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5/23(金):魔法の検証

 輝夜は今日も仕事なため出かけた。


 俺は輝夜の提示した金額を貯めるために通常のダンジョンに向かおうとしたが、一週間はダンジョン都市で牙を研ぐことにした。


 危険と隣り合わせの冒険者稼業で大金を稼ぐのは環境が揃っていれば簡単だ。ある程度までなら魔石はお金になるし素材もお金になる。スライムの体液はならないけど。


 だが冒険者を続けるためにお金がいるし、何より素材を加工する人がいなければ体一つでは危険な場所だ。


 武具を作成するスキルやアビリティはあるようだがそれでもごく少数と聞く。それを習得している人はすでにクランに入っているだろうからな。


 つまりクランに入っていない個人やパーティがダンジョン攻略をしようとしたらある一定のところで止まる、らしい。


 俺は今までスライムしか狩っていなかったからそういうことは知らなかった。そういうことを輝夜が教えてくれていた。


 でも、俺にはダンジョン都市がある。ダンジョン都市で武具は魔石があれば揃えることができる。


 だからダンジョン都市である程度揃えてからでも問題はないはずだ。


 ということで荷物をアイテムボックスの中に入れてダンジョン都市二日目の生活が始まった。


『残り日数二十九日』

『デイリーボーナス獲得』

『ランク5魔石二十個獲得』

「ランク5の魔石ってどういう相手で出てくるんだ……?」


 こうしてデイリーボーナスで貰えるのはいいが、チンアントもランク1の魔石だったからランク5の魔石を出すモンスターはどいつなのか。


「あっ、ガチャって」


 あの一回無料のガチャは日を跨げばできるのか気になってガチャのところに向かう。


「できるな。やるか」


 無料のガチャは回さないと勿体ない精神が働いてしまう。昨日と同じようにランク3のガチャを無料で一回回した。


『中級雷魔法

 分類:魔法

 ランク:3

 消費MP:10』

「おぉ、雷魔法だ」


 今のところ水はスライムから出て土はチンアントから出るがそれ以外は分かっていないからこういうところでの魔法はありがたい。


「デイリークエストが更新されてる」


 昨日は鉱物のクエストができていなかったのが少し気掛かりだが採取できる場所が分からないから仕方がない。


『モンスター二百体討伐(0/200)

 報酬:EXP50000』

『モンスター十種討伐(0/10)

 報酬:ランダムアビリティ』

『魔法でモンスターを十体討伐(0/10)

 報酬:ランダム上級魔法』

「ん? 何だかクエストの難易度が上がっている……?」


 昨日のクエストよりも難易度が上がっているように感じる。俺のレベルに合わせてデイリークエストが変わっているのかもしれない。


 それはそれで好都合だ。これでデイリークエストの難易度が高くなければそれだけ貰える報酬のレベルも落ちる。


 だが一番目と三番目は簡単にできるだろうけど、二番目は今のところ二種しか出会っていないから今日は無理か。


 ランク1の魔石しか持っていないから武器も買える物もなく戦士の剣を五本補充してから都市の外に出る。


「うーん……まあ前半はチンアントか」


 次へ次へと進めてモンスターのドロップアイテムを調べるのはしたいが、前半はチンアントにならすことに専念することにした。


 スライムはかなり慣れていたがチンアントは昨日まで倒したことがなかったんだからこの前半で慣れよう。


 昼休憩をした後に次のエリアに進むか。


 スライムエリアを走り抜けチンアントエリアに到着するや否や、チンアントの大群が押し寄せてきた。


「えっ、何でだ?」


 昨日は五体のチンアントを倒してから押し寄せてきた。だけど今日はまだチンアントを狩っていない。


 となれば昨日からあの状態が引き継がれているのか。ま、何も焦ることはない。


 初級水魔法では少し手こずるから中級水魔法の火力でチンアントにウェーブからのランスで絶命させた。


 初級と中級の違いを昨日少しだけ確認した。


 まず一回の出す水の量が違う。そりゃ消費MPが違うんだからそうだ。


 水の出力が圧倒的に違う。初級が1なら中級は5くらいだ。


 それから水の操作範囲、精密操作も違う。初級ではできなかったこともできるようになっている。


 一点集中のジェットは初級ではそれで終わりなのだが、中級になればジェットを放った後に枝分かれさせてモンスターに簡単に当てることができた。これを初級でやろうと思ってもできなかった。


