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花ヨ、終焉ヲ告ゲヨ。  作者: 黒雨 のゆ
第九章 静寂より来たりし声
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星の声を聴く者たち

風が優しく吹き抜ける、雲と空の狭間の高台。

南の学苑でのすべてを終え、柚木はその場にひとり…いや、もうひとりいた。


「やっと、ここまで来たね」


そう言ったのは、傍に立つセラテル。

星屑のように淡く揺れる髪が、風に靡いている。相変わらず中性的な姿だったが、その横顔にはほんの少しだけ、影が差していた。


「セラテル……君がいてくれて、ずっと助けられてきた」


柚木の言葉に、セラテルはふっと小さく笑った。

その笑みは、どこか寂しげで___けれど、とても温かかった。

「僕はね。……最初から知っていたんだ。君が、この世界に何度目かの“風”を吹かせに来たってことを」

「……え?」


唐突な言葉に、柚木は目を瞬いた。

セラテルは視線を遠く、空の彼方へ向けたまま、続ける。


「星は巡るよ。運命を描いて、そしてまた書き換える。でもね、それはとても痛みを伴うこと。悶えて、嘆いて。それでも諦めきれなくて、踏み出して。……同じように“誰かを守りたい”って願って……」


柚木は息をのんだ。

彼の言葉に、胸の奥が何かに触れたように熱くなる。


「……セラテル?」


「あの子に会った時、全部思い出す。君も、僕も。」


「あの子……?」


その言葉にセラテルは返さず、ただ微笑んだ。

けれどその目には、どこか“別れ”を知っている人の眼差しが宿っていた。


「柚木。星の導きは、必ずしも幸せを約束してくれるものじゃない。

でも__君の選んだ“今”は、誰かの涙を救ってる」


柚木は、セラテルの言葉の意味を深く理解するには、まだ若すぎたかもしれない。

けれどその声だけは、胸の奥にしっかりと刻まれた。


「……ありがとう、セラテル。君のこと、もっと知りたい。君は……何者なんだ?」

「それは、北地方で教える。……全部じゃないけど、少しだけね」


彼は小さく肩をすくめて、星の光のような笑みを浮かべた。

この人が何者であれ、きっと__自分はこの手を離さないだろう。


そして、ふたりは北を目指して歩き出した。

森の奥へ進んでいくと雪の匂いが、微かに風に混じり始めていた。

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