第二話 突然紹介されたのは私の婚約者でした
「アリシア王女殿下。国王陛下、並びに王妃陛下がお会いになられます」
王の間の前に控えた、兵士が私に跪いて言う。
そして侍従たちによって王の間の扉が開かれる。
ずらりと並んだ兵士、侍従、侍女たち。
いつものように私は、頭を下げる彼らの間を通りすぎてお父様、お母様の前に進み出る。
「お父様、お母様。ローズウォーター魔法アカデミーへ出発するにあたり、挨拶にまいりました」
私は緊張しながらお父様、お母様に挨拶する。
「堅苦しくしなくてもよい、アリシア」
「そうよ。いつも通りでいいのよ」
お父様、お母様が優しく言う。
「お父様、お母様――」
ローズウォーター魔法アカデミーは全寮制の寄宿学校だ。
私は住み慣れた王宮を離れて、一人で魔法アカデミーに行くことになる。
侍女のマリーはついてくることになるけれど、それでも、お父様お母様から離れるのは不安だ。
お父様はそんな私を分かってくれたのか、
「そうか、アリシア、一人で魔法アカデミーに入学するのは不安であろうな」
「そうね、アリシア一人ではわたくしも不安だわ」
お母様も頷く。
「そこでだ!ぜひアリシアと一緒に魔法アカデミーに入学したいという方がいるので紹介しよう」
「そうね!この方にアリシアと一緒に行ってもらうならわたくしも安心だわ」
――これはいわゆる「ご学友」って方かしら?
お父様お母様は、そんなところまで私に配慮して下さっていたのね。
私は、そう思っていたのだが――
そこに入ってきたのは、ローズウォーター魔法アカデミーの男子制服に身を包んだ黒髪の少年。
青く魅力的な瞳が、私をじっと見つめてくる。
――え!?なんで男の子?
てっきり、「ご学友」だから女の子だと思っていたのに――
「貴女が、アリシア王女ですね?」
思ったよりワントーン、彼の声は低かった。
「は、はいっ――あなたは―」
「失礼。私から名乗るべきでしたね。私は、グランバーグ王国の第二王子、アーク・グランバーグ。そして、アリシア王女。貴女の婚約者です」
「――え???」
婚約者って???どういうこと???
お父様お母様、私、そんなの聞いてません!




