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第二十五話 公爵家の兄妹

「お兄様!誤解ですわ! わたくしはアリシア王女が平民のような言葉遣いをなさるから注意していただけですのに」

 セドリック様に弁解するように、ロザラインが言い放つ。


 けれど、セドリック様はロザラインを説得するように、言葉を続ける。

「先日の公爵家(うち)の別邸での出来事、私も聞いているよ? アリシア王女がひどい目にあったそうじゃないか。兄として、ロザラインにも言っておきたいことがあってね」


「何ですの!?お兄様まで、わたくしのことを――」

「うちは公爵家で、アリシア王女は王族。立場としては王女のほうが上だ」

「――っ!」

 セドリック様に言われて、ロザラインはぐうの音も出ない。


「セドリック様、先日の件は私からも国王陛下に報告してありますので」

 ミシェルが進み出て言った。

「アリシアは私の婚約者だ。何かあったらただではおかない」

 私を庇うようにしてアークが前に進み出る。


「覚えていらっしゃい、アリシア!行きましょう、お兄様」

 ロザラインはふいっと、セドリックのほうを向いて立ち去ろうとする。

「妹が失礼したね、アリシア王女」

 ふっ、と紫の瞳に笑みを浮かべた後、セドリック様はロザラインを連れて校舎のほうに立ち去った。



「ごめんなさいね、リズさん。少しびっくりさせてしまったかしら?」

 校舎に向かって足を進めながら、私はリズさんに話しかける。

「大丈夫です。わたし、こういうことには慣れてますから」

 淡々と、リズさんがそう言った。

 急に貴族社会に出ることになったリズさんには、色々あるのかもしれない。


「私も分かってるのよ、昔からロザラインはお兄様のことが好きだから」

「そうなのか?」

 私の言葉に、アークが答える。


「ええ、どちらかと言えばロザラインがセドリック様を慕っているのだけど――」

「嫉妬からくるものか――」


 ――それだけでは無さそうだけどな、とアークが小さく呟くのを、私は聴き過ごさなかった。



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