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20 オリジナルメニュー


   20 オリジナルメニュー


「おまっとーさむ!」と、スタッフのニイチャン」が颯爽とやって来た。「おとまむが、ポテトサラダ2つ、イカの塩辛、ピリ辛もやし。あつ! とりゃずらでーす!」


「甘いポテサラは本来ビールの苦味と合わない」と、山田は断言した。「さらに言えば、日本酒などの辛味のある酒とも合わない。レモン系の酸味とは合うが、それが苦手となると甘味と甘味が調和するコークハイが安牌だ」


「納得」と、クレトンはポリポリお新香を食べる。


「ですがッ!」と、シュルストロン。「コークハイはッ! 他の食べ物との相性がイマイチですッ!」


「そうだ」と、山田は認めた。「コークハイは中盤に気分転換に飲む酒だ」


「それはッ! つまりッ! ポテトサラダ以外を頼めッ! そう言うことですかッ!?」と、シュルストロンは憤った。「ですがッ! 自分はそれでもポテトサラダが好きですッ! 外せませんッ!」


「シュルストロン。故郷、名産、芋」と、クレトンが注釈を入れた。


「心配するな。このつまみたちが解決してくれる。要は甘すぎるなら辛味を増して調整すればいいだけのことだ」と、山田は取り皿に注文したポテトサラダ2つ、イカの塩辛、ピリ辛もやしを放り込んだ。

 さらにテーブルの上にあった塩とコショー、七味も少々。「ポテサラ単独でつまむなら3つだが、今回は塩辛にもやしも入るから2つだ。カネがなければ備え付けの調味料だけでいいが、こだわる方が断然うまい」


「……塩辛、旨味。もやし、食感?」と、クレトンは推測した。


「ご名答」と、山田は即席特製オリジナルポテサラの仕上げにかかってた。刺身醤油をほんの数滴。

「よし。完成だ」


 出来上がったその姿は、塩辛のピンクとピリ辛もやしのラー油の赤が混じった変な色味になっていた。


「本当にッ! 大丈夫なんですかッ!?」と、シシュルストロンは恐る恐る口に運んだ。「……美味しいッ!? ……これは美味ですッ! 美味ですよッ!」


「当然だ」と、山田はふんぞり返った。「この答えを導き出すのには何年かかると思ってる?」


「知りませんッ!」と、シュルストロンはゴクゴク、ビールを流し込む。「これはッ! ビールと良く合いますッ!」


「そうだろう。なんせ6年だ。居酒屋で正しく飲むには6年はかかるんだ。センスのいいヤツは大学の4年間で身に着けるが、普通はカネがないし……」と、山田は講釈を垂れ始めたが、


「おまっとーさむ!」と、スタッフのニイチャン。「カニみそ甲羅焼き、あおさの卵焼き、アジフライ、ハマグリの酒蒸し、フライドポテト、唐揚げ。でーす!」


「熱いッ!」と、シュルストロンは早速フライドポテトをハフハフ頬張る。


(……まあ、理屈抜きに腹いっぱい食べる方が正しい時もあるか)と、山田はこっそりカキフライとエビフライを追加注文した。


「……食欲、基本」と、クレトンは静かにハマグリの汁を飲んだ。

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