」
「はい?」
知らない声に尋ねられそちらを向く。
そこにいたのは理知的な感じのメガネを掛けた白衣の青年とくノ一の格好をした鋭い目つきの妖精の幼女だった。
いや、幼女じゃない。背は大体130センチ位であるが、よく考えてほしい。身長130センチの妖精というのは大きすぎないか?こうなっているのは、妖精の小ささと、大きさによる差別化のし過ぎを防ぐためだと聞いたことがある。
かえって面倒くさいのではないかとコウキは思ってしまう。一瞬間違えてしまったし。
まあ現実のプレイヤーが幼女である可能性は低いが。
「コウキさんにシュネルさんですね」
「そうですが」
「私達はあなた方がノイズについて調べていると聞いて来ました」
「………」
情報提供、その可能性は決して高くない。
成果の割に噂だけは広まってしまっているのだ。
噂だけならまだマシで、たまに冷やかしに来る者も何人かいた。なのに有益なことはなし。
今回もそうであるかもしれない。
「私もノイズに遭遇しまして、あれについて何が起こっているのか知りたいのです」
いかにも丁寧な口調だが、これが冷やかしの手口であるのならば性質が悪い。
こういう場合は、
「どうやって、助かりました?」
この質問に、実際に遭っていないのであれば的確に答えられない。
もう何度もした質問に諦めの色が浮かんでいた。さきほどの疲労も乗せられている。
「助かったというよりですね、銀髪の少年がノイズといっしょにいるのを見たのです」
「……!?」
「あれは空間を破壊していました。このゲームを作っている方達がそのような危険なことをするとは思えないのです。ですから私は知りたいのです」
彼は本当に知っているのだ。
彼の言葉には強い決意が感じられた。
初めての志願者、それがここまで頼もしい人物とは。
「あなたみたいな人を待ました!よろしくお願いします。…えーっと、お名前は?」
「ああ、ついノイズのことばかり話してしまいましたね。自己紹介がまだでした」
そう言うと柔和な笑みを浮かべて礼をしてくる。
「私はディエゴ・サベルと申します。ディエゴとお呼びください。こちらは連れの……」
「…ブリネナ」
紹介された彼女はボソッと呟いた。
言葉からも表情からも感情を読み取れない。
「ブリネナちゃん笑って。君は笑ってた方が可愛いと思うよ」
まるで小さな子供に語りかけるようにシュネルが言った。言ってしまった。
シュネルの喉に小太刀が突きつけられる。
一瞬すら遅く感じるほどの速さで接近していた。反応もできず気配も感じられなかった。
「小僧」
「は、はい!」
「話す相手を見て言葉を選べ」
「はいっ!!」
ブリネナが元の位置に戻る。
シュネルの足がガクガク言っていた。彼女の言葉の通りだと思う。普通見たまま言葉を選んだらシュネルみたいな言葉になると思うが。
「ではこちらも。俺はコウキっていいます。さっき失礼をした方がシュ…シュネルです」
一瞬頭の中をあの長い名前を言おうかという考えがよぎったが、やめておいた。
互いに自己紹介が終わった後に握手を交わす。
ブリネナ以外が席に着き話し合いを始める。
シュネルはブリネナの方を見ていた。しかし、いつもの女性に対する失礼なものではなく、恐怖からきたもののようだ。
「ところで、調査には紅龍一族が関わっているとも聞いたのですが、どちらがそうなのでしょうか」
ディエゴが勘違いした質問をした。
まあここら辺で積極的に調べているのはこの二人だし、なあたんはログインすることが少ない為そう思われたのだろう。
「椿さん、えっと紅龍一族の人なんですけど、彼女は普段は別行動を取っているんです」
「ほう…そうですか」
少し残念そうだ。有名人に会えるかもしれない期待が弱まったからだろう。
「ノイズについて何か解っていることは?」
「こちらも銀髪の少年が関係があることしか。あ、あとノイズに触れた人は消えるんです」
「消える?」
「はい。目の前で人がノイズに飲まれて消えたんです。その人がどうなったかは解ってません」
「なるほど」
聞いたことをディエゴはメモしていく。そうやって聞いてくれるとこちらも心地がいい。
「それとノイズでおかしくなったモンスターに会いました」
「モンスターの異常ですか」
「コウキ。他にもあるじゃんか」
真面目な会話が苦手で今まで会話に加わろうとしなかったシュネルが、コウキに指摘するために言った。
「他?」
「ほら、あれだよ。ブロークンエッジのこと」
「ああ」
こちらの会話にディエゴは首をかしげる。
「ブロークンとは、あの希少武器のことですか?」
「そうです。ノイズでおかしくなったモンスターには普通の攻撃は効きませんでした。他のブロークンは知りませんが、俺のブロークンエッジだけが効いたんです」
「なんとも興味深いですね」
「それでコウキが行動部隊で、俺が聞き込み部隊って分かれてるんだ」
「ノイズに遭遇した際に対処できるのがコウキさんしかいないのでは妥当ですね」
それ以降は話すこともなくなった。
では、次は動くべきなのだろうが、
「少し休ませてください。すごい疲れたんです」
どんなに意気込んでも身体の疲れがとれるわけではない。
三十分後にまた集まる約束をしてコウキとシュネルはコロニーの自室に戻っていった。
いやあ、執筆がいいペースでできると気持ちがいい。
宿題もそうできればいいのに。
やれないのは自分のせいなんですけどね。
始まりました『調査編』。
序章は終わり、物語は動き出す。
そうそう、先日ネーミング辞典なるものを買いまして、なんと日本語を13ヵ国語に翻訳できるのです。
今回にキャラのディエゴ・サベルとブリネナはこれを使いました。
ディエゴはスペイン語で英語のジェームス、サベルはスペイン語の知るという意味です。ブリネナはスペイン語の霞という意味のネブリナのアナグラムです。
これでネーミングが楽になりました。
感想とかアドバイスとか書いてくれると嬉しいです!
ではまた次回!!