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私の幼馴染、なんか、ちょっとズレてる気がする…

作者: トーリ
掲載日:2026/03/25

はじめまして。トーリと申します。初投稿の作品ですので、どうか、温かい目で見ていただけると幸いです。

最近、幼馴染の晴人(はると)が自分磨きを始めたらしい。

晴人の友達の蓮に聞いても、「まぁ、楽しみにしてなよ」とか言って、理由は教えてくれなかったけど。

でも、本当は私の為にやってるってこと、知ってるんだけどね。

だって、明らかに好意を寄せて来てる感じあるし。

本人は気づいてないのかもしれないけど、私と話す時だけ明らかに緊張してるんだよね。

昔はそんなことなかったんだけどなぁ。最近になって私への想いに気づいたってことかな?

中学校のときから、「明らかにコイツ、私のこと好きじゃん」って思うことがあったんだよね。

本人は無意識だったのかも知れないけど、ああいうのって意外とわかるもんなんだね。

それとも、私からの想いに気づいたからだったりして……

それはないな。意外と鈍感なんだよな、アイツ。鈍感すぎて逆に心配になるくらいだし。

中学校の時から、周りの女子に好き好きオーラ出されてたのに、全く気付いてなかったんだよね。

しかも、その癖して、無自覚にモテ男ムーブを周りにやっていくんだから、ほんと質が悪い。

あんなんされたら、だれでも勘違いしちゃうって。

そうだ、晴人のところに行ってみよっかな。

なにしてるのか、気になるし。

どんなことをしてるか、何も話してくれないんだよね。

恥ずかしいのかはわからないけど、少しくらいは知りたいなー……なんて。

――――――――――――――――――――――――

最近、自分磨きを始めた。

具体的には、化粧水や、乳液を少し高いものに変えてみたり、ヘアーオイルを変えてみたり等々……

自分の体質に合っていたのかは分からないが、短い期間でも、少しだけ効果を実感することができた。

まぁ、ホントに少しだけなのだが、続けていけばもっと変化が見られるようになるだろう。

それもすべて、幼馴染である玲奈(れな)の気を引くためである。

結論から言おう。俺は、玲奈に「恋」している。

最初は別に何とも思っていなかったと自分でも思うのだが、

玲奈が別の男子と話しているのを見た時だったり、他の友達と遊びに行っているのを見るたびに、なんだか、胸の中に、

言い表せないようなチクチクとした痛みが生じるようになっていったのだ。

だが、それが「恋」であると自覚するまでは早かった。

そして、その想いを抱きながら生活していくうちに、いつしかこう思っていくようになったのだ。

「あれ、もしかして玲奈って、あんまり俺のこと好きじゃない?」と。

それもそのはず、高校に入ってから、あまり俺の顔を見て話をしなくなったのだ。

そして、俺はそんな状況から抜け出すべく、自分磨きをすることに決めたのだ。

俺がかっこよくなれば、きっと玲奈も振り向いてくれるはずだ。そう信じて。

さて、次は何をすればいいかな。

新しく服を買ってみようか、そんなことを考えているうちに、不意に、チャイムが鳴った。

多分、玲奈だろう。

ちょうど良かった。玲奈の意見も聞いてみようかな。

好きな人に振り向いてもらうために、好きな人の意見を聞く。なんて合理的なんだろう。

そんなことを考えながら、俺は玄関へと向かっていくのだった。



――――――――――――――――――――――――

思い立ったが吉日、とでも言うように、私はすぐに着替えて、晴人の家へと向かった。

ピンポーン。チャイムを鳴らす。

「晴人ー。いるー?」

私が声をかけて数秒後、ドアが開いた。

「晴人、今、だいじょ――――」

「玲奈!丁度よかった。聞きたいことがあったんだ。」

私の話を遮るようにして、どこか高揚した様子の晴人が声を発した。

その様子に、少し嫌な予感を感じた私は、晴人が続きを話すよりも早く、言葉を発した。

「ちょっと待って、先に、家に上がってもいい?」

私の言葉を聞いた晴人が、少し、ハッとしたような顔をしながら、

「それもそうだな、どうぞ上がってくれ。」

