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憧れの俳優
憧れの俳優の彼女が主演のドラマが始まる通知がまた鳴った。彼女に関するニュースがない日はない。
彼女が俳優としてこの世に名前を知られたのとほぼ同時に彼女の存在を知った。
デビューしたときから彼女はあちら側の最前線にいた。彼女が出ているのをいくつも見た。何本ものCMに出演しいくつものドラマで役を演じていた。
毎日投稿が更新されるのを眺めながら夢のステージで輝く彼女に憧れを抱いていた。
毎年恒例の夏の企画ユニフォームは傑作の域に近づいていた。ロゴの中まで柄が施され細部までこだわりが込められていた。
この年のサマーユニフォームを象徴していたのはマークだった。チームのアイコンであるクラウンを冠していた。それは新しくもあり、レガシーへの敬意を感じるものであった。オールドユニフォームで一時代を象徴した傑作を、年を経た今、見事に甦らせていた。グッズを買うことは少ない性分だったが迷わず買った。
ユニフォームとは反対に、チームはどうしようもないくらいに弱かった。何をしても勝てない。死ぬまで優勝なんてできないんじゃないか。本気でそう思うようになっていた。




