副作用?
朝、めずらしく起こされずに起きた。
(ここ、どこだっけ?)
ウーン、と大きく伸びをする。だんだん意識がはっきりすると、昨晩のことを思い出した。
(そっか。俺、人間になったんだ)
改めてその喜びに浸る。
(そーだ、ちょっと走ってみようかな)
部屋に備え付けられている洗面所で顔を洗い、上着を羽織ってこれで準備万端!!家の中で走り回るのはさすがにマズイな…。外に出よう。まだ朝早くだったから外は少し肌寒かった。それでも構わずぐんぐん走った。行き先は―――迷う前にあそこしかなかった。
ざっばーーん。
砂浜に波が押し寄せる。やっぱりここが一番落ち着くなぁ。昨日もこの海にいたはずなのに、何だかとても懐かしい。
(今までずっとこの中で過ごしてきたからかな)
砂浜を歩いていると、昨日の岩らしきものを見つけた。なんとなくそれによじ登り、上にちょこんと座った。そして海をじっと見つめた。今になってからいろんなことが心配になる。
(アネキ達、心配してるだろうな。母さん怒ってるかな…)
「だーーっ、もーっ!」
うじうじしていたってしょうがない。せっかく人間になれたんだ。今をじっくり楽しまないと!
ブルーな気持ちを払拭し、ポジティブ思考へと切り替えようとする。それにしてもさっきから風が吹くたびに、何かがサラサラと頬に触れているような…。顔洗った時も邪魔だったし。手で払ってもとれない。ちゃんと鏡を見ておくべきだったな…。
「…んだよ、コレ?…っいででで、って…えっ、髪!?」
一日でこんなにのびるのか?いや、んな訳無いよな。一日に髪の毛が伸びる長さはたしか約0.35㎜だったし。薬の副作用か何かだろう。
「それは違いますよ」
「は?!」
声がする方に目を向けると、そこに居たのは―――
「……はぁ~、またお前かよ!!つぅか何でここに居んだよ…」
「ため息とはひどいですね。…以心伝心というものですよ。アナタに呼ばれた気がしたので」
もうコイツには何を言っても無駄な気がする。
「んで、何か用かよ?」
早くコイツを追い払いたい俺は、単刀直入に用件だけ聞こうと思った。
「いきなり用件ですか。はぁ…、まあいいでしょう」
むかつく。何?そのため息。いきなり来たのはお前のくせにっ!!
待て、ここで怒ったら俺が負けた気がする。落ち着け落ち着け落ち着け。ここは一旦我慢だ。
「開発中で渡した薬が原因なんですが…」
言いながら歩み寄って来る。そうして目の前に来たかと思うと、いきなりシャツの第二ボタンまで外した。
ユーザーページに何だかんだ書いてるけど結構な頻度で投稿している自分。その内、週一になるかもしれません(汗)
おもしろいネタが浮かばないや(´・ω・)