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第十五話 ディープインデータ

誤字脱字がありましたら報告お願いします。

感想とかアドバイスがありましたら、どんどんお寄せください。

 コウキはコロニーの自室で横になっている。

 狂化で暴走した後のことはあまり憶えていない。

 ただ一応は倒したとだけ聞いているが、詳細までは教えてくれなかった。それにノイズも現れなかったらしい。

 あの後、倒れたコウキはミッションカウンターまで運ばれて、目を覚ましたらすぐにログアウトするように言われた。そして二、三日休むように注意され、その休養を過ごし今に至る。

「あ、集合場所とか聞いてない……」

 一瞬メールしようかとも考えたがやめておいた。もう既にどこかの星にいっているかもしれないし。そこまで行く技術のないコウキのせいでもあるのだが、迎えに来て貰うのは悪い気がする。

 何をするか決まっていないが、とりあえず部屋を出ることにした。


 居住区画を出た所で、ふとなあたんと初めて会った時のことを思い出す。たまに歩いている、まだ制服姿のプレイヤーのせいもあるのだろう。なんとなくだが、あれから微妙に注意深くなった気がする。

 ドン

 いきなり横から人がぶつかってきた。衝撃は軽くコウキは転ばなかったが、ぶつかってきた人は転んでしまっていた。今回は自分から飛び出したわけではないが、ぼうっと立っていたのが悪かったのだろうか。

「いててて」

 声の方を見ると、そこにいたのは小さな女の子だった。黄色い髪をツインテールにしていて、服装はTシャツにショートパンツにニーソックスといかにも今風な感じだ。

「ごめんね。怪我はない?」

「だいじょーぶだよ。ありがと知らないお兄ちゃん!そしてごめんなさい」

 女の子に手を差し伸べて立たせてあげる。立ちあがった少女はお礼を言ったあと頭を下げて謝った。礼儀がなっていて安心する。

 顔をあげると、そこには特A級と言っても良いほどの美少女がいた。体型もすらっとしていて、所謂モデル体型である。まあゲームのキャラクターなのだが。それにしてもかなりのレベルの完成度だ。このレベルのキャラは今まで見たことが無い。

「あ、これ落としたよ」

 ハート型のサングラスが落ちていたので女の子に渡してあげる。すると彼女は慌ててそれをかけた。

「それじゃあね。バイバイ知らないお兄ちゃん!」

 そして彼女はすぐにどこかへ行ってしまった。追いかける理由もないので黙って見送る。

 さて何をするべきか。ノイズを探しに行くか。それとも適当に探して徒労に終わるよりは、ノイズ探知装置をディエゴが改良しているらしいのでそれを待つべきだろうか。

(やることか……。そうだ)

 思い立ったが吉日。コウキは港に向かった。


 .。o○ ○o。. .。o○ ○o。.


 宇宙船を起動する。様々な機械、計器類が動き出した。

 コウキがここに来た理由は一つ。

 一人でも星間飛行を行えるようにする為だ。

 さすがにいつまでも他人に頼ってはいられない。というより、一人でできるのが普通なのだ。

 席にどっしり構え、ハンドルを握る。手が汗ばんでくる。何度か拭うが治まることが無い。

 目的地は、とりあえずピッフルグラスにセットしておく。これで一通り終わった筈だ。

 コウキは一度軽く息を吐いた。

「発進!」

 港から勢いよく白い船が飛び出した。

 最初は真っ直ぐ飛ぶだけで何も恐いことはない。ひたすら真っ直ぐだ。しばらくするとレーダーのポイントが移動してきた。ポイントを追って船を傾ける。進路が変わり、今まで見えなかった小惑星が正面に現れる。

「よっと」

 軽々と小惑星を避ける。しかし避けた先にも、今度は先程よりも小振りなものが浮かんでいる。それもさらに避ける。避ける。避ける。

 これだけなら順調にいっているように思えるだろう。実際、コウキは一回もかすってすらいない。しかし、一回一回かすりすらしない程に大きく曲がるため、軌道は出鱈目になってしまっているのだ。他に人がいたらクレームものだ。

