第五幕 籠の中に光は届かない
審問を受けるまで数日時間があり、柚木は特別室へ隔離されることになった。
「飯の時だけ開けてやる。あとはここで審問の時まで待ってろ。」
「弥生。君はどうして星を信じてるんだ?」
弥生は一切柚木を見ず、ただ背を向けている。
「…星は偽りのない輝きで夜空を照らす。人々の苦痛も記憶も流星の様に流れていく。でも異端がいたら?その時は、全員でその異端を排除。綺麗な流星群に逆流する星はいらない。」
感情を乗せず、淡々と話す弥生に柚木は圧倒され、何も返せなかった。
「もうお喋りはいいだろ。早く入れ。」
柚木の背中を押し部屋の中に入れる。
「ま、待ってくれ!最後に、お前たちの目的は何だ」
「……秩序を守ること。そして、鍵を守ること。そんなに鍵が欲しいというなら、真理の間も超えてみろ。その部屋には残骸がたくさんある。仲良くするんだな。」
勢いよく扉を閉め鍵をかけられる。
「これで良かったんだよな。」
自分に暗示するよう言葉を落とす。
床に座り込み今まで起きたことを整理する。
__セラテルとの出会い。瑞稀、弥生との対峙。そして詠蓮からの挑戦状。
鍵はそう簡単に手に入れさせないという様に。
柚木は部屋の片隅に落ちていた星のカケラを見つける。
「これって…?」
弥生が言っていた残骸か。以前、習ったことがある。星に抗い続けた者は”星となり砕け散る”か”一生の苦痛を味わいながら星に忠誠を従うか”の二択を迫られるという。
「君も俺と同じ、”運命に抗った者”なんだね。」
星のカケラを掬い上げる。その瞬間、ゆっくりと空へ消えていく。
「……君の分まで、自分を信じて抗ってみせる。」
__審問まで1日。
何が待ち受けているのか、特別室の中にあった本を見ていてもそれにまつわる手がかりはない。
この学苑の歴史や星図などの資料が書かれているだけだった。
そしてゆっくりと特別室の扉が開く。
「いよいよ明日だね」
顔を出したのはセラテルだった。
「今までどこに…?」
セラテルは何かを隠すように顔を逸らす。
「ちょっと、色々あって。でももう大丈夫。君は導かれているし、きっと抗える。僕は柚木を信じてるよ」
不安な気持ちを和らげるように、微笑みながら柚木に言葉をかける。
「ありがとう、セラテル。俺は負けないよ。歪んだ秩序にも、真理の間にも、クロユリも。」
二人のいる特別室の窓から覗く月が青みがかっていた。