リアルな夢
今日はいろいろありすぎてくたくただったので早く床につかせてもらった。案内された部屋には大きな窓があって、夜空がよく見える。
「おやすみなさいませ」
軽くお辞儀をしたメイドが言った。
「おやすみ」
そう言ってベッドに横になった。目を閉じると、猛烈な睡魔が襲ってきた。こんなに眠くなったのはいつぶりだろ?
ある夢を見た。そこは夜で、俺は小さい頃の姿だった。当然まだ人魚のままで、海面から顔を出していた。いつもと同じようで違う景色。
さっきまで晴れていた空にはいつの間にか、ぎっしりと雲が敷き詰められていた。その時、突然激しい雨が降り出し雷も鳴り始め、いよいよ本格的な嵐になろうとしていた。そんな中浮かんでいたのが一隻の船。大きな船だけど今の状況だとどんなに大きな船でも危なく見えた。風も吹き始め大きな波が容赦なく襲い掛かる。荒れ狂う波にのみ込まれそうになっていた。船が大きく傾いた瞬間、人間が投げ出されるように落ちていった。
「あっ」
そう言った時にはもう人間は海の中。本当に一瞬の出来事だった。目の前に見えるのは海の青だけ。それでも俺は、なぜか無我夢中でその誰かを助けようとした。けれど、荒れ狂う波のせいでうまく泳げない。不意に目の前に大きな波が迫ってきて――のみ込まれる――そう思った時に目が覚めた。
「ハァッ、ハァ…ッ。何だよあの夢…」
シャツは汗でぐっしょりになっていた。とりあえず落ち着こう。気を沈めるために窓の外を見ると、月が静かに闇を照らしていた。あんなに綺麗に思えたのに今では少し不気味に見える。何でかわかんねぇけど、すごく嫌な気がする。明日がくるのがとても不安だ。けれど5分もたたない内にまた眠気がやって来る。そのまま引きずり込まれるように眠りに落ちた。