表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/43

5/22(木):ダンジョン都市

「行ってくるわね」

「あぁ、いってらっしゃい。気をつけてな」

「えぇ、あなたもね」


 輝夜と軽いキスを交わして輝夜を見送る。


 家のことを一通り終えてからダンジョンに行く準備をしてダンジョンに向かう。


 ダンジョン都市のカギを入手して一ヶ月が経過して、ついに(970/1000)まで来た。今日でダンジョン都市のカギのチャージができそうだ。


 今まではここまで詰めてやることはなかったのだが輝夜に言われて詰めてやっている。


 日本に大きなダンジョンは三つあり、その中の一つは東京にある東京ダンジョンにいつも入っている。


 ダンジョンは二年くらい前から基本誰でも入れるようになっておりそこから先は自己責任となっている。


「始めますか」


 いつものようにダンジョン一階層にいる唯一のモンスターであるスライムを探す。


 スライムを見つけたら剣で斬っていくことを続けると、ある二人の男がこちらを見ていることに気が付いた。


 会話を聞くつもりはなかったが耳に入ってくるような声量だった。


「見ろよあれ。あいつって高校の時のトップカーストの奴だろ」

「当時は正統派ヒロインの幼馴染の月見里がいてしかも文武両道だったのにな」

「でも今じゃスライムしか狩れない負け組になったとは……笑えるな!」

「才能って怖いよなぁ!」


 俺を笑い種にして下に向かっていく男たち。


 たぶん同じクラスの男なのだろうが……全く記憶にない。いかんせん興味がないものにはとことん興味がなくなってしまうからな。


 それに俺を笑い種にするくらいなら別にいくらでもするといい。突っかかってきたとしても俺は気にならない。


 きっと彼らも自分で笑われてもいいと思っているのだろうな。見上げた根性だ。


 一階層でスライムを狩り続けている俺は名物になっている。輝夜に教えてもらったが、俺はネット上でも有名で『才能ナシの末路』と呼ばれているそうだ。


 輝夜はそのことに腹を立てていたがそう呼ばれていたとしても俺はどうでもいいという感情しか湧かなかったなぁ。


「これで、千個目!」


 スライムなら考え事をしながらでも倒せ、ようやく千個目の魔石を手にすることができた。


 俺のアイテム袋の中にはスライムの体液が大量にあるが、他のドロップアイテムと比べるとあまり高値では取引されないから困るがそこそこのお金にはなる。


 でも魔石とは違ってドロップアイテムは政府ではなく個人との取引になるから取引をすることはない。


「ふぅ、一度帰るか」


 今は昼時だが輝夜の家に戻ってダンジョン都市のカギを使うことにした。


 ☆


「ただいま」


 輝夜に『魔石が集まったからダンジョンから帰る』とメッセージを送った。


 ダンジョン都市のカギの情報だとどこの扉からでもダンジョン都市に向かえるとのことだから家の中に入ってからダンジョン都市のカギと最後の魔石を持つ。


 カギに魔石をチャージすると魔石は霧のように消え、カギが違った光り方をした。


『ダンジョン都市のカギ

 ランク:不明

 千エネルギー分の魔石を蓄積するとどこの扉からでもダンジョンに三十日間入ることができる。期間が過ぎれば再ジャージすることで再び使用可能。チャージ完了』

「ついに来た……!」


 使い方が分からないが何となく玄関の扉にカギを向ければ、新たにカギ穴が出現した。


 ワクワクしながらそれにカギを差し込みカギを回すとガチャッと音がして勝手に扉が開いた。


 扉の先にはダンジョンとは思えない都市が存在していた。誰もいないが店などが並んで奥に大きな建物が見える。


「くはっ……!」


 ワクワクが止まらない。この都市に何があるのか気になって仕方がなくなって何も考えずにダンジョン都市に足を踏み入れた。


「すご……!」


 ダンジョン都市の中はまるで未来都市のような感じだった。


 空を飛んでいる車があったり建物も浮いており、でもそこに生き物の気配は感じられない不気味さがあった。


 後ろを見れば輝夜の玄関先が見えておりここから帰れるようだ。


「うおっ」


 目の前に怒涛の勢いで文字が次々に出てきた。


『システムリンクを確認』

『システムアクセスによりシステム解放』

『システムアクセス権取得承諾認証』

『システム管理者Lv1……獲得済み』

『システム管理者Lv2……獲得』

『システム管理者Lv3……却下』

『システムマスター権限の命令により却下』

『デイリークエスト解放』

『経験値ブースト獲得』

『レアドロップ率ブースト獲得』

『455:49:31』

『デイリーボーナス獲得』

『ランク5の魔石十個獲得』


 色々と文字と共に俺の目の前の光景がすごいことになっている。


「……何だこれ」


 例えるならゲームのパッケージを見てワクワク感が止まらないようなそんな感情が俺の表情に現れていることだろう。


 とりあえずこの画面はシステムが解放されたことで出現して、システム管理者は分からないから放置。デイリークエストはこの画面にある一覧か。


『モンスター百体討伐(0/100)

 報酬:EXP10000』

『ランク2以上の鉱物を収集

 報酬:ランク3のランダム武器』

『1km移動(0/1000)

