5/24(土)~5/27(火):アイテム集め
ダンジョン都市生活三日目。まだ三日しか経っていないのか。
「先に進むか。集めるか」
今日の選択肢は二つある。
ハイピジンの先に進んでドロップアイテムを解放していくか、スライム、チンアント、ハイピジンの三体のドロップアイテムを集めるかの二つだ。
別にどちらでも構わない。どちらもモチベーションは高い。
「……コイントスだな」
こういう時は悩むよりも適当に決めた方が時間の節約になる。
カバンの中に入っていた財布を取り出して五百円玉を手に取る。
「表なら前進、裏なら停滞」
五百円玉を上に弾いて落ちてきたところを手の甲に合わせて止めた。
「……アイテム集めだな」
手を開けば算用数字が書かれている面であったため裏。今日はアイテム集めの日だ。
次に今のアイテムを見て目標を立てることにした。
魔法は初級水魔法×9、中級水魔法×29、初級土魔法×114、中級土魔法×285、上級土魔法×3、初級風魔法×96、中級風魔法×197、中級火魔法×1、中級雷魔法×1、中級光魔法×1、上級光魔法×3、上級闇魔法×3、魔弾×11、魔力障壁×1、初級ヒール×1、中級ヒール×1、浄化×1、解毒×1、聖火×1。
スキルは虫特効×9、鳥特効×100、亀特効×101、守護騎士×1、弓兵の目×1、暗殺者の足×1、鍛冶師の誇り×1、聖騎士の覚悟×1、聖女の祈り×1。
アビリティは念話×73、感知×78、魔力操作×68、衝撃吸収×1、オートガード×1、気配遮断×1、使役×1、硬化×1、百発百中×1、千里眼×1、音操作×1。
これを二日で集めたのはすごいなと悦に浸りつつ、時間をかけていなかった水魔法が少ないのは当然か。すぐにチンアントのエリアに向かったからな。
となれば、スライムエリアから先にするか。超級水魔法を十個、上級水魔法を百個、中級水魔法を百個、初級水魔法を百個を目標にするか。
超級水魔法は上級水魔法が五個。上級水魔法は中級水魔法が五個。超級水魔法十個と上級水魔法百個は中級水魔法換算だと、750個必要になるわけだ。しかもそこから中級水魔法×100の目標だから850個集めることになる。スライムだからそれくらいなら行けるか?
いや、スライムは出てくる勢いがないから集まりにくいか。
「ま、やるか」
ステータスも上がっているんだ。スライムが出ている場所を片っ端から倒していけばいい。
戦士の剣も十分に補充してスライム狩りに向かった。
「ふっ……最後の一つが落ちた」
丸二日かけて中級水魔法と初級水魔法合わせて950個を集めることができた。
すべてのスライムがLv3であったから950体倒したことになる。千体くらい倒すのに二日しかかかっていないことが驚きだ。
Lv2の時に一ヶ月かかったのがウソのかのようだ。でもこのダンジョン都市では出現効率が普通のダンジョンの比ではないからダンジョン都市がすごいのだ。
無事に超級水魔法×10、上級水魔法×100、中級水魔法×100、初級水魔法×100を集め終えた。俺が水魔法が欲しいと思っていたから虫特効は全く出なかった。
さらにスライムが相手でも一体300EXPを得ることができてデイリークエストで十万EXPもゲットしたからレベルも上がった。
『新月学人
Lv148
HP(2311/2311)
MP(900/903)
ATK:1553(+520)
DEF:871(+10)
AGI:959(+3)
DEX:808
RES:727
LUK:13217
EXP(15225/19493)
スキル
スライム特化/剣士の心得/虫特化/虫特化/鳥特化/鳥特化/剣王凱旋/スライム超特化
アビリティ
感知/属性付与/魔力操作
魔法
中級水魔法/初級水魔法/中級土魔法/初級土魔法』
スライムを剣で倒していたことで二つのスキルを獲得することができた。
『剣王凱旋
分類:スキル
ランク:8
剣による被ダメージ無し。剣の耐久力軽減。剣の攻撃に不死性無効と絶対斬撃を付与。ATK+500』
『スライム超特化
分類:スキル
ランク:5
種族にスライムが付くモンスターからの攻撃をほぼ無効化しモンスターへの攻撃を即死レベルにする』
剣王凱旋って名前がヤバすぎだろ。それに効果もヤバすぎる。剣王の名は伊達ではないということか。
それからスライムを千体倒したことでこのスキルを得ることができたがこれでスライム相手なら俺は無敵に近くなったのか。
スライムの上位互換がいればいいがいなければ、まああまり必要にないスキルだな。
それにしてもステータスがATKに特化している気がするな。魔法剣士というよりゴリラになりつつある。
「今日は終わりだな」
超級水魔法とか上級水魔法を手に入れることができたけど、輝夜にはまだレベルが上がっていなくて使えないから今はいいと言われている。
ダンジョン都市生活五日目。
三日目と四日目はスライムのアイテム集めをしたがどうせならこのままチンアントとハイピジンのアイテム集めをするか。
でもスライムの時とは違ってすぐに済むと思っている。だって一気にあの数が襲い掛かってくるのだからすぐに終わらないはずがない。
スライムの時は感知を使って効率的に殺しまわっていた。でも集団でいるチンアントとハイピジンはその必要がなく襲い掛かってくる。
次のチンアントもスライムの時と同じ目標でいいだろう。
念話はどうするか。欲しくないわけではないと思っておこう。これでどうなるか。
「うわ……境界線があって良かった」
チンアントエリアに近づくと、境界線がハッキリと認識できるくらいにチンアントが押し寄せていた。
ハイピジンは境界線に近づくと追うのをやめていたのに今回のチンアントは違う。
……スライムを倒していて思ったんだが、もしかしてモンスターを倒すたびに出現する量が増えているのか? それを検証するのは意味がないことだな。そうだとしても何だという話だ。
「くはっ!」
境界線の外から安全に攻撃なんてしない。跳び上がってチンアントの真上に行く。
「ふっ」
スライムを倒していた時に気が付いたけど中々使うことがなかった技。空中のまま剣を振るうと剣の軌道上にいたチンアントが剣圧で切り裂かれた。
「くはっ! いいねぇ!」
こんなことができるようになるなんてとうとう俺もファンタジー世界に足を踏み入れたか!? いや魔法を使っているんだから踏み込んでいるか!
