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39 アンチフットボール?


   39 アンチフットボール?


「とにかくだ。野球で商売しようなんて考えは捨てて、安全にサッカーにしとけ」と、山田はシュルストロンの肩にそっと手を置いた。


「サッカーだけはダメなのですッ!」と、シュルストロンは山田の手を振り払った。「仮にッ! 仮にですッ! 百歩譲りッ! 野球を諦めたとしましょうッ! 

 その代替案がサッカーなのは絶対にダメですッ!」


「なんでだよ!? 」と、山田は怪訝な顔をした。「たいして思い入れなさそうなのに、どうして、そこまで野球にこだわるんだ!?」


「……それはッ! ……それはッ!」と、シュルストロンは何かを言いたそうだった。


「サッカー 、敵国、先行」と、クレトンが口をはさんだ。


「えっ? つまり、あるってこと? そっちの世界には、もうサッカーはあるってこと?」と、山田。


「今年、開始」と、クレトン。


「できたてホヤホヤか!」と、山田は驚いた。「それで!? どうなんだ!? 客入りは!?」


「大好評」と、クレトンは一言。


「なんだよ、おい! もう、あるじゃないか!」と、山田は興奮しだした。「しかも大好評だと! この波に乗らない手はないだろ!」


「それだけは絶対に許されませんッ!」と、シュルストロン。


「どうしてだ!?」と、山田は両手を広げた。「サッカー文化の下地が、お膳立てされているんだぞ! よっぽど下手打たなきゃ成功ルートだ!」


「敵国、模倣、禁忌」と、クレトン。


「どういうことだ?」と、山田はピンとこない。


「サッカー、敵国、模倣、屈辱、禁忌」と、クレトンは付け足した。


「……マネはご法度ってことか?」と、山田は察した。


「当たり前ですッ!」と、シュルストロン。「我がマツズーム帝国は名実ともに世界一の国なのですよッ!」


「だからどうした?」と、山田。


「山さんッ! 分かりませんかッ!? 世界一の国である以上ッ! 世界初を達成することは義務なのですッ!」と、シュルストロンは意気込んだ。


「……つまり面子か? 面子のためにサッカーには手を出せない? そういうことか?」と、山田。


「面子などというモノではありませんッ!」と、シュルストロンは言い返した。「誇りッ! 尊厳の問題なのですッ!」


「それが面子だよ」と、山田はアッサリ言い切った。「しかし、しょうもない理由だな」


「しょうもないッ!? どこがッ! しょうもないんですかッ!?」と、シュルストロンが詰め寄った。「我が帝国がッ! 他国のッ! しかも敵国の後追いなどッ!」


「他国も敵国もない!」と、山田も詰め寄った。「いいか! 世界初を取られても! 世界一にさえ、なれれば問題ない!」


「そういう問題ではないのですッ!」と、シュルストロン。


「いや! そういう問題だ!」と、山田。「サッカー発祥の地を知ってるか? イングランドだ! でも一番、強い国はどこか知ってるか? ブラジルだ! 

 ワールドカップで5回も優勝しているんだぞ! でだ! 世界初の! 発祥の地であるイングランドは1回だ! 

 たったの1回しか優勝してないんだぞ! 初がなんだ! 一番が一番いいに決まってるだろ!」


「ワールドカップで優勝経験のある国はッ! 両手の指で足りる程度しか存在しておりませんッ!」

と、シュルストロン。「たった1回と強調してますがッ! 

 たった1回でも充分な功績ではありませんかッ!」


「しっかり知ってるな!」と、山田。「だったらヨーロッパサッカーの市場も知ってるだろ?」


「ええッ!」と、シュルストロン。「資料は読み込みましたッ!」


「だったら世界中にサッカーリーグを作って、ネットワークを築いて、ワールドカップを開催すれば大盛り上がりになるだろ! 安くても高くてもプライドを捨てて一歩、踏み出せ!」


「それがッ! できれば苦労しませんッ!」と、シュルストロンから悲痛な声が出た。

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