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第十一話 スモールクルー

誤字脱字がありましたら報告お願いします。

 コウキ、シュネル、ディエゴ、ブリネナの四人は第二のノイズの遭遇地ピッフルグラスへと向かった。

 緑が生い茂り、青い海があり、それはさながら地球のようで、何度見ても平和そうな星である。

 ノイズが本当にあったのか疑わしくなってくる。けれど、二回の遭遇は確かにあり、さっきのプラントでのことがそれを証明している。

「さっきはあれだけだったからなあ。次はもっとなんかあればいいな」

「あれだけ、ではないですよ。被害者に会ったわけではないですがノイズの危険性の一端は解ったのですから」

 ディエゴの言う通りではあるが、シュネルの意見ももっともだ。あれだけでは何がどうなっているのかが解らない。

 シュネルの操縦の下、宇宙船が港へ降りる。

 シュネルの操縦はみるみるうちに上手くなっていく。

 今はどうにかなっているが、これから一人で星間飛行したときにどうしようか。

「こんなのでも取り柄はある、か」というのは船の中でブリネナが言ったセリフだ。

 一同は港からクエストカウンターへ。

 探索用フリークエストとアカウントカードの履歴を照らし合わせて、以前にノイズと遭遇したエリアを探す。

 さすが世界規模のMMOというべきか、惑星ひとつ分の探索クエストがあり探すのも一苦労だ。

 それなりに時間がかかったが目当てのクエストを見つけ出す。

「これを受注します」

 受付のリセフに告げると、彼女の動きが少し止まった。

「どうかしましたか?」

「いえ、探索クエストを受注される方は珍しいもので。…かしこまりました。そちらの出撃ゲートへどうぞ」

 その言葉に従い、その場をあとにする。

「ただでさえ珍しいのに同じエリアに二組とは……」

 リセフが何かを言った気がしたが、独り言のようなので気にはしなかった。


 出撃ゲートではいつものように姿が戦闘スタイルに切り替わる。

 コウキはプロテクターとPL・クリムゾンカリバーにブラスターガン、ブロークンエッジに、シュネルはローブにラインが奔り魔道書を構える。

 ディエゴは見た目の変化はないものの小ぶりなメイスを手に持っている。

 ブリネナはくノ一の衣装の上に赤黒い文字の羅列が浮かび上がる。腰にはシュネルを脅した小太刀と数本のクナイが装備されている。


  エントリーリスト

 Lv.24 ヤノ・コウキ ソルジャー31

 Lv.29 ディエゴ・サベル 錬金術師18

 Lv.36 ブリネナ 忍者43

 Lv.21 シュヴァーネル・アルタロン・ラ・フォングラス・ドリュッセン 白魔術師29


「ディエゴさんって錬金術師だったの!?」

 リストが出た途端にシュネルが大声で言った。

「ええまあ」

 答えるディエゴはいつもの紳士然とした態度を崩さない。

 シュネルが驚くのも無理はないだろう。

 錬金術師というのは魔法職の中でも中の上の入るクラスだ。シュネルも見習い魔法職の一人としては憧れのクラスだろう。それをレベル29でクラスレベル18ともなればどれだけの努力を積んだのだという話だ。

「俺は将来的には賢者か魔法剣士がいいと思ってたけど、こうしてみると錬金術師も悪くないな」

 真剣に悩みだしたが、あいにく今はそういう時間じゃない。

「ほら行くぞ」

 シュネルの肩を引っ張りこちらの世界へ引き戻す。

「あ、うわっ!?分かった分かったから!」

 こうしてあの草原へと足を踏み入れた。


 あの時の最終エリアに辿り着いた。

 ここに来るまで何もなかったのだが、正直にいってここが本番だ。

 そう意気込んでいると、不意に二つの人影を見つける。

 片方には見覚えがあるような気がするが誰だろうか。

 とりあえず誰かを確かめに行ってみることにする。

「あの…」

 声をかけると二人が振り返った。

「ああ、すみません。なんでしょ……」

「コウキさんっ!えとお久しぶりです」

 そこにいたのは見知らぬ青年と、なんとなあたんだった。

 なあたんは相も変わらず可愛らしい顔立ちにふわふわの茶髪。そして顔とアンバランスなキリッと制服姿だ。

 青年の方はというと、赤のノースリーブに白のズボンという派手目な服装の優男だ。

「コウキさん、ということは彼が椿姉さんがいっていた人ですか」

「はいっ!」

 なんだか知らないがどうも彼の方はコウキを知っているらしい。

(というか今“椿姉さん”って……)

