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花ヨ、終焉ヲ告ゲヨ。  作者: 黒雨 のゆ
第六章 かつて閉ざされた扉
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最終幕 再選択の果てに

試練を越え、庭園に戻る途中誰一人として口を開ける者はいなかった。

だが、その沈黙を破ったのは唯人だった。

「そういえばさ、柚木のその友達って、どんな人なの?」

柚木は幼稚園の頃の記憶を思い出し、曖昧な記憶をパズルのように埋めていく。

「…幼稚園の頃のことだから、曖昧なんだけど…その子、あんまり誰かといるイメージなかった。でも、俺とだけ一緒にいてくれて、たくさん話もしてくれた。俺、小学校行ったのって、その子が転校した後だったから、今はもうどこにいるのかも分かんないけど」

「そいつ、結構な一匹狼みたいだな。群れを作らないってさ。」

埜楼が頭の後ろで腕を組みながら返事をする。

「そんな人が柚木に花をあげるくらいだ。相当君といて楽しかったんだろうね。その友達も。」

振り向く事なくまっすぐ歩く甘虎の背中は嫉妬や嫌悪などなく、安心したような、優しい雰囲気を出していた。

「俺、いますごく、その子に会いたいんだ。そして、もう一度その子と話がしたい。」

埜楼は顔を覗かせ、興味本位で問いかけた。

「ねぇ、その友達って名前なんていうの?唯人が鏡で見せてくれるかもよ」

「……灰牙…宵。って言うんだ。」

「灰牙、宵?」

いつも優しい声色をしていた甘虎の声が低く聞こえた。

「…唯人、鏡で見れたりしない?今の宵くん。」

「……あぁ…ごめんね。それは見れないんだ。名前一緒の人なんてたくさんいるし…」

歯切れの悪い唯人の反応に柚木は顔を顰めた。

甘虎の反応といい、唯人の回答。……柚木は違和感を感じた。だが、空気の悪さを中和させるかのように埜楼が口を開いた。

「…まぁ、そりゃあそうだよ。灰牙宵くん?だっけ。こっちの世界に来てたら言っとくよ。柚木が会いたいって言ってたって。」

「………うん。ありがとう。」

柚木はその違和感を口にせず、心にしまうことにした。



そして青い薔薇の咲く庭園の中央に着くと、甘虎が青と白の結晶のような鍵を手に光らせた。

「…………この鍵は、もう誰かを試すためのものじゃない。

未来を託せる人に預けるための“印”だ。……君になら、それを渡せる」

柚木は両手でそれを受け取る。

「ありがとう。……絶対に、みんなの願いも、守ってみせる」

甘虎は頷き、空を見上げた。

「あいつは、誰かが信じてくれることに一番救われる子だから。」

埜楼は、心配そうに柚木の方に手を置いた。

「"絶対"紗也を助けてくれよ。」

「_______二度も同じ目には遭わせない。だから、今回は力を貸してくれないか。」

柚木は不安気に、でも力強く三人の目を見つめる。

唯人は苦笑いしながらも柚木にこたえる。

「もちろんだよ。俺も、死にたくないしね。笑」


その光景を一歩後ろで見ていたセラテルがそっと呟いた。

「少しだけ、未来が変わり始めたよ」

柚木は微笑んだ。

「うん。……今度は、間に合うかもしれない」

「絶対、成功させようね、柚木。」

柚木はこくりと頷く。

「_____柚木。」

甘虎が呼びかけ、振り向くと三人が手を振っていた。

「またあとで。」

「うん。また、あとで。」

柚木とセラテルを包み込むように天井から降る金色の光は、どこか色あせて見える。花の香りはほとんどなく、代わりに風の匂いだけが残る。目を開けると、見覚えのある高所の空が広がっていた。

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