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12 買い物

日常回です。

過激派の知り合いに絶対に入れろと言われたので書きました。

情報はほぼないので、読み飛ばしてもまぁ、大丈夫です……。



 「……全員で、行くんですね……」


 「あはは……ごめんね?」


 なんとなくそんな気はしてたけど。

 六人は流石に多い気がする。


 (迷惑にならないかなぁ……)


 「ちなみに僕のもの以外は、何か買うものあるんですか?」


 「一応食材の買い足しとか、サラちゃんたちの服も買おうと思ってるから付き添いだけではないよ」


 セリナさんの言葉に、少し納得する。


 (それならまぁ……仕方ないかな)


 スルクに関してだけど、結構遠くまで行く長期間の護衛依頼を受けたらしくて、一、二ヶ月は帰って来ないようだ。

 無事に帰ってきて欲しい。






 「エルくん決めた?」


 服屋に入り、まずはそれぞれ選んでみようと言うことでバラバラに分かれた。

 僕はさっさと決めたけど、やっぱり女性はおしゃれに気を使うのか、中々決まらないみたい。


 「取り敢えず汚れが目立ちにくそうなこれと、これ、ズボンはこれにしようと思ってます」


 両方黒い無地の長袖。

 一応女性用のものを選んだ。

 ズボンは茶色の作業用長ズボン。


 「……うん、色々言いたいことはあるけど、下着は?」


 「下はともかく上はサラシ巻けばいいと思うんですけど……」


 僕がそう言うと、セリナさんは大きくため息をつく。


 「エルくん、センスない。……みんな、エルくんの分も選んじゃいましょう!」


 「はーい!」


 ジト目でそう言われ、勝手に話が進んでいく。

 返事をしたのはルネ。


 「サラシはずっとつけてると胸が潰れるよ? それに、せっかく元が可愛いのにそれはダサい」


 「いや、あの……」


 抵抗を試みる前に、セリナさんも選びに行ってしまった。


 (……これ、そんなダメかなぁ?)


 視線を落として、自分で選んだ服を見る。

 そもそも僕は男……だし、冒険者だから別におしゃれは必要ないと思うのだ。動きやすさと、機能性重視。

 でも、ルネもネアも探しに行ったんだよね……。


 「はぁ……」


 (諦めよう……)


 セリナさんにはすごくお世話になってるし、仕方ない……よね。






 「……それ全部、僕に着せるようだったりします?」


 (全部で5、6……8?)


 天井を眺めてぼーっと待っていると、みんなが色々な服を持って前に並び出した。

 なんか、店員さんまでいるし。20代くらいの女性。


 「もちろん。はい、まずはこれ。試着してみて」


 「え、いいんですか?」


 セリナさんに渡された服を持って、店員さんに聞く。

 流石に許可はとってるのかもしれないけど、一応、確認。


 「ええ! こんな可愛い子に着てもらえるなら服たちも本望でしょう! おばあちゃんにも確認取りました!」


 そう言って、グッと親指を立てる。

 どうやら、店長さんにも許可をとったらしい。

 なら、いいんだけどさ……。


 小さい個室を借りて、着替える。

 亜麻色の少しダボっとした中央にボタンのついているブラウスと、白い膝丈のフレアスカート。

 下着は白いペチコートに、灰色のスポーツブラ。


 (あー、すごい違和感……)


 なんでこんなことになってしまったのか。

 まぁ、セリナさんが最初に選んで来た時に断り損ねたからなんだけど。


 「……はい、どうですか」


 「エルくん、そんな顔じゃ台無しだよっ! 笑顔笑顔!」


 なぜか真剣な顔をしているセリナさんの指示に従い、笑顔を作る。

 他のメンバーもノリノリで、僕の味方はいないらしい。


 「ちょっと一回転して?」


 「……」


 そこまで広い空間ではないので、軽めに回る。


 「トップスは黒の方がいいんじゃないですか?」

 「黒で銀髪を引き立たせて……」

 「白で統一するのもありだと……」


 アリナさんとサラさんと店員さんが隅に寄って、コソコソと話し合っている。

 ……まぁ、全部聴こえているわけだけど。


 「亜麻色のブラウスを着ることで暖かく優しい雰囲気が出ていて、白いスカートのおかげで清楚な印象を受け、とても素晴らしいと思います!」


 「うん。ありがとう、次これとこれね」


 店員さんの評価を流しつつ。

 渡された服を持って、もう一度引っ込む。


 (黒いワンピース……ドレス?)


 黒を基調としたドレスワンピースで、ワンポイントに白が使われている。

 フリルが多い。

 もう一つを見ると、メイド服だった。


 (……どっち着ればいいんだこれ)


 上にあった、ワンピースドレスの方でいいや。



 「お待たせしました」


 「んー……ツーサイドアップにしない?」

 「私はこのままでいいと思います」


 (ツーサイドアップってなんだ?)


 知らない単語に固まっていると、セリナさんがカツラとウィッグを持ってきた。

 ……つまり、ツーサイドアップは髪型の一つなのだろう。


 「すみません、早く終わりたいので次行っていいですか」


 このままだと、いつまで経っても終わらない気がする。


 「黒をメインにすることでエルさんの銀髪が映え、フリルが可愛らしいですがどこか大人びた印象を受けますね! 素晴らしいです!」


 「じゃあ、メイド服着て来て?」


 「はぁ……」


 個室に戻り、メイド服を持ち上げる。

 ロングスカートタイプで、ギリギリ地面につかない長さ。

 目線の高さまであげると、紙が落ちた。


 (ん?)


