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エピソード0

魔王討伐のため勇者となった青年レノ。彼は転生者として勇者の失われた世界にやってくる。

このお話はそんなありふれた異世界転生物語の少しだけ前のお話。彼を救ってくれた人の話。

これから始まる物語


私には夢がある。私の夢は叶わない、もう遅すぎるそんなことは分かってた。時間が戻ればなんて考えた。全てを始めからやり直せたらなんて荒れていた。でもそんなことできるはずない。私は希望的観測、天文学的数字、星を掴むような、、、そんな夢を描いている。



魔法には4種類の形式がある。1つ目は詠唱魔法。これは一般的な魔法である、詠唱魔法とは言っても詠唱を破棄、省略することで威力は下がるが簡易的に魔法を発動させることもできる。2つ目は魔法陣。これは都市の魔法壁、転移魔法など魔法を発動した際の維持、管理が必要なものに使われる。分かりやすく言うとテレポートみたいな魔法には魔法陣をA地点B地点に用意することで発現させることが出来る。詠唱魔法に比べてコアの消費量も多く、2,3人で発現させる。3つ目は古代魔法。これは召喚魔法や時間魔法などかつて存在していたと言われるロストマジックと呼ばれるものであり噂では魔王や伝説の勇者が扱えるというものである。

そして4つ目魔法というには人智を超えすぎている神術。存在は太古の書物でのみ確認されているがおとぎ話ではないかとも言われている魔法。古代魔法とは異なり世界の理から外れている魔法である。先程古代魔法で説明した時間魔法では、植物、動物の時間を早める、進行を遅くするなどの系統の魔法でありこれにより魔王は何百年も君臨していると言われている。しかし神術は時間そのものを巻き戻す。全てを無かったことに、、それは術者以外誰も感知すら出来ないと言われている。他にも記憶、能力を引き継ぎ転生する魔法、全てを一瞬で消す魔法。そんなものがあると言われている、、、、



今日も目覚める。私は錬金術として表向きは治療薬などを売って生活している。朝起きて開店に向け準備をする。私の作る薬は主に王国の騎士へ売る薬である程度安定した受注があるため生活に困ることはない。腕の1本くらいなら生えるなんて噂になってるらしいがそこまで強力なものは作るのに時間がかかり過ぎるため普段は生命維持をできる程度のものだ。

今日も受注分の販売が終わり昼には店を閉める。私はここから魔法の研究に取り掛かる。とは言ってもなかなか上手くいかない


「今日もよろしくね。」

私がそう言うといつも元気に姿を現す。


「協力はするけど、いつも無理をしすぎだよ。

昨日も遅くまでやってたじゃないか、ほらたま には街に遊びに行くのはどうかな?」


「精霊様はたくさん時間があるからいいですね。私なんてもう32だよ。あれからもうすぐ17年だよ。いつ魔王が動き出すか分からないんだからのんびりする時間はないの。」


「ナズナは無理しすぎだよ。無理に魔王を倒さなくてもいいじゃない。」


シアはいつもそう、私を止めるくせに研究の協力はしてくれる。彼が勇者として魔王の討伐に向かったあの日から私は魔法の研究を続けている。きっかけは彼と一緒に歩きたいなんて理由だったけど、、あの日あれから会えなくなった彼、、


「そうね、、余り無理しても上手くいかないかもね、たまには街に出かけて見ましょうか」


------------------------------



ナズナとシアは王都へ向かう。ここレストア王国には様々な店が立ち並んでいる。街に建物が整列しており歩道と馬車道の間には多くの屋台が出ている。その他にもこの辺りで1番大きな冒険者、商業ギルドがあり、毎日人々で賑わいを見せていた。

2人は冒険者ギルドに入っていく。


「「ナズナなんで冒険者ギルド??」」


「「構築した魔法の威力試そうと思って」」


「「結局魔法の研究じゃないか」」


「「気分転換もできるし、ほら、、魔物とかどかーんって」」


「ようこそ、冒険者ギルドへ」


「こんにちは、クエストを受けたいんですけど」


ナズナは受付の女性に話しかける。


「ナズナさん〜!!ちょうどよかったです!実は最近周辺の森の奥地にジャイアントパンサーが住み着いてしまったせいで大型魔獣や小型魔獣が周辺の村へ出てくるようになってしまったんです。Aランクの任務なんですけど是非お願いします!!!」