 報酬:風足(ランク2)』


 何だかオンラインゲームみたいな感じだ。でもこうしたデイリークエストが表示されるのは非常にワクワクする。


 デイリークエストの他に到達クエストも存在している。


 レベルが五の倍数ごとの到達クエストがあるし武器の種類によるモンスター討伐達成到達クエストもある。


 だがここで一つ疑問なのがこのダンジョンで倒したモンスターなのか、他のダンジョンで倒したモンスターも対象なのか。そこが知りたいところだ。


 そして問題なのがずっと減っているこの時間のことだ。これだけは何も説明されていない。


 時間、分、秒数で考えるのなら一月半後にこの時間がゼロになる。どれだけ考えても仕方がないから放置しよう。


 そんなことよりも探検だ。


 大通りの両脇にお店みたいに並んでいるがそのお店に人はいなかった。でもそこが何の場所なのか遠くからでも表示されていた。


 試しに「アイテムトレード」に足を運ぶ。


『ここは不要なドロップアイテムを魔石に交換できる場所です』


 説明文章が出てアイテムボックスが出てきた。


 アイテムボックスの中にはさっきデイリーボーナスで貰った魔石が入っている。上限数は1/100となっているから100か。アイテムボックスの大きさはアイテムの量じゃなくてアイテムの種類か。


「どうやって……」


 どうやってアイテムボックスの中に入れるのかは分からないが画面に向かって俺の持っている剣を近づけると消えてアイテムボックスの中に名前と画像が出現した。


『どこにでもある剣

 ランク:1

 装備可能レベル:1

 ATK:2

 耐久:33/100』


「おぉ……攻撃力2もあったのか……」


 こういう情報を見るのも好きだ。手持ちにこの剣しかないから売るつもりはないが一応売ればいくらになるか見てみるが売却不可になっていた。


「スライムの体液もいれるか」


 そこそこ邪魔になっていたアイテムの袋に入っている『スライムの体液』を剣と同じ要領でアイテムボックスの中に入れて身軽になってまた見て回る。


 アイテムショップ、ツールショップ、アイテムシンセシス、ツールメイク、そしてガチャの5つが開いている場所だ。他は開いていないようだ。


「うえっ!?」


 アイテムショップのラインナップを見るとスキル、アビリティ、魔法を習得できるアイテムが販売されていた。


「……欲しい」


 全くそれらを覚えていない俺にとっては喉から手が出るほど欲しいものだがランク5の魔石から買えるものしかなかった。今十個あるが百以上だから買えない。


 もしこれが買えるようになれば、俺は、俺たちは才能ナシではなくなり冒険できるようになる。そんなことを考えれば笑みが止まらない。


「入れない……」


 そして中央の大きな建物に入ろうとするがバリアに阻まれて入ることができなかった。さらに『条件Lv100以上』と文字が出てきた。


「100って。そんな人地上でもいないだろうに」


 ダンジョンが出現してもうすぐ三年。ダンジョンに入ればステータスが付与され、今現在公表されている最高レベルは82。その人でもここには入れないということか。


 今のところ見たい場所はただ一つ。ガチャだ。もう一度ガチャの場所に向かう。


『魔石十個で一回ガチャを回すことができ十連なら高ランクのアイテム確定。魔石のランクに応じてガチャのレベルが上がります』

『ランク3のガチャを一回無料で回せます。回しますか? YES/NO』


 これが出ているからもう一度ここに来た。それにさっきデイリーボーナス、ログインボーナスで手に入ったランク5魔石が十個あるから一回回せる。


 ラインナップも分からないしスキルとかを習得できるアイテムを買いたいから今は魔石を使わないようにしておこう。


 無料で回せる分は回すことにした。


『感知

 分類:アビリティ

 ランク:3

 半径一㎞の生物を感知する』


「うへへぇ!?」


 なんだこの超すごいアビリティは!? こんなアビリティを持っていたら最前線に向かうだけの素質を持っていることになる。


 輝夜には悪いけど俺が飲みたいがためにアイテムを取り出す。アビリティを習得するアイテムは液体が入っている細いボトルだった。


「何味なんだろ……」


 美味しい美味しくないは重要だ。これから飲む時に不味かったら躊躇してしまう。でもそれを差し引いてもアビリティが手に入るのなら安いものか。


「んっ……んー」


 味は俺が好きなグレープ味だった。つまりは美味しい。


『アビリティ:感知を習得』

『アビリティ初習得報酬獲得』

『中級火魔法

 分類:魔法

 ランク:3

 消費MP:10』


「魔法!」


 ヤバい、魔法も使えるようになるとかこんなに興奮することがないってくらいに興奮している。


 これも習得すればまた報酬がもらえるのではないかと思ったが今はやめておく。輝夜にも見せないといけないし使ってもらわないといけない。


 となれば次はこの都市の外がどうなっているのか確認する必要がある。カギの名前はダンジョン都市だからもしかしたらモンスターが出ないということも考えられる。


 中央の大きな建物から離れて壁際に向かって出入口であろう場所に近づくと自動で扉が開いたためダンジョン都市から出た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