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第六話 君を守りたい

 揺れる馬車の中、俺は古びた一冊の冒険小説を手に取っていた。

 幼い頃から、何度も繰り返し読んだ本。あまりにも夢中になり過ぎて、表紙はボロボロになっていて、ページもところどころ、抜け落ちそうになっている。


 内容は至って王道だった。勇敢な少年が冒険を重ねた上、たどり着いた塔に幽閉されていた王女。彼女は王女であるにも関わらず、何の能力も無かったせいで塔に閉じ込められていたのだ。

 王女を救い出した少年は、彼女の能力を奪っていた王を倒し、その後は王女と共に故郷の村で暮らす。


 王女を救い出した少年はそのまま王になることも出来たのに、なぜそうしなかったか?


 俺にはわかるような気がする。

 それは王族として生まれたから、痛いほど。



 俺はグランバーグ王国の第二王子として生まれた。

 王族としての責務は、幼い頃から躾けられてきた。


 だが俺は所詮、第二王子だった。

 兄に何かあった時の「スペア」に過ぎない。


 そして未来の国王である兄、アルバートに取り入る者の多さにも、幼い頃から気づいていた。


 権力のため、お金の為、近づいてくる者。

 そんな者たちが兄より少ない分、俺は幸運なのかもしれない。



 父王ヘンリー13世から、ローズクォーツ王国のアリシア王女との婚約の話があったときも、何かの策略が動いているのかも知れないと思った。


 だから真実を確かめたくて、父王にローズクォーツ王国への留学を申し出た。

 もちろんアリシア王女の人柄を確かめたかったのもある。



 だが、実際に会ったアリシアの目は、あまりにも純粋すぎた。

 両親に愛され、慈しまれて育てられた者が持つ目。


 ーーだから彼女を守りたいと思ったし、実際アリシアの前でそう誓った。

 アリシアがどれくらい俺のことを信じてくれるかは分からないけれど、それでも。



「アーク様」

 侍従のマークが俺の名を呼ぶ。

「何かあったか?」

 俺が聞くと、

「アメジスト公爵の別邸に到着致しました」

「そうか」

 俺は短く答える。


 ローズクォーツ王国に来る前に俺はアメジスト公爵について調べさせていた。

 彼にはいわくつきの噂があり、現国王リチャード16世の兄にも関わらず、王位を継げなかったとか。


 陰謀の予感がした。

 アリシアに、何かあったら守らなければ。

「気を引き締めて行くぞ、マーク」

「はっ!」


 俺はマークと共に、馬車を降り立った。

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