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花ヨ、終焉ヲ告ゲヨ。  作者: 黒雨 のゆ
第八章 壊れなかった約束
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第一幕 潮騒の記憶

波音が、耳の奥に優しく響いた。

目の前にはどこまでも青く澄んだ海。そして、その中央に浮かぶ学園。

空に溶け込むような青と白の建物が、陽光に照らされてきらめいていた。

懐かしさにも似た感覚が心の奥に微かに波打っていた。

「正しい流れじゃないけど……ここまで辿り着けた。」


そう答えたのは、隣に立つセラテルだった。

今は自然に柚木の傍らにいる。

確実に流れが変わった。

柚木が、自らの手でループを選んだあの日から。

「今回は、紗也もいる。埜楼も……。だから____」

柚木は自らに言い聞かせるように、一歩を踏み出す。

秩序を重んじるこの学園に、再び足を踏み入れる。

学園の門をくぐると、潮の香りとともにひんやりとした静けさが広がっていた。


廊下を歩いていると、前方から人影が現れる。

「……やっぱり、来たんだな。」

声の主は、湊崎 夜斗。

整った制服を着こなし、真っ直ぐな瞳でこちらを見据えている。


「君の瞳は、何かを知っている目だ。柚木 來那」


その名を呼ばれて、柚木は僅かに息を呑んだ。

記憶は曖昧なまま。でも、前の世界での対話_夜斗の孤独、その優しさ、全てを心が覚えている。

「……また、話したい。夜斗とちゃんと……この世界のこと、人の痛みのことを。」

そう告げると、夜斗は微かに目を見開き、そして静かに頷いた。

「……その前に、紗也のこと。____ありがとう。副官の上にいる四方幹部として礼を言う。」

頭を下げて感謝の言葉を送る。その姿勢からはまっすぐな誠意が見られた。

「…それと、君がセラテルか。……星を導き、新たな星へと軌道を照らす、だったか?」

「……導くものも、導かれながら生きるの。」

何かを擦り合わせるように言葉を紡いでいく二人に疑問を抱く。

「…どういうこと?二人は何を知ってるの?」

「ううん、なんでもない。気にしないで。」

セラテルが首を振りながら何食わぬ顔で柚木を見つめる。

夜斗は踏み込むなというように話を切り替えた。


「そして、この学園には、君のように『覚悟を持った者』だけが入れる部屋がある。

君が何を望み、何を変えようとしているのか___それを、見せてほしい」

セラテルと共に夜斗の後ろを着いていく。

記憶が重なり、心が軋む。

けれど今度は、誰かを失わないために。

柚木は、再び歩き出す。

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