 ということはどれだけ鍛錬してもこの壁は超えられないということになる。


 要は状況によって使い分けるためにすべての等級の魔法を習得した方が便利ということだな。


「全部Lv6か……いいねぇ」


 スライムの時はあまり感じなかったがLv4とLv6のチンアントを比べると当たり前だが硬さが違う。少しの違いだが確かに違うのは分かる。


 だからLv6のチンアントの集団が来ているということはあちらも本気で俺を殺しにかかっている。俺としては倒した数とドロップアイテムの数が一緒になるということだから全く困らない。


「穴もどうなっているのか確認したいな」


 昨日は時間がなかったから行かなかったがどうなっているのか気になる。


「ふぅ……大体三百か」


 昨日もそうだったがとにかくここのチンアントは数が多い。


 昨日輝夜に聞いたがこんなにチンアントが来ることは普通はないらしい。集団で動くモンスターらしいが、十体ぐらいがいいところだとか。


 この波が続けば俺は撤退を余儀なくされる。レベルが上がってMPが回復しても武器がなくなる。


 ……徒手でやれば武器が無くてもいいのか。それでスキルが解放されるかもしれないとよぎった。でも徒手は素人だし魔法剣士を目指しているから余裕があればやろう。一つに固執して可能性を潰すことはない。


 とりあえず今はこの波が消えている間に巣穴に向かう。


 途中向かってきた数体のチンアントは走りながら斬ったり水魔法で貫いて巣穴にたどり着いた。


 昨日と同じ場所にある巣穴だった。もしかしたらこの巣穴しかなくてこれを攻略したらチンアントは出てこないのではないかと思った。


「……考えても仕方がないか」


 もう六百体以上倒しているしここを攻略したいという気持ちが強いから巣穴を攻略することにした。


「マックスウォーター」


 巣穴がどうなっているのか分からないからふるいにかけるために中級水魔法で最大水量を巣穴に流し込んだ。


 感知でどこにチンアントがいるのかは分かっているが構造までは分からない。でもどこにいるのか分かっていれば流し込んでいる水を操作してランスで貫く。


「そこまでか……」


 あまり深くはなく中級水魔法の水量で巣穴内を埋め尽くすことができたから巣穴にいるチンアントをすべて殺し尽くした。巣穴の中には五十体くらいいた。


 チンアントの気配がしないことを確認して巣穴に入る。


 人くらいの大きさがあるからその分だけ巣穴は大きく比較的に入りやすかった。


 巣穴に何があるのか分からないから適当に散策する。普通のダンジョンみたいに壁や床からモンスターが出現する可能性が高いから一応道順だけは覚えておく。


 スライムの時も地面からニョキッと出てきたところは見た。


 アリの巣は確か食料室、繁殖室、育児室とかに部屋分けされていたはず。でもモンスターが繁殖室とか食料室を使うのかは謎だ。


 部屋を一つずつ見て回って一番奥の部屋に来たが何もない空洞が広がっているばかりだった。


「見せかけだけか……?」


 何かあるのかと思って期待したがそういうものはなかった。


 このダンジョン都市に来てから少しだけそうじゃないかと思っていることがある。


 スライムとチンアントだけだが、この二種を千体ほど倒しても素材を一切落とさなかったからこのダンジョン都市では素材を落とさないのではないかと。


 まあそれは普通のダンジョンに行けばいいからそこに文句はない。それに素材よりもよりいいアイテムを貰っているからこちらの方が全然嬉しい。


「おっ」


 何もないから帰ろうと思った瞬間に壁や床や天井から巣穴を埋め尽くすほどのチンアントが出てきた。


「これが終わったら前半は終わりだな」

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