表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/52

12 身体で覚える


   12 身体で覚える


「冷たいも温かいもこれ一つ……か。石油なんて目じゃねえぞ!」と、山田は魔法石を手にして興奮に似た感動さえ覚えた。


「魔法石。熱量、力。念、自由、自在」と、クレトンが説明する。


「さあッ! 山さんも魔法石を握り込んで下さいッ!」と、シュルストロンが山田の手を包んだ。


「念さえ送ればッ! 何とかなりますッ!」


「コツとかあるのか?」と、山田。


「気持ちですッ!」と、シュルストロンは一言。


「根性!」と、クレトンも。


「……じゃあ……そうだな……よし。冷たくなれ!」と、山田は魔法石に念じた。「冷たくなるんだ!」


「もっとですッ! もっと念じるのですッ!」と、シュルストロンが激励を送る。


「念! 送信! 念! 送信!」と、クレトンも手に汗握り見守る。


 そうこうしていると山田の手の中からボヤーっと白い煙が出てきた。


「シュルさん! 出てきたぞ! さっきの白いの!」と、山田は嬉しそう。「このあとどうする!?」


「そのままッ! そのままッ!」と、シュルストロンはドウドウと山田を落ち着かせる。「あと少しッ!」


「ああ! もうムリだ! 痛え!」と、山田は魔法石を離した。コロコロ転がった魔法石は床に霜を張っていった。「ドライアイス以上だこれ!」


「初めてにしては上出来ですよッ!」と、シュルストロンは感心していた。


「感性、上等。入口、好調」と、クレトンも褒めた。


「どうも! しかし痛え!」と、山田は手のひらをフーフーしながら軽く頭を下げた。「凄えシロモノってのは分かったけど、だいぶ危ねえな」


「馴れですッ! 馴れッ!」と、シュルストロンが手のひらを見せつける。皮が厚くなった丈夫そうな手のひらだ。タコも少々。「痛みを知って学ぶのですッ!」


「懐古、追憶」と、クレトンは懐かしそうに目を細めた。


「そんなもんかね」と、山田は腕組み。


「しかし本当に初めてにしては上手くいった方ですッ! ほとんどの場合ッ! 爆発しますからッ!」と、シュルストロン。


「……え? 爆発までするの?」と、山田は動揺を隠せなかった。「そこまで危ないことを事前に何の説明もなくやらせたワケ?」


「大丈夫ですッ! みんな幼少期に親から習うぐらいのことですからッ!」と、シュルストロンは必死に弁明にかかる。「それにッ! ケガしても魔法石で治せますッ!」


「キズ薬にもなるのか!?」と、山田はたまげた。


「念じれば胃腸薬にもなりますッ!」と、シュルストロン。


「万能薬」と、クレトンもキッパリと。


「ここまで万能だと、もしかしたら水をワインに変えちまいそうだな」と、山田は何気なく言った。


「さすがにそれはッ!」と、シュルストロンは苦笑いだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