剣玉トーク
俺たちが今ハマりまくっている遊びは、剣玉!
剣玉は昔ながらの玩具で令和に代わりつつある今なおロングセラー商品としてブレイクしている遊び道具!
俺たちは学校が終わるとやな宿題はみんなごみ箱にポイして、土管がピラミッド型に積まれたくそ狭い空き地で剣玉持参で集合する!
本音を云うと、俺は今土管のステージで歌声を披露したいところだが、それはまた次にしよう!
付け足せば間近にあるありふれた一戸建てには坊主頭の怖いおっちゃんが住んでるけど、今日は野球じゃなくて剣玉だから安心!
空き地に集まるメンバーは、俺の後ろを付いて歩く金持ちボンボンと眼鏡を掛けたダメ男と下手なくせにバイオリンを人に無理矢理聞かせる顔だけの女と帽子を被ったジミヅラの男と肥満の男と青いAI!
どいつもたいした事のない脇役の奴らばっかりだから、ここは俺がカッコ良く剣玉を決めてやるぜ!
剣玉なんて楽勝……!
「びび太さん、剣玉上手ね!」
「びび太のクセに生意気だぞ!」
「剣玉はびび太くんの特技なんだよね」
「ふふん、ボクは剣玉、あやとり、射的、昼寝なら天才なんだよね!」
「俺の剣玉で殴らせろや!」
その時間近にあるありふれた一戸建ての窓から、怖いおっちゃんが怖い顔面を出して怒鳴った!
「じゃかしいわ!
家帰ってイビキかいて寝とけ!」
世知辛い世の中、剣玉さえも出来やしねえ!