5/27(火):メタルトータス
「このあたりで終わりだな」
土魔法でハイピジンを圧殺しながらドロップアイテムの数も千五百以上になっていた。
もはやハイピジンは殺しても殺しても尽きることがないため殺し尽くすという概念がなくなっている。
だから終わらせるタイミングを自分で見極め、どれだけいようがその場から立ち去った。
チンアントエリアも地獄になっているが、ハイピジンの方が倒す数は多くなっているからもっと地獄だ。
ハイピジンは押し寄せる速度がすごいからそのテンポに合わせることになって結果倒す数が多くなる。その分かなりレベルが上がるのが早くなる。
「ふぅぅぅ……」
都市に戻って一息つく。一日で二千体以上倒すのは俺くらいしかいないだろうな。
ちゃんと風魔法の目標数に達しているからアイテムを合成していく。
超級風魔法×10、上級風魔法×100、中級風魔法×379、初級風魔法×305、感知×478、魔力操作×165となった。
もうチンアントとハイピジンはお腹いっぱいだな。今日はもうやる気にはならない。
ここまでやって嫌になるとは、これはこれでおかしいと言われるのだろうな。嬉しい限りだ。
……これだけあるのだから初級と中級の風魔法を覚えよう。風魔法で空を飛べないのか疑問に思ったからその検証を兼ねてだな。
アイテム集めはできたし時間もまだまだあるから、ハイピジンの先にいるメタルトータスと少し戦ってみようか。
同じモンスターばかりを倒していたから新しいモンスターに遭遇したいと思っている。味変だな。
またエリアを超えないといけないがステータスが上がったから特に苦ではなく行ける。
輝夜の家に戻ったり三十分ほど休憩してから都市を出た。
スライムエリアはまだ平和だがチンアントエリアはえぐい。もう下のチンアントを圧殺しているのかと思うくらいに上に上にと重なっている。
チンアントエリアに入る前に中級土魔法で圧縮した土を高波のようにして移動する。こっちの方が移動しやすいしチンアントも何だかんだ倒せるということを発見した。
一体一体が弱いからこそできる荒業だ。だがハイピジン相手ではy座標が高くなるだけだからこっちはこっちで構えないといけない。
「カッター」
風魔法を鋭利にして襲い掛かってくるハイピジンを切り、飛剣も飛ばしてようやく二つのエリアを抜けた。
移動するだけで百体以上倒さないと行けないのも考え物だな。
「いた」
ハイピジン並みに大きいメタルの体を持った亀、メタルトータスがのんびりと草を食べていた。
ハイピジンやチンアントのように集団でいるわけではなく、単体がポツポツいるからスライムタイプか。
メタルトータスが行動を起こす前に走って近づいてメタルトータスLv11の甲羅目掛けて斬った。
「んッ!?」
斬れた。でもチンアントとハイピジンとは比較にならないくらいに硬い。
そう言えばメタルトータスは甲羅に頭を引っ込める前に生身の部分を倒せって聞いたな。甲羅は硬すぎて切ることができないとか。
でも俺のステータスがそれを可能にしているわけだ。
『+1100EXP』
『+ランク2の魔石』
メタルトータスもランク2の魔石か。Lv12のメタルトータスのドロップアイテムが何か分かるまではやるか。
「そうだ」
何体か倒していて一つだけ試していないことがあったことを思い出した。
属性付与でこの剣に土魔法の属性を付与する。これがどうなるかは分からないが物は試しだ。
「おっ」
属性を付与された剣でメタルトータスを斬るとさっきの感触とは全く違い軽く斬れた。付与属性で使うMPは普通に使うのと変わらないのか。
次に水魔法を剣に付与してメタルトータスに斬りかかる。
「変わらないな」
土魔法の時と変わらない感じだった。それなら最後に風魔法を付与してメタルトータスを斬る。
「おぉっ!」
風魔法は他の二つと違いスパっと簡単に斬ることができた。
おそらく風魔法はこういう斬るとかに滅法強いんだと思う。水魔法を使った感じは分からないが、土魔法は剣が硬くなっていたような気がする。
詳細は検証してみないと分からないがそれでも魔法を覚えれば覚えるほど選択肢が増えることは面白い。
やれることが増えて楽しみながらメタルトータスを倒しているとLv12がほとんどになってドロップアイテムが六種類になったからこれがメタルトータスが出るアイテムなのだと分かった。
初級闇魔法×17、中級闇魔法×13、ゴブリン特効×10、硬化×8、切断×6、サーチ×3の六種類だ。
メタルトータスが闇魔法を出すことに驚いたが、今のところエリアを経るごとにドロップアイテムが一つずつ増えている。
硬化は持っているが切断とサーチは初めましてだ。次はゴブリンなんだな。
『切断
分類:アビリティ
ランク:5
斬るという行為をした際にATK+二百%』
『サーチ
分類:アビリティ
ランク:6
相手の弱点を見極める』
どんどんとサブステータスのドロップアイテムが増えていく。ホントにダンジョン都市は楽しい場所だ。
一週間もしていないのにこんなことになるとは一週間前は夢にも思わなかった。あのカギはどんな面白い場所をとは思っていたがあまり期待はしていなかった。
でも想像以上だ。
時間は少し余裕があるが今日はこれまでにすることにした。ステータスを眺めてぐへへしたいからな。
輝夜の家に戻りスマホを確認しつつステータスや今まで放置していた報酬を確認する。
『新月学人
Lv239
HP(4873/4873)
