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第十五話 私を守ってくれているのは

「アーク!」

 私は彼の姿を見つけると、駆け寄っていった。

「無事で、良かっ……」

 ポロポロと、涙が頬を伝う。あれ、こんなはずじゃなかったのに。

 アークは私の頭をそっとなでる。

「アリシア、もう大丈夫だよ。ペンダントも、無事だ」

 そう言ってアークは私の胸に、ペンダントをかける。

「アーク…ありがとう」



「アリシア様、全てが無事で良かったですね。アーク様も、本当に素晴らしい方で」

「マリーも、ありがとう」

「そんな、アリシア様……わたくしは何の力にもなれませんでしたのに」

「ううん、マリー、いてくれるだけで心強いわ」


 部屋に戻った私は、マリーに着替えを手伝って貰っていた。今回は最初に用意された使用人部屋ではなく、王女に相応しい豪華で広い部屋だった。

 テーブルの上には、夜食が用意してある。サラダにスープ、クリームソースの乗った白身魚。

 あんなことがあったあとなので、マリーが予め毒味をしてくれている。


 部屋の外では、ミシェルが警護についてくれている。ミシェルは魔法学院でも、私の護衛兼侍女をしてくれるという。

「騎士団には申し出てあるのです。アリシア様の警護が足りないのではと。女性でなければ出来ないこともありますから」

 多くは無いらしいけれど、こんな場合のために魔法騎士団には女性も用意してあるのだという。



 寝巻きに着替えた私は、テーブルについて夜食を取り始める。スープはクリームに野菜と貝が入っており、よく煮込まれている。

 白身魚も良く煮込まれていて、とろけるようなクリームソースがよくからんでいておいしい。

 ――そう感じたのは、たぶん疲れていたからなんだろう。疲れている時は、何でもおいしく感じるのだ。


 食事が終わると、マリーがカモミールティーを入れてくれた。

「よく眠れるように入れさせて頂きました。お疲れのようですから」

「ありがとう」

 暖かくて良い香りのそれは、心がこもっている感じがして、さっき出されていた夜食のどのメニューよりも、おいしく感じられた。


 カモミールティーを飲み終わると、私はベッドに横たわる。

 ――今日は、色々ありすぎたわ。

 でも、アークやマリー、ミシェルや、他の色々な人に助けられたおかげで、私もペンダントも無事だった。

 私を守ってくれてるのは、ペンダントだけじゃない。みんなのおかげだわ――


 そう思っているうちに、私は眠りについた。



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