30 アラサーとアラフォー
30 アラサーとアラフォー
「失礼します」と、スタッフのお兄さんが部屋に入ってきた。「ビーズクッションとシーシャのアップルフレーバーでございます」
「……どうも」と、山田は先のショックで寝転がったまま。
「ふかふか」と、クレトンはビーズクッションに埋もれた。
「これがシーシャですかッ!」と、シュルストロンは興味津々。「どうやって味わうんですかッ!?」
「それでは火を付けさせていただきます」と、スタッフのお兄さんがガスバーナーで炭に火を入れた。「今から約10分ほどで葉っぱが燻され、煙がガラスタンクの中に溜まりますので、ホースでお吸いになってください」
「ああッ! そういう感じなんですねッ!」と、シュルストロン。
「ええ。どうぞごゆっくり。フードとドリンクのご注文ははタッチパネルでお願いします。失礼しました」と、スタッフのお兄さんは帰った。
「吸えるまでまだッ! 時間がかかるようなのでッ! 注文しましょうッ!」と、シュルストロンがタブレットでメニューを出した。「自分はジャンボパフェとウォッカ・レモネードにします!」
「パンケーキ。トッピング、マカロン。アイスクリーム、ホイップ変更。カルーアミルク」と、クレトンも即決。
「……2人とも若いな」と、山田は老け込んでた。「聞いただけで胃もたれしそうだ」
「さっきまで元気だったじゃないですかッ! もうッ!」と、シュルストロンは山田をタッチペンでツンツン小突いた。「あッ! たい焼きがありますよッ! たい焼きがッ!
山さん好きですよねッ! たい焼きッ! 好きだから家に置いてあったんですよねッ!? 食べ切れなかったら自分が食べますッ!
ご馳走になって好きになりましたからッ! たい焼きッ!」
「たい焼きか……俺みたいな年寄りにはお似合いか」と、山田は気だるそう。
「たい焼きってッ! もしかしてッ! 年寄り臭いんですかッ!?」と、シュルストロン。
「たい焼き、和菓子。和菓子、高齢者、人気」と、クレトン。
「山さんッ! 美食に年齢は関係ありませんッ! だからたい焼きは注文しときますッ!」と、シュルストロンは確定ボタンをタッチした。「現にッ! 山さんは高齢者ではありませんッ!」
「高齢者とまでは言ってないんだけどな……」と、山田。「でも、俺はもう42歳だ。厄年だぞ。知ってるか? 悪いことが起きる年齢だぞ。身体にガタが来る年齢って意味だぞ。分かるか?」
「42歳ってッ! 自分とそんなに変わりませんッ! まだ若いですッ!」と、シュルストロンが励ます。
「冗談よせよ」と、山田はダラける。「どう見たって20そこそこってとこだろ」
「自分は36歳ですッ! 山さんとは6つしか違いませんッ!」と、シュルストロン。
「そーか、そーか36歳か。やっぱり年下じゃねえか。ん……? 36?」と、山田の頭の電卓がパチパチ音を立てた。「30代後半……アラサー……干支3週目? 本当に36歳?」
「もちろんですッ! クレトンも同い年ですよッ!」と、シュルストロン。
「36歳」と、クレトンは指を3本出してお次に6本出した。
「ウソだろ!?」と、山田は衝撃でガバっと起き上がった。