ナズナの手を取り受付嬢が頼みこむ。

ナズナはSランク冒険者の資格を持っておりよく冒険者ギルドに顔を出しては魔法の実験ついでに魔獣を倒していた。


「わかりました。ちょうど試したい魔法があったのでちょうど良かったです。」


「ありがと〜ございます!!!!パーティーメンバーの募集あればおすすめの方が何人かいるのですが?いかがですか?」


「いえ、今回も1人で大丈夫です。」


「でもっ、、、あっ、、」


クエストを受けるとナズナは足早に冒険者ギルドを出ていく。


「よかったのかい、せっかくメンバー紹介してくれるって言ってたのに」


「いいのよ、私は1人の方が楽だもの、、、」


ナズナの横顔はどこか寂しげな表情を浮かべる。森の奥へ進むとジャイアントパンサーのねぐらと聞いた洞窟が見えた。


「あそこね、この時間なら狩りに行ってないだろうし目撃情報的にもあの中ぽいね。」


そう言いながらナズナは魔法を唱える。


「広域魔法 周囲感知」


ナズナを中心に淡い光が森に広がる。

淡い光は2キロ程先まで広がっていく。


「詠唱短縮でこの広さ、さすがナズナだね」


「一応、洞窟の内部も探知したけどそこまで広くないし奥の方に魔獣の感知ができたからあの中で間違いないと思う。」


「なら、サクッと倒してギルドで1杯行こうじゃないか」


シアが上機嫌に言う


「あなたをギルドで出すと大変なことになるからダメよ。」


「ちえぇぇ、ナズナの意地悪」


「そうね、誘い出してもいいけど変に暴れられても困るしこのまま洞窟の中で倒しちゃいましょうか。」


そう言うと再びナズナは詠唱を始める。


「光よ貫け ホーリーランス」


そう唱えると光の柱が洞窟へ向かっていく。

洞窟の中で激しく光るとゆっくりと光が収まっていく


「一応、詠唱短縮で威力は押えたけど、詠唱破棄で良かったかもね」


「光の最上級魔術を詠唱破棄できる人なんてほとんど居ないけどね」


「さぁ、さっさと素材を回収して帰りましょう。魔法の威力や範囲も試せたし今日はこのくらいでいいかな」


そう言うとナズナとシアは洞窟の中へ入り倒したジャイアントパンサーから素材を回収してギルドに戻った。


------------------------------

「査定と依頼達成の報告に来ました」


「さすがナズナさんですね。それにしてもジャイアントパンサーを1人でしかもこんなに短時間で倒してくるなんて、SSランクへの昇格はやはりダメなのですかね、、、」


受付の女の人が私にそう話しかける。

ギルドのランクは基本E~Sランクに振り分けられておりSランクになるとどこに行っても重宝されると言われている。しかし最高ランクがsという訳ではない。SSランクになるとその地域の王国直下の冒険者として王国から様々な依頼を受けることができるようになる。私はいつでもSSランクへの昇格が可能であるがSSランクになるタイミングは次の勇者が現れ、魔王討伐へ向けた編成が行われる時にと決めている。

Aランク以上であれば魔王討伐に参加はできるのだが単独行動が許されるのはSSランクだけなのでそのタイミングまでにSSランクの昇格をしておかなければならない。しかしその勇者が彼を最後になかなか現れない、巷では彼はまだ生きているなんて噂も出るくらいだ。ほんとに生きてるならなんで帰ってきてくれないのよ、、、


「ありがたいお話ですが、魔王討伐に向け自分のペースで調整していますので保留にしといてください」


「わかりました。確かにSSランクになるとドラゴン討伐の編成への参加なども義務になりますので、ギルドとしてはナズナさんの功績も考えてSSランクになってもらいたいのですが治療薬のこともあって王国も無理にとは言ってないですからね。」


「すみません、ありがとうございます」


私はそう言うとギルドを出て家に向かう。


「「ナズナもうちょっと人と関わろうよ」」


シアが話しかけてくる。人がいるところでは念話を使って話す。目立ちすぎるのとシアがあまり人目に付くと色々と問題がある


精霊、それは契約することで魔法の力を10倍以上にも膨れさせることができるこの世界の不思議な生き物だ。特にシアは特別で私もそこそこ魔法は使えたがシアの力を借りることで古代魔法の発動も可能になっている。こんなことがギルドにバレてしまったらSSランクどころか王国に匿われて象徴のような扱いを受けてします。シアが取り上げられでもしたらそれこそ、、、、


