大学と気になるあの子
メッセージアプリを開く度に意識していなくても視界に入ってくる人がいる。玲。大学に通っていたときに彼女に出会った。
100を超える授業の中で必修以外の選択科目でもよく同じ教室にいた。向こうがどれくらい気づいているかなんてわからなかったけど、会ったときに目が合った回数は少なくはなかった。
大教室ではない、10人ほどの少人数のクラスでは話していた。
授業が始まるまでの時間、近くに座った数人のグループが喋り出した。
「最近アニメ何見てるー?」
一人が話し出した。話題になったのはどこにいても聞こえてくるタイトルだった。
「○○は?」
「わたしも見てる」
普段は落ち着いた声のトーンが一段上がっていた。
「○○くんは?」
「俺も同じかな」
ほとんど見ていなかったが話は知っていたのでそう答えた。
一番好きな作品は言わなかった。
週末の深夜、その物語と出会った。番組表を見ていると一つのアニメで手が止まった。タイトルから転生系だと一目でわかった。このジャンルは見ていなかったが惹きつけられるようにしてあらすじを読み始めていた。あらすじでもうおもしろかった。
オープニングが始まる。映画が始まったのかと思った。一気に物語の世界に引き込まれていた。人が隠してしまうようなところも素直に丁寧に描かれ、人ではないキャラクターも人間味にあふれていた。ここではない場所の風景はどこかにありそうだった。音楽は優しく吹く風のように流れてきていた。
芸術学科だったということもあり大学を出たあとはデザイン事務所に入ったりエンターテイメントの道に進む者も多かった。
映画、音楽、デザイン、アート、授業は興味があるものを取っていった。
小説を書いて提出する授業もあった。けれど、一作最後まで書き切る自信がなく取らなかった。




