23 泥酔
23 泥酔
「参ったな。この、ワンピースは本当はエロい論争、ラチが開かねえな……」と、山田はアゴをさする。
「当然ですッ! なぜならッ! イヤらしくないですからッ!」と、シュルストロンは鼻息をフンス、フンス出した。
「ワンピース、清楚」と、クレトンは右腕を突き上げて抗議する。
「エロいんだけどな……そうか! 女性の意見を聞かせれば!」と、山田はカウンターで飲んでいたプリン頭のお姉さんに目を付けた。「ちょっと! そこのおネエちゃん! 聞きたいことがあるんだけど!」
「おう。コスプレ外人女はべらせたヤベえオッサンがウチに何か用か?」と、プリン頭のお姉さんは気さくに答えた。
「俺はただのオッサンだし、あの子たちは正装だ」と、山田。「そんなことよりな、無地でロング丈ワンピースってエロいよな? エロいだろ?」
「そんなことないですよねッ!?」と、シュルストロン。
「意見! 正直! 率直! 開示!」と、クレトン。
「あ? 丈が長くて、柄は無地のワンピース? そりゃお前……」と、プリン頭のお姉さんはグビっとビールを飲んだ。「……ドスケベに決まってんだろ」
「そんなッ!」と、シュルストロン。
「不可解!」と、クレトン。
「ほらな! ほらな! ほらな!」と、山田は勝利のダンス。「ワンピースってエロいんだよ!」
「一番スケベだ。あんな服。かーっぺ!」と、プリン頭のお姉さんは痰を吐いた。「痴女だ、痴女。最早、痴女」
「どうしてですかッ! 全然ッ! 納得いきませんッ! それに痴女とは何ですかッ! 痴女ってッ!」と、シュルストロンはプリン頭のお姉さんに指をさした。
「くあー! カマトトぶってんじゃねえぞコノヤロー!」と、プリン頭のお姉さんは頭をかいた。
「あざといんだよ! ワンピースってのは! 清楚ってのはな! 媚びてんだよ! 要は! 男に! 結果として! だからドスケベなんだよ!」
「そうだ、そうだ! いいぞ!」と、山田が応援する。「清楚な娘が清楚なファッションはしない! 清楚は清楚にあらず! 真の清楚とは純真であり! 純真の本質は無知だ!
無知にワンピースは着こなせない! スーパーで売ってる、やたらと長文の英語と十字架がプリントされた謎のダサいロングTシャツが関の山だ!」
「いいえッ! 全体的に金髪になのにッ! 頭頂部だけ黒いあなたッ! あなたの方がよっぽどッ! 痴女ですッ!」と、シュルストロンはまた指をさした。
「痴女、服装、貴様」と、クレトンも指をさした。
「これはセクシーって言うんだ。日本語をもっと勉強しな」と、プリン頭のお姉さんは指をさし返した。
ファッションは、レザーベストにヘソ出しのタンクトップ。ホットパンツにロングブーツ。スタイルもボンッキュッボンでスーパーセクシーだ。「ワンピースって肌を隠してるだろ。
あれは男に脱がせてって宣言してるんだよ。でも、ウチははなっから肌を見せてる。つまりセクシーこそ清楚ってワケ。分かる?」
「よく言った!」と、山田がパチパチ拍手を送る。「見え過ぎてると逆にエロくないんだよ! 恋と一緒だ! 障害がある方が燃えるんだって!」
「詭弁! 詭弁!」と、クレトンがヤジを飛ばす。
「そんな理屈が通ってたまるかッ! たまりませんよッ! 表に出ましょうッ! 騎士の誇りッ! 祖国の誇りにかけてッ! 白黒付けますッ!」と、シュルストロンが親指で入口を示した。
「やってやろうじゃねえかコノヤロー!」と、プリン頭のお姉さんは乗った。
この時、店内にる人間の血中アルコール濃度は0.4% 全員、泥酔。スタッフはほろ酔い。




