14 帰還
昨日更新できずすみません!!!!!
疲れ果てて寝てました!!!!!
『術は事の積み重ね:魔法は使用者の理想を形にするため、その理想をより具体的にする、色々な場面での経験が作り上げて行くことから、失敗も成功もすること自体が完成への道であると言う魔法使いがよく聞く言葉』
「今日はここまでにしようか」
数時間格闘して、わかりやすい進展はなし。
そろそろネアも座っているのに疲れただろうし、僕も集中力が切れてきた。
ネアはこくりと頷いて、立ち上がる。
それにしても、スルクがいなくなってからもう一ヶ月。そろそろ帰ってきてもおかしくないと思うんだけどな。音沙汰は全くないし、何かあったりしないよね。少し不安になってくる。
冒険者全体として見れば、別に一ヶ月程度いないのは全くおかしなことではないんだけどね。
「あれ? セリナさん、どうしました?」
僕たちが部屋を出ようと扉を開けると、セリナさんが挙動不審で扉の前にいた。
待っていたと言うよりは入ろうか悩んでるような感じだけど、何かあったのかな。
「えーっと、落ち着いて聞いて。……スルクくんが、帰ってきたの」
「っ、本当ですか!? 今はどこに!? …………あ。……すみません」
思わず取り乱してしまい、急に襲いかかってくる恥ずかしさと共に反省する。
「ううん、大丈夫。スルクくんはご両親の家に向かうそうだけど……エルくんに来ないように伝えてくれと頼まれました。……と言っても、行くよね」
「……はい」
話すこともたくさんあるし、できれば会って話したい。
スルクから遠ざけられていたとしても、僕から近づかなきゃ一生離れることになる気がする。
「……わかりました。私もついていくからちょっと待ってて。一人で行くようなことは、絶対にしないでね」
セリナさんは少し躊躇いつつも、そう言って僕に勝手な行動を控えるように言う。
僕としても、セリナさんがついてきてくれるのは結構助かる。何かあった時に、頼れる人が近くにいるって言うのはかなり大きいから。
少し相談して、ネアとルネとサラさんには待ってもらって、僕とセリナさんとアリナさんで行くことになった。
セリナさんによるとスルクの様子がおかしいから、何かあるかもしれない。何かあった時に、なるべく少ない人数の方が動きやすいからってことらしいね。
「お待たせ、行こっか」
念の為武器を持って、準備を整えて待っていると、動きやすい服装に着替えたセリナさんとアリナさんが歩いてきた。セリナさんは無手だけど、アリナさんはレイピアを持ってる。
「はい」
「……ん?」
森の中を歩いていると、ソラト村の方向から黒いもやのようなものが流れてきていることに気がついた。これは、ネアの首を見た時に見えるもやと同じ。つまりは、呪い、それも相当大きいものがこの奥にあるってこと。
嫌な予感がする。
「どうしたの?」
「呪いが、見えます」
急いだ方がいいかもしれない。行ったところで、僕に何かができるわけではないかもしれないけど。
「……急ぎましょう」
「はい!」
森をぬけると、村が見える。
とても静かで、一つを除いて異変は見当たらない。
人がいないから静かだし暗いけど、それは黒龍が再びくる可能性とかを考えて、安全の観点から一旦ネッタの街に移動しているだけ。
あとは、僕とスルクの家から膨大な量の黒いもやが溢れていること以外には、何も問題があるようには見えない。
この時点で、スルクに何もないと言うことはほぼないと思う。だって、前回来た3日前にはこうなってなかったから。
「行きましょう」
焦る気持ちを抑えて、ゆっくりと足を進める。
(……スルクの家より、僕の家の方がもやの量が多い?)
近付いてみて分かったことだけど、中心地は多分僕の家の方だ。ほんの少し、スルクの家の方がモヤが少ないし、薄い。
「こっちです」
家の扉を開けると、中はもやのせいでほとんど前が見えない状態だった。でも、二人は見ることが出来る。特にアリナさんは輪郭が光ってるみたいで細かいところまで動きを把握できた。
「……どうしたの?」
立ち止まった僕を不審に思ったのか、セリナさんが声を抑えて聞いてくる。
もやで前が見えないのは、僕だけなのかもしれない。一度見るまではネアの呪いだって見えなかったし、これは慣れもあるかも。
「すみません、呪いのせいで見えないので、アリナさん前を歩いてもらえませんか」
「……わかりました」
一部屋ずつ回って、スルクがいないか探していく。
僕の部屋や母の部屋には入った形跡があったけど、中にはいなかった。
あとは、父の部屋とその下の部屋だけ。
「……いない? ……ん?」
部屋に入ったアリナさんが、違和感を覚えたように部屋を見回す。
続けて入ると、地下室へ繋がる階段を塞いでいる板が、一度外されて置き直しただけになっていた。
「多分、こっちです」
床板をそっと外し、地下室を指さす。
黒いもやはさらに濃くなって、もはや足元すら見えない。ここが全く知らない場所なら、何回か転んでいたと思う。
ゆっくりと、一歩ずつ、慎重に階段を降りていく。
狭くて何人も入れるわけじゃないから、僕とアリナさんだけ。セリナさんは上で待っていてもらうことにした。
セリナさんが階段を降り切ったことを確認して、ゆっくりと扉を開ける。
その瞬間、飽和ギリギリになっていた呪いが溢れ出し、僕らの方に抜けて行く。
「……エ、ル?」
中には、元のパーティーメンバーであるチェシャに魔法で動きを封じられ、レイヴに剣を突き付けられるスルクの姿があった。
剣を突きつけられているのは首元ですが、文に入れると少し違和感があったので抜きました。直すかも。
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更新遅れてすみません!!
続きます!!