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21 ワンピース論争勃発


   21 ワンピース論争勃発


 時刻は夕方。外は眩しいオレンジ色。山田たち一行はちょっと一杯のつもりがこんな時間になってしまった。


「そう言えばクレトンさんって、こっちの世界で飲み歩いてたって言ってたけど、どこらへん回ったの?」と、山田はお銚子10本目。瓶換算一升瓶。


「浅草」と、クレトンはメガ系サワー攻めで10杯目。


「浅草!?」と、山田は驚いた。「これまた……いや、しかし、ずいぶん渋い所を攻めたな」


「何を言いますかッ! 浅草はとてもいいですよッ!」と、シュルストロンはビールをサーバー一つ分飲み干した。


「そりゃいいよ。俺も好きだよ。あのエリアは」と、山田。「でも数ある土地の中からどうして浅草を選んだんだ?」


「んー」と、クレトンは悩んだ。「……赤玉ワイン」


「……赤玉ワイン。そうか! 甘い酒だ!」と、山田は手をポンっと叩いた。「そっちの国は甘い酒が名物だしな。きっと参考になると思ったんだな」


「半分、正解」と、クレトン。「赤玉、味、良。度数、悪」


「お酒以外にも理由はありますッ!」と、シュルストロン。「都合がいい街なんですッ! 浅草はッ!」


「どういうことだ? しかし甘いワインが飲みたくなってきたな」と、山田はメニューを見た。


「……甘くもなく渋くもないワインしかないな。しょうがない。甘ったるい紹興酒も頼むとするか」


「浅草、軟派、少数」と、クレトン。


「あーそういうことか」と、山田は腑に落ちた。


「基本的にッ! 潜入調査は観光客に紛れて行いますッ!」と、シュルストロン。「しかしッ! 浅草以外ですとッ! 声をかけられて邪魔なのですッ!」


「渋谷、最低」と、クレトン。


「じゃあ、その理屈だと六本木もダメだな」と山田。


「池袋、新宿、恵比寿、銀座。不可」と、クレトンは付けたした。


「一つ気になったんだが、その、潜入調査する時の服装ってどんな格好だ?」と、山田。「観光客らしく巨大バックパックにタンクトップとショートパンツか?」


「ワンピース」と、クレトン。


「ワンピース?」と、山田は足を組みなおした。「それはマズいな。いいファッションじゃない」


「そんなことありませんッ!」と、シュルストロンがジョッキをドンっと置いた。「我が帝マツズーム帝国のッ! 優秀なッ! 工作員がッ! 調査したのですッ! 

 女性はワンピースを着ればッ! 高級な宴席以外はッ! 乗り切れるとッ!」


「万能」と、クレトンもジョッキを強く置いた。


「一理ある」と、山田。「しかしだ。そんな格好だとナンパされる」


「ワンピースとナンパッ! どう関係するんですかッ! 無関係ですよッ!」と、シュルストロン。


「分かってないな」と、山田は頭をかいた。「清楚なお上りさんはナンパの標的になるんだよ」


「お上りさんだなんてッ! そんな失礼なッ! 自分はッ! 誇り高きッ! マツズーム帝国ッ! 近衛師団の突撃隊長ですよッ!」と、シュルストロンは憤った。


「クレトン。皇室直属」と、クレトンも憤った。


「……本当に分かってないな。工作員は何やってんだか……」と、山田は2人のことを思って防犯について語ることにした。

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