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肉体強化系能力者の戦闘記  作者: ネイン
邂逅編

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第一三話 金髪の少年

 十月(とおつき)風成(ふうせい)本条(ほんじょう)啓子(けいこ)は集会所のテーブルで突っ伏している金髪の少年と(勝手に)相席した。風成は少年の向かい側に座り、啓子は二人の両隣に座った。


「…………ん?」


 金髪の少年は顔を上げた。


「オマエは……本条か……それと誰だ?」


 金髪の少年は風成を見て尋ねたので彼は


「今日から能力所の所長となった十月風成だ、よろしく!」


 と嘘を付くと啓子は横で「はいはい」と呟いた。


 金髪の少年は驚き、口を開く。


「なんだと! (くすのき)瞬也(しゅんや)はどうなったんだ!」

「俺の権力で退いた」


 啓子は「いや、騙されないでよ……」と呆れ、金髪の少年は、風成を問い詰める。


「オマエは何者だ!」

「世界最強の男と呼ばれてる」

「なっ‼」

「俺に勝てるかな」

「世界最強……オレは負けるかもしれない……だがオレはやるぜ」

「いいだろう、さぁ来い!」


 啓子は立ち上がり、二人の頭頂部を拳を振り落とすように殴り、


「こんな所で暴れないでよ馬鹿」


 と言うと騙されやすい少年は殴られた頭を押さえながら発言する。


「本条……なにをする」

「そうだぞ! 許さないからな!」


 金髪の少年の発言にもう一人の少年が便乗した。すると啓子は風成の胸ぐらを掴んだ。


「いい加減にして」

「服っ! 服が伸びる! 今、繊維伸びてるから!」

「全く、なにが世界最強の男よ」

「もう引っ張るなっ……つか顔近っ」


 啓子は風成の胸ぐらを掴んで引き寄せてたが、彼の発言で顔が目の前まで迫ってるのに気づき、


「――っ‼」


 気恥ずかしくなり思わず風成を手のひらで押して突き飛ばし、彼は「ぐべぁ」と床に倒れる。


「世界最強弱いな……嘘付いたな」


 と金髪の少年が言う。


「レイもいい加減にして」

「?……オレは真面目だぜ」

「いや、あんたも馬鹿よ」


 啓子は、風成が今日連れてきた新入りだという事を説明した。その間、風成は勝手に集会所と隣接しているキッチンに行ってお茶を飲んで戻ってきた。


 金髪の少年は二人が着席しているのを確認すると自己紹介を始める。


「オレの名前はレイ・ヴィスタンス。レイと呼んでくれ」

「おう、よろしく」


 レイはミディアムヘアの金髪でセンター分けをしており、整った顔立ちが良く見えた。灰色の七分袖ポロシャツを着ており、履いているベージュ色のズボンもまた、七分袖だった。彼の能力は『生体電流を操作し電撃を生成』する事である。


 風成は海辺近くの家のベランダでコーヒーを飲みながら読書する姿が似合うイケメンだと思った。


「レイって、イケメンだな」


 風成は思った事をレイに言った。


「そうなのか、オレはイケメンだったのか」

「自覚されても困るんだが」

「ふっ……十月(とおつき)ありがとう」

「なんだこいつ(おかしな奴だな)」


 風成はレイを変な奴だと思った。


 レイは会話を続ける。


「今日から、ここで泊まるのか?」

「特に決めてないけど、そうするか。俺を呼ぶ声がするからな」

「なんだ声って」

「時代が俺を呼んでいる」

「なんだこいつ(滅茶苦茶おかしな奴だな)」


 レイは風成を滅茶苦茶変な奴だと思った。横から啓子が「ほんと、あんたっておかしいよね」と口を挟んだが風成は珍しくスルーすると、啓子は『え、ちょっと』としゅんとした顔をした。


 風成はレイに尋ねる。


「レイの能力ってなんだ」

「相手を電撃で倒すとかだな」

「おいおい滅茶苦茶強そうだな、戦ってくれよ」

「いいぜ」

「え、本当にいいのか?」

「その為にトレーニングルームがある」

「よっしゃ」

「だが明日にしてくれ」

「おけおけ」


 風成はふと啓子の方を見ると何か言いたそうな顔をしてたのに気付く。


「どうした」

「いや……なんでも!」

「おかしな奴だな」

「あんたに言われたくないって、後、データ室行くわよ」

「何か調べるのか?」

「まだ会ってない人が居るのよ」

「えーー、また挨拶かよ」

「これで最後だから、ほら行くわよ」


 風成と啓子は立ち上がり、データ室に向かった。


 集会場に残ったレイは電撃を右拳に集めて、バチバチと音を鳴らしてた。


「良い退屈しのぎになりそうだぜ」


 最後にレイは「ふっ」と笑った。

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