と言った。

昔から、興奮していると少し周りが見えなくなるのだ。晴人は。

まぁ、それを抜きにしても、普通は分かると思うのだが……。

そんなことは気にせずに、私は家へと上がっていった。



――――――――――――――――――――――――

「で?聞きたいことがあるんだって?」

私がそう聞くと同時に、晴人が話し始める。

「そうそう、俺が今、自分磨きをしてるってのは知ってるだろ?それで、相談なんだけど――」

しかしながら、こいつ、やっぱり顔いいな。もともとよかったけど、自分磨きをし始めてさらに良くなったっていうか。

そのせいで、顔を見て話すと、恥ずかしくなって目を逸らしてしまうようになったのだ。

ほんと、この顔持ちながら性格もいいって、ずるいよなぁ。

「――――ってわけなんだけど。って、話聞いてたか?」

あぁ、ヤバい。顔を見てたら話聞いてなかった。慌てて気持ちを切り替える。

「えっと、ごめん。途中から聞いてなかった。」

「あー、えっと、つまり、服を一緒に選んでくれないか。っていうこと。」

「なんで私に?蓮とかに聞けばいいんじゃない?」

蓮は、中学校から一緒の男友達で、三人でもよく遊びに行くほど仲がいい。

「いや、実はな?自分磨きを始めた理由って、ある女の子に振り向いてもらいたいからなんだよ。」

いや、知ってるよ?けど、それを普通本人に聞く?

「だから、どっちかというと女子の意見を参考にしたくて。」

いや、それこそ別の人でもいいんじゃない?多分、皆、「喜んで!」って言ってくれるけどね。

「別に私じゃなくても、他の人でもいいんじゃない?」

「いや、こんなこと頼めるほど仲がいい女子って、玲奈しかいないからさ」

いやいや、そんなことを急に言うなよ!?だから皆勘違いするんだよ!

「いや、でも……」

私が渋るような表情を見せても、頼みこんだらいけるということを知っているのか、

「そこをなんとか!」

とか、すがるような表情(かお)で頼んでくる。

好きな人からそんなに頼られたら、そりゃ断れないじゃん。

「まぁ、いいよ?」

と、私が、典型的なツンデレヒロインの照れ隠しのセリフのようなものを言えば、

「やった!じゃあ、明日の10時に駅前集合な」

とか、本当にうれしそうな表情で言うのだった。

はぁ、本当にずるいわ。

少しして、気分が落ち着いたのか、晴人が

「それで、玲奈の用事ってなんだったんだ?」

とか、私の顔を見て、真剣な表情で言ってくるものだから、

「いや、なんでもないよ!」

と、照れを隠すように少し早口で言ってしまうのだった。



――――――――――――――――――――――――

玲奈が帰った後、俺は一人で明日のことを考えていた。

(二人で服を見に行くって、もう実質デートだよな?)

これまでも二人で遊びに行くことはあったが、「幼馴染」と「好きな人」としては意味が違うだろう。

「幼馴染」としてだったら、仲がいい、というだけで終わるだろう。

だが、「好きな人」としてとなると、雰囲気は一変する。

単なる遊びではなく、男と女の戦いとなるのだ。

どれだけ自分を意識させることができるか、どれだけ相手の気持ちを揺さぶれるか、その二つがカギとなるのだ。

(だが、それが成り立つのは玲奈が俺のことを好きな場合のみだ。)

デートに誘うことが出来たからといって、調子に乗ってはいけない。

俺はいつだってクール系を目指しているのだ。

(明日で、玲奈に俺を意識させる!)

俺は、そんな第一の目標を胸に、決意を固めるのだった。



――――――――――――――――――――――――

翌日、私は9時40分頃に駅に着いた。

少し早めに着いて、やることもなかったので、ベンチに座って考え事をしていた。

(男女が二人で出かけるって、それはもうデートだよね。)

今までは、晴人が私を意識している様子もなかったので、こちらも何かアプローチをすることはなかった。

だが、今となっては違う。あっちは気づいてないかもしれないが、もう両想いだろう。

なら、ここは一つ、何かアプローチをかけるべきなのではないだろうか。

例えば、「こいつ絶対俺のこと好きじゃん!」って思わせるような言動をしてみるとか?