チンアントの死体に上に降り立ち、全方位から向かって来ようとするチンアントに剣圧を放って殺していく。
『離れた場所から剣でモンスターを一分以内に十体討伐達成』
『飛剣の太刀習得』
『飛剣の太刀
分類:アビリティ
ランク:7
剣を構えた先にある半径百mの物体に斬撃を与える。
剣を振った三百mまで斬撃を飛ばす』
「んおっ」
こんなアビリティまであるのか。ヤバい、これじゃあ魔法剣士じゃなくてゴリラ剣士になってしまう。
でもこんなアビリティ使いたいと思うに決まっているだろ。狙っていないのにどんどんとサブステータスが増えて行く。
「飛剣」
剣を振るえば飛ぶ斬撃によってチンアントが遠くまで斬れた。
「ニードル」
土魔法で無数の棘を地面から出してチンアントを串刺しにする。
さすがに剣だけで倒すのはあれだと思って魔法も使っていく。これだけの数がいれば千くらいは一日で倒せそうだな。
と思っていたがどういうことだ。この数は。剣王凱旋のスキルがなければ剣の消費があり得ないくらいだった。
「多すぎるというレベルじゃないだろ」
倒せば倒すほど確実にチンアントの数が増えていき、午前中だけで千は倒せてまだまだ増えている。
おそらく倒した数とそれにかかった時間で出現するモンスターの数が増えているんだ。集団で簡単に倒せるからこそ、こんな津波のような感じで来ているのか。
「ふぅ」
さすがにここまで数がいれば疲れてくる。前半も終わったから一度都市に戻った。
囲まれたところで逃げれるしチンアント単体が強くなったわけではないから窮地と言うわけではない。ただ数が多すぎる。
でも効率的と言えば効率的か。倒した数とかかった時間で増えて行くのなら無理難題ではなく段階を踏んでいる。この場所がレベルアップやサブステータスを増やすための場所であるなら、この増え方は間違っていない。
それが画面の中のキャラを操作しているだけならいい。だけどこうして体を動かしている生身だから精神的に疲れてくる。そういう面は配慮されていない。
ま、配慮されたところで俺は文句を言うが。
さっき手に入ったドロップアイテムは初級土魔法×59、中級土魔法×931、念話×112だった。もう目標は達成しているから超級土魔法と上級土魔法を合成した。
元々のを合わせると超級土魔法×10、上級土魔法×100、中級土魔法×481、初級土魔法×162になった。
昼休憩も終わらせて早速ハイピジンエリアに向かう。
「もう減らないのか……?」
チンアントエリアはすべて埋め尽くされているのかと思うくらいにチンアントがうじゃうじゃといた。集団恐怖症の人が見ればかなりヤバい絵面だ。
この数のリセットはされないんだろうな。でもこれなら土魔法が簡単に手に入ると思ってもいいだろう。
さすがに一回跳んだだけではチンアントエリアを抜けれないから一度着地することになるが、そこで口を開けて待っているチンアントたちに飛剣の太刀で斬ってチンアントの死骸を踏んで跳躍する。
数回繰り返してハイピジンエリアになるのだが、こちらもまたチンアントエリアみたいになっている。
しかもハイピジンは地上と空の両方でいるから厄介だな。
「飛剣」
跳躍している間に飛剣を連発して空にいるハイピジンやら地上にいるハイピジンを斬っていく。
「空間すべて埋め尽くすんじゃないのか?」
チンアントでもそうだがそうなってしまえば普通のダンジョンよりも地獄だろ。
「ま、いいけど」
水魔法で水を手のひらから出してハイピジンたちを押しのけてハイピジンエリアに入る。
チンアントの時よりか厄介な相手だがもうハイピジンの行動パターンは読めている。
「やるか」