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花ヨ、終焉ヲ告ゲヨ。  作者: 黒雨 のゆ
第七章 仮死の彼岸に咲く花
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第二幕 記憶の積乱雲

雲が、暗くなっていき雲行きが怪しくなる。

柚木は怖がる事なくまっすぐ目を見つめていた。

「…紗也を救いたいんだ。もう、同じことはしない。」

「……紗也を、救う?」

彼方の言葉は、試すようでもあり、願うようでもあった。

柚木は、真っ直ぐ目を見て頷く。

「前の世界で、紗也は……俺たちの目の前で消えていった。今度こそ、守りたい」

その回答に彼方と孤亜は互いの顔を見合わせた。

「…唯人の言った通りだね。彼方くん。」

「…あぁ。……柚木。本当に一度ここへ来たんだね。」

「うん。……ここに来る前、甘虎と西地方で意思の共有をした。だから、今回こそは出来る気がするんだ。」

孤亜が柚木の頭を雑に撫でる。

「……君みたいな前を向ける子が来てくれてボクたち本当に嬉しいよ。」

慣れない孤亜の手の動きに柚木は恥ずかしさを感じる。

「……俺、紗也を助けてからじゃないと、元の世界に戻ったとしても心残りしそうだし。」

「……なら、俺たちとも "意思の共有" をしよう。」

そして、彼方と柚木は手を触れ合う。

すると一筋の小さな光が掌で輝き出した。

「西地方で何があったかは分からないが、柚木の心を動かしたんだろうな。……光が温かい。」

彼方は瞼を閉じ、そう呟いた。

そして孤亜が近づきそのひかりに手を差し伸べた。

「……ほんとだ。これなら紗也を、ボクたちを、柚木たちそれぞれが願ったものが現実にできそう。」

孤亜も瞼を閉じ、意思の共有の終わりの合図かのように掌で輝いていた光が消えた。

「………これで、君が体験した時空の出来事が、俺たちにも伝わった。」

「…本当に、紗也を失い、唯人も散って、クロユリも倒れたんだ……記憶だけなのに、ボクが体験したわけじゃないのに、こんなにも辛いんだ。」

孤亜は、俯き、普段の陽気な口調とは違い、弱々しい反応だった。


そしてセラテルが後ろからそっと肩に触れる。

「ここに満ちているのは、“空”のような真実だよ。目を逸らさず、雲の奥の記憶を見つけて」

そのとき。


____ザァ……


空気が変わった。

辺りが霧のように白く包まれ、視界が揺れる。

そして、突如空から雨が降り始めた。

その雨は多く、冷たく、柚木たちの視界を奪う。

紗也の寝ていたベッドが、ふと消えたかのように消滅した。

「紗也!!!」

柚木は手を伸ばしたが、間に合わなかった。

あと一歩届かなかった自分に悔しさが募り、拳を強く握る。

柚木の反応とは裏腹に冷静な反応を見せるセラテル。

「……これは?」

「記憶の空間へ、導かれている」

孤亜が呟いた。

「紗也の心が、彼に応えた。柚木。君が呼んだからだよ」

そしてその瞬間柚木の意識は、白の雲の中に沈んでいく。

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