彼がいなくなって彼の消失の連絡を受けた時私はまだBランク冒険者になったばかりだった。幼なじみだった彼は12歳の時勇者の力に目覚め15歳の時魔王討伐へ向かった。私も着いていこうとしたがあの頃は力不足で彼の帰りを待つことになった。


彼はほんとに凄かった。歴代最年少にして最強の勇者として魔王軍の幹部を次々と倒し魔王城へ乗り込んだと聞いている。しかし、魔王の力は絶大で力足りないと判断した1部の残兵士を除いて総勢300人の兵士、冒険者が帰らぬ人となった。そう、彼も、、、、


それから2年が経ち私もSランクの冒険者となり単独で魔王城へ乗り込もうとした時シアと出会った。魔王への復讐しか考えてなかった私に今の力では魔王軍を討伐できないと愉し、魔王軍討伐に向け私に色々な知識と力をくれた。それでも魔王を倒すには力が足りないということで勇者の再来を待つことにした。そしてそれからもう9年が過ぎてしまった。


------------------------------


家の中は暗く誰もいない。1人で暮らすには広すぎるこの家は寂しげな雰囲気をいつも漂わせる。


「ナズナ、、、」


「うん、大丈夫、少し帰りながら考えちゃっただけだから」


シアが心配そうにナズナを見つめる。


「今日は早めに寝よ」


「ダメだよ、いつ勇者が現れて魔王討伐に行くか分からないんだよ!彼の、、彼の仇を、、、私が、、、、、」


「...........ナズナ、ごめん......」


「ううんいいの、私こそごめん、叫んじゃって」


そう言うとナズナは地下の研究室に籠る。いつも遅くまで魔法の研究をしている。神術の研究を、、





ドンドンドンドンドン

家を叩く音が響く


「ナズナさん!ナズナさん!!」


朝早くからナズナの元に1人の青年が訪れる


「シン、、、おはよ」


「おはよう、ナズナさん、そんなことより、、勇者が、、、兄さんの次の勇者が現れたって」


「ついに、、やっと、、この時が、、、」


「魔法を急いで完成させないと、あれはさすがに無理だからあれだけでも、、、、」


「教えてくれてありがとう、じゃあね」


「ちょっナズナさん!??、まっ、」


ナズナは朝から地下の研究室に閉じこもる。


「ついに現れてしまったのか、、勇者が、、」


シアがぽつりと呟く。シアの目は真っ直ぐにナズナを見ていたが少し悲しげな顔をしていた。


それから数日ナズナは地下の研究室にこもったまま出てこなかった。


「できた!!!」


家中に声が響く。


「少し心もとないけど、今までやれることをやった、魔王、必ず倒してみせる」


そこで異変に気がつく、、、、


「シア????ねぇ、ねぇってば!」


シアの姿が消えていたのだ、、、、、


------------------------------


シアが居なくなった、、どうして、これからだって時に、私は困惑した。その日はそのまま眠りについた。疲れが溜まっていたのだろう、起きればシアがいるそんなことを思いながら私は眠った。


朝起きるがそこにシアの姿はない、、、、


「どうして、、、どうしてみんな勝手にいなくなるの、、、」


それでも私は行かなくてはならないのだ、やり遂げなければならないのだ。そう強く決心し魔王討伐へ向かう。


ギルドに行きまずはランクの昇格の手配をして勇者が訪れる初めての街に向かう。聞いた話だと勇者は16歳、元々貴族出身の男の子だったらしいが魔法と剣の才能が秀でており先日勇者の称号を授かったとの事だった。


あれから17年が経とうとしている。魔王軍も騎士たちもあの頃とは随分変わってしまった。変わらないのは魔王だけ、私はシアの力で年齢の進みを抑えたので25歳程の見た目をしているがそれでももう33歳が近づいている。勇者をサポートする立場になってしまった。でも、私は私の目的のために必ず魔王を倒して見せる。そう決意をし私は旅に出た。



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