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36 箱物行政


   36 箱物行政


「こんな冗談みたいな紙切れ……と言うか羊皮紙1枚で予算が通るのか」と、山田は計画書をピラピラ揺らした。「まあ実際、通ってるからシュルさんはここにいるワケだ」


「そうですッ!」と、シュルストロンは大きくうなずいた。「いくらでもありますからッ! 陛下も期待してますしッ!」


「不安、要素、膨大」と、クレトンは冷めた目だった。


「……やっぱりそうだよな。それがマトモな考えだよな」と、山田。


「心配いりませんッ!」と、シュルストロンは余裕だった。「我がマツズーム帝国の予算のモトッ! 魔法石はッ! 地中の活力によって生み出されるのですッ! 

 尽きることはありませんしッ! 供給量は操っていますッ! 暴騰も暴落もありえませんッ! 絶対的な財力ッ! 安定資産なのですッ!」


「そういうコトを言ってんじゃねえんだよ」と、山田のツッコミが入った。


「じゃあッ! どういうコトですかッ!?」と、シュルストロン。


「成功、カネ、その他、追加、必須」と、クレトン。


「いいコト言うね!」と、山田はパシっと手を叩いた。「カネだけかけても企画がコケるなんてコトはいくらでもあるんだから!」


「ですがッ!」と、シュルストロンの反論。「我が帝国はッ! はるか昔からッ! この方法で成功してきたのですッ! 公共事業による富の再分配ッ! それこそがマツズーム帝国の矜持ですッ!」


「……建国1000周年記念!」と、クレトンは力を込めて言った。「前例、無関係。失敗、厳禁」


「そんなの何回も言わなくたってわかってますッ!」と、シュルストロンの頬が少し膨らんだ。


「その調子だと、どうせ適当に箱モノ作ってりゃいい考えてんだろ」と、山田が続く。「野球には野球場、スタジアムが必要不可欠だ。どんなの作るか言ってみろ」


「もちろんドーム球場を12戸ッ! 建設しますッ!」と、シュルストロンが高らかに宣言した。


「バカ野郎!」と、山田は一喝した。「ドーム球場ばっかり作ってどういうつもりだ!?」


「雨風しのげますしッ!」と、シュルストロン。「費用もかさんで公共事業としてもドーム球場は、いい案ですッ!」


「だったら開閉式にすればいいだろ!」と、山田。「日の光を浴びせようとは思わないのか!? もしくは透明な素材の屋根にしろ! それがトレンドだ!」


「いやッ! それはッ! さすがに手間がかかり過ぎるのでッ! なしですッ!」と、シュルストロン。


「あーもうダメだ、ダメだ」と、山田はあきれた。「こんな計画じゃ失敗だ。大失敗するぞ」


「人民は新たな娯楽を欲していますッ!」と、シュルストロンは言い返した。「豪華なハコッ! 派手な宣伝ッ! 大量の人員ッ! 

 それさえ準備できれば成功は間違いなしですッ! カネはあるんですからッ!」


「仲間、皆無」と、クレトンが釘を突き刺した。「プロ野球、計画、非接触」


「そりゃ、そうだ」と、山田。「誰も火中の栗を拾わない。ヤケドどころか、このままだと消し炭になりそうだぞ」


「2人とも否定的なコトばかり言ってッ!」と、シュルストロンはご機嫌斜めだ。「感情論の域を出てませんよッ!」


「じゃあ理屈で責めてやるよ」と、山田は腕まくりをした。

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