 拾ってみると、エプロンの付け方がわざわざ書かれていた。

 なんとも言えない気持ちになりつつ、手際良く着ていく。

 実は母に習ったことがあるから、エプロンの付け方はわかるんだよね。

 ニーソックスも履いて、カチューシャも装着。


 「これ、ただ着せ替え人形にされてるだけなんじゃ……?」


 メイド服は普段着にする人いないでしょ。


 「……似合う似合う! おかえりなさいませご主人様って言ってみて?」


 「……おかえりなさいませ、ご主人様」


 要望に全部答えて、早く終わらせよう。


 「最高」

 「貴族に仕えていても遜色無い可愛さですね」

 「これ、買うんですか?」


 「うん。冗談のつもりだったけど」


 (……)


 「エルねぇがそろそろ怒るよ?」


 「ごめんエルくん! あ、次これね」


 白いTシャツに、黒いフレアスカート。

 同じ黒いTシャツに、白いフレアスカート。

 この2セットを渡される。


 白いスカートはさっき着たし、黒でいいか。


 「あといくつですか?」


 「これ入れて三つだよ」


 「シンプルで可愛い」

 「私はメイド服の方が好みです」

 「私は寧ろこちらの方が好きですね」


 これは比較的動きやすいし、ありかな。

 少なくとも、メイド服よりはずっといい。


 「はいこれ」


 「これで終わりですよね?」


 「うん」


 2セット渡され、個室にひっこむ。

 少しフリルのついた白いワンピースと、薄い紺色のホットパンツ+白のTシャツ。

 まずはワンピース。

 ちなみに、肩はでていない。


 「どうですか?」


 そう聞いて、言われる前に一回転しておく。


 「んー、肩出す方が似合いそうな気も……」

 「ちょっと子供っぽすぎる気がします」

 「似合っては無いですね……」


 「肩出しは嫌ですよ」


 流石に難易度が高い。


 「うーん、没」


 セリナさんが結論を出したので、残り一つのセットを着に退室。

 残ったTシャツ+ホットパンツを着る。


 (……動きやすいけど、流石にこれは足出過ぎな気が……)


 「……」


 「……うん。あり」


 「いやぁ、いいものを見せてもらいました!」


 満足そうに頷く店員さん。


 (完全に、見たかっただけだよな……)


 そそくさと個室に引っ込み、元の服に着替える。


 (やっと終わった……)





 結局、僕はトップスが白と黒のTシャツを2枚ずつ、白と黒のワンピースを一枚ずつ、黒と亜麻色のブラウスを一枚ずつ、黒のドレスワンピースを一枚、白と黒のパーカーを一枚ずつ。

 ボトムスが黒と白の膝丈のフレアスカート2枚ずつ、薄い紺色のホットパンツ一枚、黒と白のハーフパンツを一枚ずつ。

 下着を3枚ずつ買った。


 着せ替え人形にされた分、半額にして貰ったからまぁいいとしよう。

 ……うん。


 セリナさんがメイド服とか諸々買ってたけど、僕に着せる用じゃ無いよね?

 アリナさんとサラさんの分だよね?


 ちなみに、ルネとネアの分はセリナさんに選んでもらった。


 「また来てくださいね! 次までに新しいの用意しておきますので!」


 「……次は来ても買って帰るだけにします」


 店員さんの、明らかに僕に着せるつもり満々の視線を受け、次は着ないぞと決意する。

 何回もこんなことをしていたら、羞恥で死ぬ。


 「次は……武器だね」


 「はい……」


 もう、どっと疲れた。




 「いらっしゃいませ」


 武器屋シンジスに入ると、受注報告に来た時と同じ男性が受付に立っていた。

 相手をセリナさんに任せて、武器を探す。


 「アリナさん、初心者におすすめのってどれですか?」


 「エルさんなら……軽めの、シンプルなこの辺りでいいと思います」


 そう言われて渡されたのは、本当に簡素なレイピア。

 ギルドで借りたものとほぼ変わらなく、スタンダードなものであることがわかる。


 「……ギルドの貸し出しより、若干軽い?」


 流石に店内で周囲に人がいる状態で振るわけにもいかないので、持って重さを確認するだけ。

 ……鞘に入れたまま軽く振るくらいなら許されるかな。


 「そうですね。エルさんは華奢なのでこちらがよろしいかと」


 「なるほど、ありがとうございます」


 一応他のも持ってみて、重さを確認する。

 誤差の範囲ではあるけど、それでも戦いの最中にはかなり変わってくるだろうし。


 結果、おすすめされたものが一番扱いやすそうだった。


 「これにします」


 あとは炎器用にナイフも買っておきたい。

 安い投げナイフを二本選んで、購入。


 僕がナイフを買っている間に他の人の分も選び終わったようで、あとはネアの分だけ。

 と言っても、ネアに戦ってもらうことは多分無いんだよね……。

 緊急時の情報伝達と、荷物持ちを頼む感じになるかな。


 一応、自衛用に小さいナイフを買っておく。


 「お買い上げ、ありがとうございました」


 受付の男性の言葉を聞きながら、店を出る。

 あとは食材の買い足しくらい。


 今日は、何作ろうかな。




一応セリナ視点でエルの意識を復讐から一旦外すための行動です。

これを書くために色々調べて、一番時間かかったまであるんですが正直……いらないような()

自分は一体何をしているんだと思いながら書いてました。



ブクマ、評価、いいねありがとうございます!

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