甘液の小瓶2
「この遊園地にはどんなアトラクションがあるの?」
友莉が興味津々にファルシュに聞いた。
「当園ではアトラクションを楽しむ順番が決まっています。1番 コーヒーカップ、2番 空中ブランコ、3番 お化け屋敷、4番 バイキング、5番 ジェットコースター、6番 迷路、7番 観覧車……ですね。」
「意外と普通の遊園地なんだ。」
少し残念そうに呟いた。しかし、暫くして思い出したかのように聞いた。
「…あ、1つの所で遊ぶ時間の制限とかはあるの?」
「そうでした、伝え忘れていました。1つの場所で遊べる時間は15分です。」
「思っていたよりも長いね。」
「それと、甘液の集める量にはノルマがあります。小瓶に薄く線が入っているでしょう。その線を越えるように15分間楽しんでください。」
「…線…ってことは小瓶の 3分の2 ってとこね…。ノルマを達成できなかったらどうなるの?」
ファルシュは少し黙り込んでから、口を開いた。
「そうですね…。ノルマを達成してもらえなかったスタッフは自我が保てなくなり、貴方を食い散らかすでしょうね。貴方は彼らからは逃げられません。」
「なんで余裕もって甘液溜めとかないの。なんか格好つけて「1年に1人しか入場できない」とか言ってたけどさ…。そんな極限状態になるまでサボってたら駄目じゃん。」
「そういう契約なんですよ。」
友莉が「契約?」と聞き返すより先に、ファルシュが発言した。
「着きましたよ。」
「……わぁ…おっきい…………綺麗……」
「1つ目のアトラクション、コーヒーカップです。」