34 スタンガンは過剰防衛
34 スタンガンは過剰防衛
「シュルさんもクレトンさんも未成年じゃないだろ。正式に。まあ非合法だけど」と、山田。「だから2人と一緒になって酒飲んでも、いかがわしい街を連れ歩いても問題ないだろ?」
「シュルストロン、軍人、不法入国、罪人。理解?」と、クレトン。
「分かってるとも」と、山田。
「山田、シュルストロン、協力」と、クレトン。
「……あっ」と、山田。
「ほ、う、助」と、クレトンはねっそうでしょって感じの態度。
「……俺、公安に目を付けられてもおかしくないってことだな」と、山田はゴロンと仰向けになった。
「そんなことよりッ! 何だかシーシャって奇妙な花瓶みたいですねッ!」と、シュルストロンはシーシャをペシぺシ叩きながら一服。「この意匠は間違いなく陛下が喜びそうですッ!
煙も美味ですしッ!」
「煙を水に通すからな。それより、よくまあ、そんなのんきに構えてられるな」と、山田はそう言いながら一服。「ちょっと冷静に考えたら、俺たち、ちょっとした犯罪グループだぞ」
「しかしッ! 捕まった前例はありませんッ!」と、シュルストロン。
「そうやって油断して爪を伸ばしてるとポッキリ折れるぞ」と、山田。
「大丈夫ですッ!」と、シュルストロンは自信満々。「奥の手があるのですッ!」
「どんな手だ?」と、山田。そこに、
「おじゃましまーす!」と、いかにもホストの出来損ないなニイチャンがズカズカ部屋に入ってきた。スーツも靴もアクセサリーもハッキリ安物。
髪もバサバサ、カラーはムラだらけ。「女の子が余ってんじゃーん! オジサマ混ぜて?」
「好例」と、クレトンがホストの出来損ないに指をさした。
「えっ? そこの小麦色の子? 歓迎してくれるの?」と、ホストの出来損ないは微笑んだ。
「むんッ!」と、シュルストロンはその間に素早く魔法石に念を込めた。
「注目」と、クレトンは山田に耳打ち。
「えいッ!」と、シュルストロンは念を込めた魔法石をホストの出来損ないに向かってデコピンで投げた。そのまま鼻くそみたいにホストの出来損ないに当たると、
「あばばばば!」と、ホストの出来損ないは全身が震えて膝から崩れ落ちた。
「おいニイチャン大丈夫か!?」と、山田は駆け寄った。ホストの出来損ないの身体からは静電気みたいにパチパチしていた。
「このようにッ! 相手に電撃を与えッ! その間に逃走するのですッ!」と、シュルストロン。
「おいおい! アメリカの警察じゃあるまいし! 人の身体に電気、走らせてどうすんだ! 死んだらどうする!?」と、山田。
「そんなヘマしませんッ!」と、シュルストロンは腕を組む。「脈を取ってみてくださいッ!」
「あっ本当だ。しっかり脈がある」と、山田はホストの出来損ないの脈を計った。
「注文の品お届けに参りました。……いかがされましたか?」と、スタッフのお兄さんがこんな時にやって来た。
「処理、処理」と、クレトンがしっしっと手で追い払って頼む。
「では注文のお品を配膳してから処理させていただきます」と、スタッフのお兄さんは淡々とジャンボパフェとパンケーキとたい焼きの盛り合わせをテーブルに置いて行った。




