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花ヨ、終焉ヲ告ゲヨ。  作者: 黒雨 のゆ
第六章 かつて閉ざされた扉
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第三幕 選択を託す者

少し、変わった気がする。

風の匂い、神殿の雰囲気、揺蕩う草木。

柚木の感じ取るもの全てが以前のものとは違う。

セラテル、唯人、埜楼と共に甘虎の元へと向かう。

「甘虎は分かってくれるはずだよ。君がいた時空の甘虎も、優しかったはず。」

「でもさ柚木。お前はなんでおれたちを救おうと思ったんだ?クロユリって恐れられてるはずなのに。」

甘虎の元へ進めていた柚木の足が止まる。

「俺_____クロユリみんなの過去が見えたんだ。それと、組織が出来た理由も。」

唯人と埜楼はそれぞれ顔を見合わせ、困り顔で笑った。

「…………そっか。もう、うっすら知ってんだね。」

「……お前、いいやつなんだな。根っからの。」

セラテルは、柚木の前に行き微笑んだ。

「君は、僕がいない地方でも元の世界に帰るため、たくさんの試練を乗り越えた。でも、手に入れれたのは鍵だけじゃない。それと同時に心を強くすることも出来たんだね。安心した。」

「セラテルが心の中にいてくれたから。それと、クロユリたちも俺を助けてくれた。初めはルシェルが『反体制集団だからくれぐれも気をつけろ』って言ってたから怖かったけど、実際はそうじゃなかった。___クロユリは "少数の異端を受け入れる人たち" だったんだって。」

あたりは風の音が鮮明に聞こえる。さらさらとした草の擦れる音、神殿の道を照らすランタンの灯。

埜楼は、そのランタンの灯を見つめながら静かに呟いた。

「____

「さぁ、甘虎の所に行こう。」と、言うようにセラテルが三人の背中を押す。



そして最後に現れたのは、再生の花が咲き誇る庭園。

その中心に、静かに立つ甘虎がいた。

「君の足音は、ずっと聞こえていたよ。……やり直しの歩みだね」

「甘虎……君には、全部話しておきたい。今、ここで」

柚木は自分の記憶、ルシェル、紗也のこと__すべてを語った。

甘虎は一言も遮らず、最後まで聞いた。

「……そうか。よく頑張ったね。なら、さらにルシェルに負けないために、君の奥深い所にある記憶と向き合い、自分を見つめ直そうか。」

甘虎が庭園の奥へと進んでいく。

あたりには青い薔薇が咲き誇っていて幻想的だった。

「青い薔薇。綺麗だろう?…………“奇跡”って言うんだって。でもその反面、“不可能”とも捉えられるらしい。」

甘虎はゆっくりと一輪の青い薔薇を手に取り、柚木に差し出した。

「____僕は前者の意味として君に渡そう。“不可能”を“可能”にするのが君だから。」



そして前も来た、あの試練の間。

ただの石に見えていたあの扉も、“再生”を意味する古代文字が浮かんでいた彫刻も、懐かしさを感じる。

ゆっくりと戸に手をかけた時だった。

「柚木。この鏡によると、前に体験したものよりもっと辛く、苦しいかもしれない。大丈夫?」

心配そうに見つめる唯人にさらに戸を掴む力が強くなる。

「_______ここを越えなきゃ、誰も救えない。俺は大丈夫。___だって、みんながいるでしょ?」

「おれたちはずっとお前が戻ってくるのを待ってる。絶対、死ぬなよ。」

埜楼は柚木の背中を押すように声をかけた。

_____そしてゆっくりと扉を開け、吸い込まれるように足を進めた。

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