46 カラーボックス壁面収納
46 カラーボックス壁面収納
「言っちゃ悪いが、この国には根性のあるジャーナリストは、いそうにないな」と、山田は少しガッカリした。「ゴシップ記者の俺が言うのもアレだが」
「我が帝国の報道精神はッ! 今はどうでもッ! いいことですッ!」と、シュルストロン。「それでッ! どうするのですかッ!? これからッ!?」
「この仕事部屋を本拠地らしく整理しようと思ったんだけどな……」と、山田。
「不可能」と、クレトンがキッパリ言った。
「本当にそうかな?」と、山田。
「そうですッ!」と、シュルストロンもキッパリしていた。「この部屋に本棚を増やすことはッ!
できませんッ! 搬入がッ! できないのですよッ!」
「いや、小さなカラーボックスを一個づつ部屋に入れて、本と資料をしまう。そしたら少しスペースができあがる。そんでもって、またカラーボックスを入れて、しまって、入れて、しまって……」と、山田。
「時間がかかりすぎますッ!」と、シュルストロンはさえぎった。
「シュルさんの部下にも手伝ってもらえば、いいだろ」と、山田。「せいぜい3、4日もあれば方はつくさ」
「部屋、足場、無」と、クレトン。
「ここは3人で限界ですッ!」と、シュルストロン。「この際ッ! 山さんの部屋を本拠地にするのはッ! どうでしょうかッ!? 寝床もありますしッ! イスも机もありますッ!」
「それじゃ意味ないって。ここマツズーム帝国の国家事業だぞ。本拠地が他国どころか、そちらから見て異世界の日本。しかも俺の都内の古びたマンションあるのはマズいだろ」と、山田。
「ですがッ! 山さんの部屋とッ! この部屋は窓同士ッ! 空間を連結しているのでッ! 事実上ッ! 一続きの部屋同然ですッ!」と、シュルストロン。「一歩ッ! 足を踏み入れればッ! 秒で到達ですッ!」
「感覚的にはそうかも、しれないけどさ。基本的に書類は持ち出し禁止なんだろ? いちいち書類に目を通すたんびに窓を出入りしろと?」と、山田。
「……それはッ! ……ごもっともですねッ!」と、シュルストロンは納得した。「……でしたら、小さい棚を少しずつ搬入する手でッ! やりますかッ!?」
「そうしよう」と、山田。「何事も小さなことからコツコツと、だ。テスト勉強の時だって部屋を掃除したり、消しゴムの黒い汚れを落としたり、するだろ?」
「それは集中力に欠けているだけではッ!?」と、シュルストロンが正論を放った。
「それは違うって! ほら! 鉛筆とか削りたくならない!? なるだろ!?」と、山田は反論した。
「筆記具、羽根筆」と、クレトンがそこら辺から羽ペンほヒラヒラさせた。
「そういうことですッ!」と、シュルストロン。
「いや……そういうことではないと思う!」と、山田。
「いえッ! そういうことなのですッ!」と、シュルストロン。
「事実」と、クレトン。
「うーん。そう言われてもなあ」と、山田が納得しかねていると、
「すみませーん! 山田さん、いらっしゃいますかー!」と、若い男の大きな声が聞こえた。それは山田の部屋とシュルストロンの部屋を繋げるおどろおどろしい光を放つ窓からだった。




