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第十六話 スウィーティ・デンジャー

ついに更新!

長らくお待たせしました!待ってましたよね?

 突然の訪問者アマミツを乗せて再び星の海へ飛び出す。

「ああ、久しぶりだなあ」

 アマミツが窓を見つめて呟いた。何となく嬉しそうな感じだ。

「え、何が?」

「あ、こっちの話だから気にしないで」

 そう言われても、隣で足をパタパタさせられたら気になってしょうがない。まあそれは微笑ましいのでそのまま航行する。

 いつもの流れで小惑星帯に差し掛かる。そして右へ左へ、上へ下へ。

「へっ、ほあっ、ひゅぐ、あう」

 隣のアマミツが船の揺れで飛び跳ねる。コミカルな光景に可愛い女の子の組み合わせはずっと見ていたくなる。

 数回それを繰り返した後、ハンドルがアマミツに奪われた。奪い取った彼女の目は、なんというかぐるぐるしていて危険な感じだ。

「うぅ……ジェットコースターも…楽しいけど、ダメ……ちょっと、タイム…」

 息切れを起こし、ハンドルにもたれかかるように操縦するアマミツ。その姿を見ているとコウキは居た堪れない気持ちになり、そっとその場を離れた。

 カックンカックンした動きから、ややぎこちないながらもスムーズな動きに変わる。アマミツの様子も大分落ち着いてきた。

「お兄ちゃん、他の人がいるときはあんなアクロバットなことはしなくていいんだよ?」

「あれが俺の素の実力です…。それとお兄ちゃんって言うのはやめてくれない?」

「はあ……。だからさっきずっと戻ってきてたんだ……」

アマミツに呆れられたような目を向けられた。その視線がとても痛い。でも、人には得手不得手があって当然だと思う。

「ぷふ」

 正面に目を向けたアマミツは唐突に笑った。今のどこに笑うような要素があったのだろうか。操縦技術を笑われたのなら…まあ納得できなくもない。コウキも多分笑ってしまう。

 少々ぎこちない運転の最中、アマミツがコウキに語りかけてきた。

「お兄ちゃんってレースゲーム苦手でしょ」

「…あー、うん」

 苦手分野を知りあってすぐの人物に言い当てられるのは、なんというか恥ずかしい。

 もうお兄ちゃんと呼ぶことについてはノータッチでいくことにする。

 アマミツはもう一度微笑んだ。その笑顔でなんでも許せるような気がしてきてしまう。

「わたしも苦手なんだけど、まさかわたし以上の人がいるなんて思わなかったよ」

 照れたように言うアマミツの顔は人形の完成された可憐さと人間らしさを両立させている。その笑顔につられてコウキも笑ってしまった。

「格ゲーとかアクションは得意なんだけど、レースゲームやシューティングなんかはからっきしなんだよね」

「わたしは格ゲーは苦手かな。でも音ゲーは得意だよ。お兄ちゃんは?」

「俺は音ゲーはそれなりかな。ただ練習不足っていうのもあるけど」

 レースやシューティングは練習しても一向に上達しなかったのだが。

「じゃあいっしょにやろう!わたしがお兄ちゃんを一人前にしてあげる!」

「うん。お願いします師匠」

「お願いされましたぞ、弟子よ」

 そんな会話をしているうちに船は小惑星帯を抜けて運転も安定した。窓の外には星の光と黒い宙だけが見える。一流の船乗りは何もない海でレーダーなんかなくても星を見て航海できるというが、全くできる気がしない。

 それからしばらくたったが、さっきまでが嘘のように今度は何も現れない。それでも舵を取っているということはどこかを目指しているようだ。外を見ても方向が変わっていろとは思えないけれど。

「レーダーがこっちだから、機首を上げて、右に行って、この位で。……微妙にずれた。左に修正っと」

「ところでどこに行こうとしてるの?」

 レーダーを見るとどうやらピッフルグラスではないらしい。それ以外だとどこに行こうとしているのか全く予想できない。

 アマミツは「う~ん」と悩んだ後に悪戯な笑みを見せた。

「ひ・み・つ」

 人差し指を唇の前に立てて言う。こういう仕草の一つ一つがあまりにも似合っている。

 結局聞きだすのは諦めた。なんというか心から楽しそうだったから。

 そこからは順調な航路だった。敵影ひとつなく進んでいく。さっきまでの苦戦ぶりが嘘のようだ。ここまで何もないと不安になってくる。というよりさっきまでもザコ無しで大型が来ているのだ。

 アマミツの表情が期待の輝いているようだ。あそこまでレアコードに引っかかるのはうんざりするが、普通ならなかなかお目にかかれないはずのものだ。なかなかないのだ。

 だけどそんな期待も空しく、目当ての惑星が見えてきた。そこは機械仕掛けで、しかし無骨ではなく華々しくもある。まるで遊園地のようだ。

「ここは……」

「ここはね、娯楽星アミュート。ミニゲームがいっぱいのとってもt……」

 ドクンッ。

 コウキの鼓動が一瞬不安定になった。落ち着かない。なにかあるのか?ノイズが来た感じではない。ではなんだ?