晴人が服を試着して、見せてきたときに、「晴人が選んだ服なら、全部いいと思うよ?」とか、「何着ても似合うね」とか言ったり。

私は、そういう一つ一つの言動が、相手に自分を意識させる上で大事だと思っているのだ。

まぁ、晴人が気づくかどうかは、少し怪しいけど……

繰り返していけばいつかは気づくだろう。

もしかしたら、今日だけで告白まで行ったり……!?

可能性に懸けるだけならば、なんとでも言える。

考えているうちに、気づけば10分が経過していた。

もうそろそろ、晴人がやって来る頃だろう。

「すまん、玲奈。待ったか?」

「いや、少ししか待ってないから、大丈夫だよ。」

晴人も来たことだし、気持ちを切り替える。

「それで、今日はどこに行くの?」

「今日は、いつもと違って、古着屋に行ってみようかなって思って。」

「古着屋?」

「そうそう。蓮に聞いたら、そういう服も似合うんじゃないかって言われて。」

いつも行っているG○や、ユニ○ロは、若者向けのシンプルなデザインのものしかないが、

身長が高いし身体もスラッとしてるから、古着のような服も似合うだろう。

「でも、古着屋さんってこの近くにあったっけ?」

「俺もそう思ってたんだけど、蓮が言うには、商店街の方に新しくできたらしくて。」

「へー。商店街に。確かに、あそこ何にもなかったもんね。」

商店街か。駅から歩いて10分くらいではあるけど、私はあんまり行かないんだよな。

「それにしても、蓮はよくそんなとこ知ってたね。」

「いや、あいつ結構そういうの詳しいんだよな。俺もよくアドバイス聞いてるし。」

たしかに、中学の時から詳しい雰囲気はあったな。なんというか、モテる感じのファッションセンスしてたし。

「じゃあ、さっそく行こうぜ。」

「そうだね。行こっか。」

話に一区切りついたところで、私たちは古着屋へと向かうのだった。



――――――――――――――――――――――――

「ここか……」

10分ほど歩いた私たちの前に現れたのは、いかにも、といった外観の店だった。

名前は、「アンクロウ」。年季の入ったレンガ造りが特徴的なお店だ。

「なんか、ちょっとボロボロじゃない?」

「いや、できたのは一か月前くらいらしいけどな。」

「ふーん。まぁ、とりあえず入ってみようよ。」

店の外観を眺めていてもしょうがないので、店の中に入ってみるよう促す。

「いらっしゃいませ。」

雰囲気のある外観とは裏腹に、店の中は、清潔感のある、落ち着いた雰囲気になっていた。

ジーパンやジャケット、よくわからない英語の書いてあるシャツなど、ザ・古着といった服が所狭しと並べられている。

「結構広いんだね。」

「蓮が言うには、200着以上はあるらしいぞ。」

「そんなに?全部見て回れるかな。」

「いや、そこは心配ない。蓮が、俺に似合いそうなコーデを何個か考えて送ってきてくれたからな。」

いや、できる男すぎるでしょ。1人の友達にかける労力じゃないって。

「それなら大丈夫かな。じゃあ、さっそく、選んじゃおうよ。」

「そうだな。」

話し終えると同時に、事前に覚えておいたのだろう晴人が、すぐに服を選びだした。

それを横目に、私が試着室の使用許可をもらい、そうこうしているうちに、すぐに試着の準備が整った。

「それじゃあ、まずはこれからだな。じゃあ、すぐ着るから、感想頼む。」

そういいながら、晴人は数着の服を手に取り、試着室のカーテンを閉じた。

数分後、カーテンが開き、そこにいたのは、黒のデニムパンツとミリタリーシャツを身にまとった晴人だった。

「どう?結構いいと思うんだけど。」

確かに、いい感じだ。

黒で統一されているからだろう、晴人の細めの体つきがいつもよりも前面に出ていて、高い身長がより際立って見えている。

そこに、中のシャツの白色が見えていることで、暗い雰囲気だけにならずに、爽やかな感じが出ていてとてもいい。

「いいと思うよ?なんか、普段とは違うイメージで…。」

「なんか、曖昧だな。具体的な感想とかない?」

具体的と言われてもな……。じゃあ、少し攻めてみるか。

「私以外には見せないでほしいくらい、かっこいいかな。」

あーあ、言っちゃった。なんか、めっちゃ恥ずかしいな。

そんな私の気持ちに気付いているのかいないのか、晴人はキョトンとした顔で、

