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第八話 シルバーヘレティック

椿「あたしがここをやるのは初めてだね」

椿「今回はまあ、これと言っておもしろいことはないんだけどね」

椿「でも重要な回だから見逃すんじゃないよ」

椿「それじゃあ行こうか!」

 銀の少年、その手によって周囲の異常が治まった。

 異常な事態の収拾はやはり異常だった。

 一体なんだったのだろうか。

 少年がコウキの元へ歩いてくる。

 そして手に持っていた剣をコウキへ向けた。

「貴様、死にたいか?」

 唐突な問いだった。

 なんの意図があるのかは解らないが、これに“はい”と答える気はない。

「死にたくないというなら、このゲ…こんなものには関わるな」

 そういって立ち去ろうとする。

「ま、待って」

 制止の声は無視されどこかに行ってしまった。

 途中飲み込んだ言葉はなにを言おうとしたのか。いや、内容は変わらないだろう。

「なんだったんだい、一体」

 椿達がやってくる。

 コウキは敵に攻撃がそもそも当たっていなかったこと、ブロークンエッジのこと、そして先程の少年と彼が言い残したことを話した。

「ずいぶん感じ悪いやつだなそいつ」

 シュネルのつぶやきは至極もっともだった。

 オンラインゲームでする言葉づかいではないだろう。

 だけど、その言葉には鬼気迫るものもあった。

「そいつはコウキ君が食糧プラントで見たやつと同じだったんだね?」

「そうです」

「そうか……」

 椿が考え込んでしまう。

 やはりノイズにはあの少年が関わっているのだろうか。

 ならあの言葉も脅しではないのか?それならば彼も危険ということじゃないのか?

「……ちょっとあたしは先に帰るよ」

 椿は急いで戻って行った。

 彼女はコウキ達よりもこのゲームのことについて詳しい。

 きっとなにか思うことがあったのだろう。

 ノイズの手掛かりはなし。椿もどこかへ行って、あの少年の手掛かりもなし。これで今できることはなくなってしまった。

 それにしても、

「なあたんさんなにかあった?」

「え?」

 なあたんはさっきから一言もしゃべっていない。

 それに立ち位置も少しコウキから離れている。

「コウキさん」

「うん」

「大丈夫ですか?」

 掛けられたのはそんな言葉だった。

「これといったダメージを受けてないし、ノイズに触れたわけでもないし問題ないよ」

「そうじゃなくて……」

 そうじゃないとは、なんのことを言っているのだろうか。

 彼女の表情は心配というよりはむしろ怯えに近い気がする。

 それもコウキに向けられている。

「……狂化」

「え?」

「狂化をしてるときのコウキさんは、まるで獣のようでした」

「確かになあ。ゲームにしちゃ本当に狂化してるみたいだったぜ」

「………」

 言われてから、コウキは自分でも恐くなってくる。

 狂化を発動したとき、目の前の敵を倒すことしか考えられなかった。理性など存在しない。雰囲気や流れで気分が乗ったのではない。思考が書き換えられたようだった。

 ノイズの影響なのか、それとも別のことなのか。

 異変は、様々なところで起こっているのかもしれない。


 三人はクエストカウンターに戻ってきていた。

「フレイ・ディラグの討伐お疲れ様でした。報酬の2200テルスです。それから『あたしの分の報酬は三人で分けてくれ』と椿さんが伝えてくれと言っていました」

 椿の分も加えて一人2930テルスを受け取る。

「そちらでのノイズの調査はどうなっていますか?」

 コウキはリセフ(クエストの受付はどこでもリセフがやっている)に聞いてみた。

 あれだけ大きな事が起こったのだ、何かしらは掴めているだろう。

「ノイズ、ですか」

「はい」

「そのような報告は受けておりませんが、何かあったのですか?」

 返ってきたのは信じられない言葉だった。

「報告はないってどういうことですか!?俺は昨日管理局に報告しました!」

「しばらくお待ちください」

 リセフの動きが完全に静止する。管理局と通信をしているようだ。

「やはりそのような報告はありませんが」

 またも同じ回答だ。

 調査が行われていない以前に報告すらいっていないのか。

「でも俺は……」

「行こうぜコウキ」

 シュネルに無理やり引っ張って行かれた。

 席に着きシュネルはコーヒーを注文する。

「どうする?その銀髪は危険だって言ったんだよな」

「ああ」

「それに公式にも連絡が行ってないし」

 事態は深刻なものだが、シュネルの口調は割と軽かった。

 コーヒーを口に含みなんともくつろいでいる。

「でも、だから俺達がやらないと。椿さんも動いてるし」

「このことを知ってるのは俺らくらいだからな。なんかアニメやマンガの主人公みたいでワクワクしてきた。紅龍一族とももっと知りあえるかもしれないし」

 そう言ったシュネルの顔はニヤけていた。“主人公”でハーレムでも想像したのかもしれない。

 そこになあたんが戻ってきた。

「掲示板に似顔絵を張っておきました」

「いやあ助かるよ」

 こいつは多分コウキの意見は聞かずとも調査をしていたんだろう。

「これでもっと情報が集まればいいんですけど」

 コウキはブロークンエッジを取り出す。

「調査するにしても、ノイズに攻撃できるのはこれだけなんだよな」

 この二人がノイズに遭ったら危険だ。

 その場合はどうするのだろうか。

「つまりだ。前線はお前に任せて、俺達は情報収集すればいいんだろ?」

「まあそうなるか」

 となるとすることは決まった。

「早速だけど聞き込みに行くか」

「あれ?クエストに行くんじゃないの?」

 なぜか残念がられる。

「前線に行くんだから強い武器が必要だろ。折角高い報酬を貰ったんだから武器屋でなんか買うついでに情報集めもしようと思って」

「ああ、そうだよな。…はあああ」

 恨みがましくなあたんを見るシュネル。

 なあたんと二人だけで行きたかったんだろうな。こいつのことはよく分かる。

 後ろを向いて小声で愚痴り始めた。

「じゃあ行こうか」

「はい」

 なあたんと出ていこうとする。

 なあたんもシュネル相手のスルースキルを習得してきたようだ。

「……待って!待って!置いてかないで!!」

 こうすればシュネルは付いてくる。


 武器屋に行ってみたがこれといった情報はなし。噂すらたっていなかった。

 ノイズはあまり知られていないのだろうか?

 それとも……。

 あまり考えたくない。

 彼は言っていた。『死にたくなければ関わるな』と。

 ただのゲーム内イベントであってほしい。

 武器も近接武器で買える物ではPL・クリムゾンカリバーを超える物はなかった。

 なので遠距離武器で自分のクラスの得意武器であるブラスターガンを買った。

 ブラスターガンはハンドガンの一種で破壊に特化している。威力が高く、連射も利くが反動が大きい。そういう武器だ。

 それからはなあたんの門限がきたので、シュネルと二人でクエストにいったがノイズには遭わなかった。

長らくお待たせしました!待っている人がいればですが。

今回の話はいつもより短いです。

しかも最後グダグダだし。

ですが、やっておかなければいけないことはやった筈です。

これで短いライトノベル一冊分でしょうか?

次回からは新展開です。

これまでを『遭遇編』としたら次からは『調査編』が始まります。

新キャラもいっぱいだします。

どうか今後の展開(と文章力の進歩)に期待してください。期待できるようになります!

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