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32 条例違反


   32 条例違反


「日本人の平均寿命は100歳ですよねッ!?」と、シュルストロン。


「違う、違う。それ、ただの予測だから」と、山田。「今のところ平均寿命は80から90ぐらい。

100はかなり長生きだ」


「……短命!」と、クレトンは口に手を当てた。


「そんなに短いんですかッ!?」と、シュルストロンも口に手を当てる。


「そっちが長いんだよ」と、山田は頭をかく。「雑だよ。情報が」


「しかしッ! 街中は生涯100年とッ! 標語があふれてますッ!」と、シュルストロン。「ですからッ! 平均で100年ならッ! 長ければ120から130歳ぐらいッ! 

 まあッ! 早死にといえば早死にですがッ! 我が帝国にもいないことはない年齢ですッ! まさか平均がたったの100歳とはッ!」


「日本、寿命、非常識」と、クレトン。


「非常識って言われてもな」と、山田はまた頭をかいた。「何度でも言うけど俺からしたらそっちが長いんだって」


「つまりですよッ!」と、シュルストロンがアゴに手をやった。「山さんは我が帝国に換算すると84歳ッ! ……けっこうオジサンですねッ!」


「そうだよ! オジサンだよ! オッサンだよ!」と、山田は軽くヤケクソ。「気づけよ! 臭いとか! 手元のモノを見るときそれを手に取って、ピーンと腕を伸ばしてるとか! 

 色々あっただろ! そもそも俺、白髪交じりだろ! 頭!」


「てっきり変わった染め方をしてるもんだとッ!」と、シュルストロン。


「そんなことあってたまるか!」と、山田。


「老け顔」と、クレトン。


「老けすぎだろ!」と、山田。


「……本当にオジサンなんですねッ!」と、シュルストロンは納得した。「ですがッ! オジサン臭くはないですッ! 酒精の匂いしかしませんッ!」


「オジサン臭くないのは嬉しいけど、酒精の匂いってどんな匂いだ?」と、山田はスンスン自分の身体を嗅ぐ。「酒臭いなら分かるが、酒精?」


「蒸留酒、強酒精。酷似」と、クレトン。「原料、芋」


「芋が原料で、アルコール度数が強い酒。となると……ウォッカじゃねえか」と、山田。「俺、そのうち病院に行こうかな? 体臭がウォッカって……加齢臭よりヤバいんじゃないか?」


「悪い匂いじゃありませんッ! 大丈夫ですッ!」と、シュルストロンが太鼓判を押した。


「酒精、正義」と、クレトン。


「まあ若い2人がそう言うのなら……」と、山田は少し安心した。「しかし寿命が倍ってことは、俺から見ると2分の1で計算すればいいのか」


「そうなりますねッ!」と、シュルストロン。


「36歳。36歳の2分の1は……えっ? 18? どうしよう!? 18歳だ!」と、山田は大慌て。「18歳だと!? おい18だよ! 42のオッサンが18歳の女性! 

 いや! 少女と! 18歳の少女とカラオケで同席してる!」


「山さんッ! 落ち着いてくださいッ!」と、シュルストロンがなだめる。「ただ年の差があるだけじゃないですかッ!」


「日本だと18歳は未成年なんだよ! オッサンと未成年がカラオケにいたら問題なんだよ!」と、山田はまだ慌てる。


「えッ! そうなんですかッ!?」と、シュルストロンも心に焦りが出始めた。

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