食べた…
ある日僕が教室で休み時間を過ごしていると、一人の男の先輩が僕の教室の前で大きな声で話し始めた。
(うるさいなぁ…静かにできないのかよ)
そう思い、僕は反対側の校舎にある友人の教室へ行くために教室を出た。
廊下では先輩が教師からなにやらお小言を言われていた。
「それはなんだ?」
問う教師。
当然だ。先輩の手に持たれていたのは鮮やかな紅色の心臓だった。
(心臓…だよな、あれ)
そう思っても夢の中の僕の体は僕の思い通りに動いてくれない。
これは数々のおかしな夢を見たことから学んだことである。
「見て分かんねぇの?生き肝だよ。い・き・ぎ・も。知らねぇのか?これは、人間の心臓なんだよ。し・ん・ぞ・う」
しれっととんでもない事を言う先輩。
(生き肝って…どうやって手に入れたんだろう…それに何に使うんだろう…)
その僕の考えは次の先輩の行動によって半分答えがでた。
「こうやって食うんだよ」
そういうと、先輩は大きく口を開けてパクリ、と生き肝を食べた。
むしゃ、むしゃ、むしゃ――――――
「うめぇ」
心底おいしそうに生き肝を食べる先輩。
「やっぱ、生き肝は最高だぜ!」
などという、今までにも食べたことがあるような発言の先輩。
先輩の口元は生き肝からでた鮮血で真っ赤に染まっていた。
(本当に食べた…本当においしいのか…?)
僕のそんな心情など先輩が分かるはずも無く、むしゃむしゃと先輩はひたすらに生き肝を食らい続けた。
ふと、気がつくと僕はまた自分の部屋の、自分のベッドの上にいた。
(…また夢…今回のは今までの中で一番グロかった気がする…)
軽く寒気がした僕は、再び夢の世界へと出かけていった。