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花ヨ、終焉ヲ告ゲヨ。  作者: 黒雨 のゆ
第一章 影と光の狭間に
6/8

第四幕 黒曜石のように輝く星

星光律学苑では、年に一度【階層試験】が行われる。

それは、知識や技術を図るものだけでなく、"星が示す答え"にどれほど忠実に従えるかを試す審査でもあった。

生徒たちは提示された問題に、"最も適切な解答"を選ばなければならない。

だがその"正解"は、すでに星によって決められている。____本人の意思とは別に、"未来の統計"によって。

「全部、星の言う通りに答えるのが正しいってことか…?」

柚木は試験前の準備室で紙を握りしめながらつぶやいた。

「…それがこの学苑の…北地方を指揮している、詠蓮の決めたこと…なんだと思う。」

セラテルがポツリと呟く。

それは静かな空間に響き渡るような澄んだ声だった。

「…でも、話せば分かってくれる気がする…」

何も根拠は無いけれど、柚木の中で何かがそう感じさせる。

「この地の人々は"星に従えば間違いない"と信じている。それは一種の救いであり、牢でもある。柚木も見たでしょ?教室での生徒たちの光景を。」

「でも…じゃあ俺は、なんのためにここに来たんだ。鍵だけじゃない…何か、変えなきゃいけない気がする。じゃなきゃ、鍵はくれない気がするんだ。」

その問いにセラテルは答えなかった。

ただ静かに、柚木の手元の紙を眺めていた。


試験が始まり、生徒たちは用紙に全てを集中させていた。柚木は1問目から目を疑った。


『次のうち、もっとも秩序を乱す選択はどれか』

1:異端を見つけたら報告する

2:異端を黙認する

3:異端を助ける

4:異端という概念を疑う


____正解は1 であるべきと星は言っている。

だが柚木の心が選んだのは迷いなく4 だった。

そして、その下に記載されている問いに目を向ける。


『次のうち、もっとも正しい祈りとして正しい選択はどれか』

1:決められた祈りをそのまま唱える

2:皆が唱えている声に合わせる

3:自分の心で生まれた言葉で祈る

4:祈らず、ただ沈黙を守る


星は1の選択を導くが、柚木の心に残ったのは紛れもなく3だった。

そして、第三問目。


『次のうち、もっとも罪深いものはどれか』

1:人を裏切ること

2:自分を偽ること

3:世界の秩序を疑うこと

4:何も選ばないこと


定められた答えは3だった。だが、柚木は躊躇なく2を選択する。

ついに最終問題。


『秩序を守るために、誰を切り捨てるか正しいものはどれか』

1:未来の子供たち

2:自分自身

3:今の友人

4:誰も犠牲にしない


星が導いている答えは、2。

「こんなこと…こんな問題ってあんのかよ…」

柚木はポツリと呟き、4と答える。

秩序から遠く離れた答えを選ぶ瞬間だった。

「…自分で選んで決めなきゃ。誰かが作った軌道になんて乗りたくない。」


_____そして試験後。

校内の中心にある【星の塔】に生徒たちは集められた。階級ごとに座らされ、回答は一斉に"星の盤"へと記録される。


静まり返る空間。光だけが満ちている。

回答者の選択が流星のように吸い込まれ、光となって塔の中央に浮かび上がる。幻想的なその光景に柚木は圧倒される。

__そして柚木の選択が表示された瞬間、そこにいる人全員が騒がしくなる。


《秩序を乱す星、確認。》


その場の空気が凍った。

柚木の頭上に真っ黒な光の柱が伸びる。

それはまるで、"星に選ばれなかった者"への警告のようだった。

「柚木…」

瑞稀が、わずかに動揺を見せる。

「君、それ……星を裏切る行為だよ」

「俺は…俺の考えを選んだだけだ。」

「ふんっ面白い。」

「だとしても、危険すぎる!」

星の盤の前に立っていた瑞稀と弥生が声を出す。

「…星に抗うことを決めたのね。」

塔の上層からゆっくりと階段を降り、姿を現したのは詠蓮だった。

「柚木來那。あなたは"星に抗った者"として、学苑の外縁にある"真理の間"で審問を受けてもらう。」

静かな声で、詠蓮は言った。

だがその瞳は、何かを試すようにわずかに輝いていた。


見ていただきありがとうございます

今回は星光律学苑の中の様子を書けたと思います

真理の間へと誘われた柚木。そこへ待ち受けているものとは

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