表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花ヨ、終焉ヲ告ゲヨ。  作者: 黒雨 のゆ
第八章 壊れなかった約束
46/54

第三幕 波打ち際の相方

門を抜けると、学園の海辺に風が吹いていた。

潮騒の音と共に、どこか懐かしく、それでいて胸を締めつける空気が流れている。


「……見つけた」


そう呟いた柚木の視線の先、砂浜の先端にはふたりの姿があった。

ひとりは銀の髪を風になびかせ、波打ち際をじっと見つめている少年__明。

その背に、まるで影のように寄り添うように佇む少年__天綺


ふたりとも、柚木がこの世界で出会った中でも、特に心に残る存在だった。

一度目の旅では彼らの傷を知り、寄り添いながら、鍵を受け取った。

だが、今は違う。

「……君、記憶があるの?」

そう訊いたのは天綺だった。細い指で長い白髪を押さえながら、じっと柚木を見つめてくる。


「うん……。君たちと話したこと、見た景色、心に残ってる」

「……ふうん」

それきり天綺は何も言わず、視線を海へと戻した。

その横で明が、ぽつりと口を開く。

「ループ、したんだな。」

柚木は、返事に詰まった。

だが、嘘をつく理由もなかった。

「……うん。やり直したかったんだ。……紗也を、君たちを救うために」

「紗也……。ああ、そっか。こっちの時間ではまだ……」

明の声が波に溶けていく。

「おれたちが守っているのは、もう鍵じゃない。天綺の過去、おれの過去__それをお前が再び知ろうとするなら、それ相応の覚悟がいるよ」

「…柚木、大丈夫?」

セラテルは心配そうに柚木を見つめるが、柚木本人の表情は、顔一つ変わらなかった。

天綺はゆっくりと立ち上がり、柚木の方へ歩いてくる。

その瞳は、どこまでも静かで、けれど刃のような鋭さを湛えていた。


「……ねえ、柚木。あの時、俺たちの“異端”を受け止めてくれた君が、もう一度ここに来た意味。俺たちはまだ分からない」

「でも、お前があの時本当に優しかったことは……忘れてない」

天綺が手を伸ばす。

「ついてきて。前とは違う場所で、話をしよう」


海辺から続く階段を上がり、ふたりに連れられて辿り着いたのは、学園の中でも最も古い一室だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