MP(1609/1829)
ATK:2617(+520)
DEF:1590(+10)
AGI:1999(+3)
DEX:1391
RES:1201
LUK:23777
EXP(25429/31521)
スキル
スライム特化/剣士の心得/虫特化/虫特化/鳥特化/鳥特化/剣王凱旋/スライム超特化/虫超特化/鳥超特化
アビリティ
感知/属性付与/魔力操作/飛剣の太刀
魔法
中級水魔法/初級水魔法/中級土魔法/初級土魔法/中級風魔法/初級風魔法』
「ぐへへっ……」
レベルが上がってきてからステータスの上がり幅がすごく高くなっている気がする。でも上がりやすいステータスはそのままで、ATKは剣王凱旋のおかげでかなり高い。
魔法剣士らしくMPも上がってきているからこのステータスは俺の理想値だ。
さて、本題はLv200になった時に出た選択報酬だ。まだLv100の時の報酬も決めていないから今決めるか。
レベルが百ごとにこういう選択肢が出るとはシステム側は太っ腹だ。
EXPブースト、断界、貸力、強制弱点、幻想召喚の五つのうちどれにするか。今の今まで考えていたが考えがまとまっていない。
でもLv200の選択報酬の中にEXP超ブーストという上位互換があるからEXPブーストはいいか。たぶん効果は重複するとは思うがそれを選んで他の報酬を選ばないというのはナンセンスだ。
切断の上位互換である断界もいいし、主人公が持っているようなすべてを弱点にする強制弱点でもいいし、幻想召喚で幻獣種を出してもいい。
どれもこれも魅力的だが、貸力がかなり気になっている。これ、相手にサブステータスを習得できるボトルを渡さずに相手にサブステータスを渡すことができるんだろうな。
そしてそれを回収することができる。これを上手く使えば相手が裏切った時にサブステータスを回収できるようになる。しかも条件をつければ貸し出している時にリターンがある。
……貸力を習得して、EXP超ブーストを習得できれば、それを貸し出せば輝夜もレベルアップが簡単になるのか。
「そうするか」
Lv200の他の報酬も魅力的だが俺は一人じゃない。だからこの組み合わせにしよう。
『Lv100の報酬獲得』
『貸力
分類:アビリティ
ランク:10
自身が保有しているスキル、アビリティ、魔法を他者に貸し出すことができる。その際に条件を付けることが可能』
『Lv200の報酬獲得』
『EXP超ブースト
分類:スキル
ランク:12
EXPを二百倍で獲得する』
これ俺が持っていると経験値ブーストが重複するんだろうか。スキルは重複するんだろうがこういうのはどうなんだろうか。
スキルの重複については何となく重複していると感じているから正確なことは分からない。貸力でスキルを一つにしてから試せば分かりそうだな。輝夜と一緒にダンジョンに行く時に試そう。
五の倍数で手に入った報酬も確認する。
Lv150の時が『聖者の杖』、Lv155の時が『立体地図』、Lv160の時が『聖騎士の鎧』、Lv165の時が『聖騎士の剣』、Lv170の時が『反転』、Lv180の時が『超級雷魔法』、Lv185の時が『幻想変化』、Lv190の時が『マジックキャンセル』、Lv195の時が『複製』、Lv200の時が『転移』、Lv205の時が『魔糸』、Lv210の時が『複合』、Lv215の時が『賢者の魔法陣』、Lv220の時が『召喚』、Lv225の時が『剣王の魔剣』、Lv230の時が『武器生成』、Lv235の時が『耐久回復』と色々と目移りしている。
そう言えば気が付かなかったけどLv100になった時にアイテムボックスの容量が300になってて、Lv200になったら500になっていた。これも嬉しいな。絶対に足りないと思っていたところだ。
ゲームみたいにどこかにボックスがないのかと思ったがそういうのはなかった。現実だしな。
どれも気になるけど、特に気になったのが立体地図、転移、剣王の魔剣、武器生成、耐久回復の五つだな。
『立体地図
分類:アビリティ
ランク:9
移動した場所の地図を立体的に作り上げる。一度作り上げた地図は自動で更新される』
これはもしかしなくてもゲームみたいな地図ということだよな。しかも自動で更新って強いな。
『転移
分類:魔法
ランク:10
消費MP:50
マーキングした場所、もしくは立体地図で指定した場所に移動する。直接もしくは間接的に触れることで同時転移可能』
おっ、早くもサブステータスが噛み合っている。しかも転移とかダンジョンの移動も簡単にできるということだろ。
『剣王の魔剣
ランク:10
装備可能レベル:150
ATK:930
魔法吸収(0/100)
魔法放出
属性魔法威力増加
自動耐久回復
耐久:1000/1000』
「……やべぇ……!」
剣の性能がヤバいのもそうだがこんなものを見たらダンジョンに行きたいと思ってしまう。
『武器生成
分類:魔法
ランク:8
消費MP:20
魔力量に応じてイメージした武器を生成することができる。ただしイメージが弱ければ脆い武器になる』
『耐久回復
分類:魔法
ランク:9
消費MP:耐久力1につき2
武具の耐久力を魔力を消費して回復させることができる』
何だかできることが増えすぎてヤバいな。ゲットしたアイテム全てを俺に使ったとしても十全に使えるわけがないくらいだ。
「立体地図と転移を習得するか……」
幸い俺には習得しても相手に渡すアビリティがある。今日は輝夜の職場の近くに行って驚かせよ。