危険な駆け引き 4
夜に近づくにつれ、イルミネーションが澄んだ星空のように綺麗に江ノ島を彩っていく。
遠くに感じていたシーキャンドルの近くでは光の絨毯のように綺麗な景色が広がっていて、それだけで寒さとは違う空気が流れ込んでいた。
「......綺麗」
思わず声が漏れるほど、真弓はイルミネーションに見入っている。
十八時を過ぎ、辺りが暗くなると二人だけの世界に入るカップルが多く、俺と真弓も同じく溶け込んでいた。
「突然だったけど、来てよかった」
綺麗という言葉に俺も返す。
「それは私と来れてってこと?」
イルミネーションを見ていた真弓が俺の方に上目遣いに返事をする。
「誘ってきたのは真弓じゃなかったか?」
「そうだったかな?」
とぼける真弓に午前中に送られてきたスマホの画面を見せると、少し拗ねたように肩をぶつけてきた。
「教えてほしいことがあるんだけど」
と、気になっていたことを聞いてみた。
「ここに来た理由って聞いても大丈夫?」
ほんの少しだけ無言が続く。が、ふと目が合うと小さく頷いた。
「昔、私の本当の家族だったときに一度だけ来たことがあるの。大好きだったときの、本当の両親だったときに」
それは唯一残っている真弓が小さいときの記憶だった。
「どうしても忘れることができない一番古い記憶だからいままで来なかったんだけど、私にも大好きな人ができて、その人となら書き換えてもいいと思って」
だから誘ったの。と、小さな声で教えてくれた。