「あ、えっと、進路はこっちか」

 小惑星帯(本当はそこまで大規模ではない)を抜け進路を取りなおした。

 またしばらく進むと、今度は敵とエンカウントした。

「やっぱりこういうのも、うん?」

 前回までシュネルと共にいたときよりも敵が大きい。しかも金色で金属質だ。

 船内に突然警報が鳴り響いた。

 コード・ゴールド、コード・ゴールド

 『コード』、その言葉は以前にシュネルから聞いたことがある。


「そういえばさ」

「うん?」

「この宇宙戦闘ではコードっていう強力な敵が出るパターンがあるんだって」

「例えばどんななんだ?」

「確か、コードのときは敵がメタリックカラーで、難易度は下から順に青、緑、黄、赤だったかな」

「でもどれにも一回も遭ったことないよな」

「そうなんだよ。普通は三回に一回はあるらしいんだけどなー」

「まあ楽でいいんじゃないのか。宇宙戦闘自体が難易度高いんだし」

「それもそうか。……あっ」

「どうした?」

「今言ったのの他にもレアパターンのコードがあってさ、ブロンズ、シルバー、ゴールドのコードだとクリア時に強力な装備が手に入るんだよ!」

「ただその分難しいんだろ」

「うんまあ難しいんだけどね。それ以前にブロンズは百分の一、シルバーは千分の一、そしてゴールドは一万分の一っていう低い発生率の壁があるんだよ」

「じゃあなかなか出ることはないな。安心したよ。けど装備は欲しいな」

「こればっかりはコウキの幸運でもダメだったか……」

「なんだよそれ。幸運だったら俺よりも姉ちゃんに頼んでくれ」


 出ちゃったよ。

 コードの中でも最高難度、確立一万分の一を乗り越えたレアパターン。これで今この船に乗っているのがコウキだけというのは幸か不幸か解らない。

「一応やってみるか」

 宇宙船を回り込むように接近を試みる。それなりに近づいても敵は反応を示さない。更に近づいて、もう弾を外すことがないと思われる距離まで来てしまった。

「いけるか……!」

 トリガーを引こうとした、ちょうどそのときだ。

 敵がその場で回転し、こちらを向いた。

「え!?」

 言葉と同時に体は動いていた。その場から急速離脱をする。

(早くここから離れないと!?)

 敵が弾幕を張ってきた。コウキはやけくそ気味にハンドルをきる。離れ離れそして避ける。もうそれだけを考え出鱈目に動いていた。

 結果として幸いにも一発も当たらなかった。だがこちらの攻撃も当たらない。この戦いは一見五分五分だ。だがCPUと違い、こちらには集中力の限界がある。それにコウキには避けながら狙い撃つという技術はない。むしろコウキは避け方が極端なのでまぐれで当たることすらあり得ないのだが。

「もう一回やってみるか」

 コウキは弾幕の宙へと潜っていった。


「ふう……」

 クリア、できなかった。

 どちらの攻撃も当たらず、敵を無視して進む技術もなかったので、仕方なくコロニーの宇宙港に戻ってきた。こうすれば今回の航行はリセットされるので、次は普通の敵になるはずだ。

 気分転換のためにラジオを流してみた。

『…では、次は皆さんお待ちかね!メイプルちゃんとハニーちゃんの美少女アイドルユニット、ドロップスだーー!』

 流れてきたのは音楽番組だった。ドロップスは最近有名なゲーム内アイドルで、歌っているのがCPUでなくプレイヤーということで有名になり、曰く現実でお金をとってもいいレベルらしい。コウキも何度か聞いたことがあるが、その評価も納得できるものだった。今ではボカロと勢力争いしているらしい。

『それではいってみましょう!!5thシングル『Kids Kiss Miss』』

 思春期の恋心と挑戦を歌った明るい曲だった。テンションが上がってやる気が出てくる。

「今度は普通の敵でありますように!」

 祈りながらの再びの船出だった。


「はあ……」

 今度はコード・ブロンズでした。さっきよりは弾幕が薄かったが、結果は変わらなかった。

 それでも懲りずに三回戦……。


 何故だろうか。今まではコードに引っかからなかったのに、一人になってからレアコードにしか遭遇しない。

 ちなみに現在28回目の失敗だ。

 コンコン。

 宇宙船のドアがノックされた。誰だろうか。

「…はーい」

 心当たりはないが開けてみた。

「おじゃましまーす」

 入ってきたのはさっきぶつかった女の子だった。

「あれ?さっきのお兄さん?」

「えっと、何かな」

 様子からしてコウキだと分かって来たわけではないらしい。では何故だろうか。

「えっと、レアコードにばっかりあって、それで一回も弾に当たらないで帰ってくるなんて珍しい人がいたから、ちょっと気になって……」

(そういえばリザルトは公開されるんだっけか)

 女の子がコウキの隣に腰を掛けた。何のマネだろうか。

「いっしょに乗ってもいい?」

 突然の誘いだった。美少女が笑顔で尋ねてきている。

「い、いいよ」

 つい反射で答えてしまった。

 女の子は安堵した表情で深く座り直した。

「あ、自己紹介がまだだった」

 椅子から飛び降りてコウキの方を向く女の子。

「わたしの名前はアマミツ。よろしくねお兄ちゃん!」

 それがコウキにとってある意味で散々な日々の始まりの宣言だった。

ふい~。

やっと更新だーーー!

疲れた~~~。

深夜アニメでも見て寝よう。うん。

ではまた次回!

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