ちょっと!勘違いなんですけど!!
「えっ俺の家系って勇者じゃなくてその影武者って
マジなの!婆ちゃん?」
「あぁマジじゃ」
「あっ終わった。なんで俺の世代で魔王復活するん
だよ〜最悪(泣)」
「王様に頼まれたから"はい"って言っちゃったし、
みんなの前でイキッたし」
彼の名前はローベル。世間では時の勇者の末裔ってことにされてるけどタダのニートである。
「まぁ行かないと一家磔刑で皆殺しだろうし行く
か!成り行きでどうにかなるでしょう!」
彼は親からもらった1000Gと王様からもらった兵士の服と、どこにでもありそうな剣を持って国を旅立った
「っていうかなんだよこのお粗末な装備はド○クエ
の初期装備かよ」
しかしこんな事言っている場合では無い。この目的は魔王を倒すことだが今の俺じゃあ絶対に死ぬすぐに死ぬだからとりあえず仲間を集めないと行けない
「まず魔法使えないから魔法使いは欲しいよな。他
には料理人とか、あとは可愛い子は絶対に欲しい!
目の保養になるもん」
とブツブツ言いながら街道沿いを歩く。茂みからガサガサと音がしたので剣を構える。すると出てきたのはスライムのモンスターだった。
襲ってくるかと思ったが様子が変だ。よく見てみると引っ掻かれた様な傷がある。倒そうかと思ったがとてもぐったりしていて、悲しそうな目でこっちを見ているような気がしてならない。俺は無意識のうちにスライムに薬を塗ってあげていた。
「こんなんじゃ先が思いやられるな」
と情けない声で言い深い溜め息をついた。
「もう怪我するんじゃねーよ」
とスライムに言って先に進む。
「青い空に小鳥ちゃんのさえずる声を聞きながらの
旅は最高だなー」
鼻歌を歌いながら歩いてると後ろから何かの気配がする。後ろをバッと振り向くとさっきのスライム止まってが気まずそうに見つめてくる
「もう何もないから帰んなよ」
と言って先に進む。また後ろから気配を感じて振り返るとスライムが5m位開けてついてくる。同じくだりを3回位続けるが着いてくるスライムに諦めた俺は
「じゃあ仲間になろう俺達はパーティーだ。一緒に冒険するか」
と言うと心なしか嬉しそうな顔をしているような気がした。スライムは俺の肩に乗ってきた。スラと呼ぶことにした。
『スラが仲間になった!!』
1人と1匹で旅をしているとスラが険しい顔をして茂みを見ている。するとモンスターが殴りかかってきた。ゴブリンだ。ゴブリンは石器を使って横っ腹目掛けて振ってきた。
危ない!間一髪でスラが、柔らかい体で受け止めてくれた。本能ってやつだろうか?スラの体で跳ね返されて体勢が崩れている間に剣を抜いてゴブリンの首を目掛けて振りかざした。肉を抉る感触が剣を伝ってきた赤黒い血が滴っている。彼は一瞬躊躇したが自分のためにもゴブリンのためにも力を抜くことは無かった。
ゴブリンを倒した。
スラを見る感じケガは無さそうだ。まずは戦いで荒れた呼吸を整えて心を落ち着かせる。すると「ぐぅ~~~」と大きい音が鳴り響いた。この音の元はロベールであった。
「ここ半日何も食べてないからな~
とりあえずこのゴブリン焼いて食ってみるか」
ササッとゴブリンを剣で捌き、木の枝を集めて焚き火を作り、焼き始めた。肉に熱が伝わってきて油が火に落ち、その度にジュ~と音を立てる。始めはとても美味しそうだったが、焼き上がりの時には紫色の煙が立ち込め、焼いた肉とは思えないモノが出来上がっていた。彼には料理を作る才能が全く無い。いや、料理をとても不味くする才能があったのである。
彼が小さい時、家族の誕生日の為に作った料理のせいでロベールを除く家族全員が失神した事件があった。しかし彼は、自分の料理が不味いと思ったことは一度もない。
無知な悪ほど恐ろしいものは無く、彼は焼けた肉をスラに食べさせようと近づける。スラは首?体?を横に大きく振り、断り続けるが、構わず近づけてくる。水色の体は血の気が引いていくように白くなり、段々透明になっていった。我慢の限界に達したスラ。ついに
『スラはにげだした!』
まったり書いていきたいと思います。どうか楽しんで見ていただけると嬉しいです。