 コウキは突然ハンドルをきった。船体が思いっきり揺れる。

 アマミツの隣から操縦したのでコウキがアマミツに覆いかぶさっているような形になる。アマミツは突然の行動に戸惑い、茫然としながら顔を赤くした。対するコウキな顔は真剣だ。

「な、なにをしようと、きゃあ!」

 再度船体が揺れた。今度はハンドルをきってはいない。発光する弾が飛んで行った。

「何事もなく行きたかったんだけどな!」

 コード・シルバー、コード・シルバー

 この短時間で何度か聞いた警報が鳴り響いた。あと少し、ほんの少しで目的地なのに。

「あ、あ、あああ!?」

 アマミツが叫びながら敵を指さす。突然のことにパニックに陥っているようだ。

「本当に、本当にレアコードなんてあったんだ!!」

 どうやら嬉しいパニックだった。だが起こっている状況は全く喜ばしくない。この船に乗っている二人の実力では多分勝てない。

「……逃げy」

「倒せばレアアイテム♪レアアイテム♪」

 ご機嫌な彼女を止められる程、コウキは成長していなかった。勢いに飲まれてしまった。

 船がある程度近づいたところで敵の周りを旋回する。最初の攻撃以降、敵は行動をしていない。斜め右後ろに下方で敵をロックオンする。

「えいっ!」

 アマミツがトリガーを引き弾を連射した。すると敵はこちらを向き一発だけ弾を撃ってきた。

 ガンガンガンガンガン……。

 それは複数対一でようやく相殺された。

 さらに旋回し再び攻撃な構えを取る。

 トリガーを引くその時、敵は既にこちらを向いていた。

 先程の連射速度と相殺数を考えると、このままでは攻撃を受けてしまう。

「アマミツちゃん!回避!」

「え!?はい!」

 攻撃を中断し回避行動に移る。敵の弾は発射され船の後方を掠めた。

コウキは思案する。今回の相手は弾幕を張ってくるタイプの敵ではない。どちらかというと精密射撃が得意な部類の相手だ。止まらなければなんていうことはない。だがあからさまな逃走は直線となって狙われるかましれない。しかし逃げる以外の選択肢が自分達にあるのか?ここで動き回り続けても何も変わらない。どの行動が正解なのか――――。

 逃げ回り続けているとアミュートから光が現れた。その光は真っ直ぐにこちらへと向かってくる。

 光――その正体は宇宙船だった。その船から通信が入った。

『大丈夫ですか?』

 それは聞き覚えのある声だった。それも割と最近聞いた気がする。思いだされる草原と灰色の獣達。

「その声は桜花か!?」

『そこにいるのはコウキさんですか?』

 返ってきたのは確認の質問。間違いない。あの船には桜花が乗っている。

 突然、かつ偶然の援軍にコウキに希望の光が見えてきた。

「ああそうだ。ちょうどよかった。こいつを何とかするのを手伝ってくれ」

『手伝う、ですか。コード・シルバーとか出ていますけど、どうするんですか?」

 桜花が言った「どうする」その言葉に疑問を覚えた。

「なあ、もしかしてレアコードと戦ったことが無かったりするのか?」

 紅龍一族という集団の一員である桜花ならありそうだが。そういえば前にこんなことも言ってたような……。

『すごいのは兄だけ』

 それでも十分桜花も椿も凄腕のプレイヤーなのだが、実際のところはどうなのだろうか。

『一応ありますけど……。その時は一族総出でしたし、他にも何組かの有志の人達もいましたから』

 コウキは歯噛みした。それでは倒すのは難しいということだ。狙撃型というのも大きい。

(狙撃型……)

『とりあえず逃げましょう。敵の戦闘パターンを教えてください』

「そいつは狙撃型っぽくて、弾幕は張らずにこちらが攻撃の為に止まったり、直線的な動きをするときだけ攻撃してくる。それと旋回速度がすごい速い」

 伝えると桜花は唸りながら考え始めた。コウキも先程何か思いつきそうになったことを考える。

(止まったりすると撃ってくる。つまり止まらなきゃ当たらない。いや、待て……)

 コウキはひとつの仮説とそれに基づく打開策を思いつく。

「『別々な方向に逃げればいいんじゃないか?(ましょう)』」

 一体を確実に仕留めるのなら、二体で撹乱すればいい。考え付いた二人の結論は同じものだった。

 そこからの行動は早かった。二隻の宇宙船が敵の周りを出鱈目に旋回し始める。すると先程までの待ちの姿勢は消え、あちらも出鱈目に回る。一応は狙いを定めているようだが、二隻の船の動きで混乱している。

『今です。コウキさん!』

「応!」

 そこから一気に離脱する。コウキ達の船はアミュートへ、桜花の船は宇宙の中へ。

 敵は混乱の果てに今まで相手をしていたこちらを選んだ。だが遅い。ここまで離れれば弾を撃ってからでも避けれられる。

 そしてそのままアミュートの港まで降りた。

「ふう……。危なかったあ」

 アマミツが安堵の声を漏らした。そういえば桜花と合流してからは彼女は何もしゃべらなかったような。

(まあいいか)

 コウキも安堵して背もたれに体重を預けた。

「そういえば、あの人はなんでこの星に来たんだろう?」

 まあ、息抜きにでも来たのだろう。ゲームの中で息抜きというのもおかしな話であるが。

久々すぎて元々無かった文才を更に失っていた作者です。

いや大変だったんですよ。

スポ祭ありーの、中間試験ありーの、ぶる〇じ(某格ゲーのネットラジオ)聞きーの、ポケモン買いーの、ジム制覇しーの……。

遊んでました、すみません!!!!

これからはもっとがんばります!そしてできれば今年中、遅くとも来年の二月には読み切りで一本出します!恋愛ものです。この作品、思えばラブコメ的ラッキースケベいれようと思って、結局そんな要素ないので。

では、また次回!シーユーアゲイン!

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