 そこに他のみんなも合流する。

「どうしたんだコウキ、ってなあたんちゃんじゃん!元気してた?」

「は、はい……」

 シュネルが勢いよく詰め寄るのでなあたんは引き気味だ。

「コウキさんこちらの方達はどなたでしょうか?」

 そういえばディエゴはなあたんのことを知らないのだ。コウキもその連れは知らないが。

 こちらの視線を感じてか青年は姿勢を正す。

「僕は桜花・紅龍といいます。姉の椿に頼まれてノイズの調査に来ました」

 なんとなく察しはついていたが紅龍一族の人だった。

「あなたが紅龍の方ですか。お噂はかねがね聞いております」

 ディエゴも有名人の登場に気分が少し高揚しているようだ。

 一方ブリネナはというと、あまり気にしていないらしい。

「いえ、僕はそんなに大したことないですよ。多分その噂のほとんどは兄さんのものでしょうから」

 桜花は手慣れた様子で応えている。この手の対応の慣れているというのには少し憧れてしまう。

「そうだ。桜花さん。椿さんはどうしているんですか?」

「俺もそれは知りたい!」

 コウキの質問にシュネルも食いつく。

 ああ、と桜花は思い出したように答える。

「椿姉さんなら今は兄さんを捜しています。多分兄さんなら何かを知ってるんじゃないかって」

「兄さんっていうのは、さっきも言ってた人?」

 紅龍一族のことに興味は尽きないようでシュネルが再びの質問をする。

「はい。兄さんの名前は彼岸っていうんですけど、僕達兄弟の長男で、電子機器の天才です。紅龍が有名になったのも兄さんの活躍あってのことですし、例をあげるなら……」

 ザザ……ザザ…

 コウキの耳にノイズの音が聞こえた。

 音のした方向へと駆け出す。

「おい、どうしたんだコウキっ」

「ノイズだ。多分ノイズがある」

 全員に緊張が奔る。

 エリアの端にコウキが着いてみると、そこにマンホールの蓋のようにノイズができていた。

「……計測できませんね」

 ディエゴの言葉に一同が落胆した。

「彼岸兄さんがいたら或るいは……」

 電子機器の天才、そういわれる紅龍の長男。その人がいればどうにかなるのだろうか。

「なんだか大きくなってませんか?」

 ノイズをみてみると、なあたんのいう通り徐徐にだが大きくなっていた。

「本当だ。……もっと大きくなったら危ないかも」

 コウキはブロークンエッジを取り出す。

 現れた光の刃は長剣の形をとる。

「どうするおつもりですか」

「斬ります。前はノイズのモンスターを斬れたんだからこれだって……」

「あ、危ないですよっ!」

 なあたんの静止を聞かずに剣をノイズに振り下ろす。

 するとみるみるうちにノイズは消滅した。

「やっぱりこの剣はノイズが斬れるんですよ」

 あの銀の少年のように。

 ノイズが完全に消滅すると刃がナイフのように変わった。ノイズがあるとパワーアップするのだろうか。

「!」

 突然ブリネナが後ろを振り返る。

「どうしたのですかブリネナ」

「来るぞ」

 その言葉と同時にヴォルフが一斉に飛びだしてきた。

 コウキ達はヴォルフの群れに囲まれてしまったのだった。

一か月近く更新が遅れて申し訳ございません。

春休みとか長期休業って人をダメにしますね。

ではまた次回!

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