「玲奈と遊ぶときくらいしか着ないと思うけど?」

とか言いやがる。

あーもうずるいって。まじで。なんか、いまめっちゃ顔赤いわ。多分。

「まぁ、いいや。じゃあ、とりあえず今日はこれだけ買おうかな。」

「もういいの?」

「なんか、玲奈の反応がよかったから、別にこれだけでもいいかなって思って。」

「ふーん。」

危なかった。口では冷静を装っていても、内心はバクバクだった。

正直、これ以上続けられたら耐えられる自信なかった。

「すいません。これ、お会計お願いします。」

そうして、私たちは買い物を終えたのだった。



――――――――――――――――――――――――

その後、「付き合ってもらって悪いから昼飯奢るよ。」と晴人に言われ、昼食を食べてから、帰路についた。

そんな時の事だった。

「あぶない!!」

曲がり角から、猛スピードでトラックが突っ込んできた。

(あ、これ、もう――)

私が覚悟して目をつぶった、その次の瞬間――――

(あれ……?)

覚悟していたような、強い衝撃が全身を襲うことはなかった。

(助かったの……?)

もう完全に死んだかと思った。私の人生ここで終わりなんだ。って、そう思えるくらいには。

(てか、今ってどういう状況?なんで助かったの?)

そして私が目を開けると、視界に飛び込んできたのは――――

(ちっっっっっっか!)

超至近距離の晴人の顔だった。

どうやら、とっさに晴人が抱き寄せてくれたらしい。

(え、今、私晴人と密着して――――!?)

心臓がうるさい。お願いだから、ちょっとだけ静かにして……!

そして、そんな状況で、

「大丈夫か?」

なんていう言葉をかけられた私が耐えられるはずも無く、思わずその場に倒れこんでしまうのだった。



――――――――――――――――――――――――

(あぶなかったぁ)

あと1秒でも、トラックに気付くのが遅れていたら間に合っていなかっただろう。

それくらい、危険な状況だった。

(さすがに少しは俺のことを……)

とか思いながら、玲奈の顔を見ると、

(思ったよりもやばそうな表情してるな…)

何年も一緒にいたから分かる。これは、泣きそうな顔だ。

よく考えればわかることじゃないか。誰だって、死にかけたら泣きたくもなる。

そんなことよりも、落ち着かせなければ!

そう思って、慌てて手を握ってみる。

そしたら、思ったよりも効果は覿面だったようで、落ち着いた表情をみせ、そのままもたれかかってきた。

このままの状態でいても仕方ないので、なんとかして玲奈を立たせ、手を握ったまま、家まで送った。

「けがはなかったよな?ゆっくり休めよ。」

そんな言葉をかけて、俺はそのまま家へと帰った。

(まぁ、俺がいてもしょうがないだろうし。)

そんなことを思いながら。



――――――――――――――――――――――――

(え?)

晴人が帰ってすぐの玄関でのこと。

私は、冷静になってさっきのことについて考えてみた。

(手を握って安心させてくれたまではよかった。だけど……)

手を握る。という行動だけで言うなら、いや、別に試していたわけではないのだが、100点満点だろう。

だが、

(普通に考えて、怖い思いをして不安になってる女の子を一人にして帰るか?)

いや、確かに素直になれない私も悪いのかもしれないが……

そもそも、最初からおかしかった。

好きな人に振り向いてもらうために、好きな人に直接意見もらうか?普通。

いや、晴人のことだから、深く考えていなかったのかもしれないが。

デートだったのに何にも進展しないなんてことあるのか?普通。

(なんか、あいつ、ちょっとズレてるよなぁ……)

思わず、そんなことを考えてしまうのだった。



こうして、とある男女の、波乱万丈な一日は終了したのだった。

その後、少女は素直になることができたのか。少年は自分磨きを成功させることができたのか。

それは、蓮のみぞ知る……


~完~


読んでいただき、ありがとうございました。まだまだ未熟な身ではあるので、もっと皆様が楽しめるような作品を書けるように精進していきます。

ぜひ、応援コメントや、誤字・脱字報告のほど、よろしくお願いします!

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