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18、


読んでいただき、

有難うございます。


後半、主人公が襲われている

場面が出てきます。


苦手な方は、ご注意ください。




 学園に戻ってきた三人は、一旦別れた後、

マルグリットの研究室に集まっていた。


三人は小さなテーブルを囲んで、マルグリットが入れた

薬草茶を飲んでいた。


「ふぅ~なんか、やっと帰ってきたーって感じ?」


「いやぁ~隣だけど、自分の研究室(へや)じゃないから今一落ち着かないな……お、クッキー貰い」


「ああ、遠慮しないでグーフィーも食べて食べて……」


「う゛~……釈然としない」


グリフィスは両手で頭を抱えながら呻っていた。

 

「なにが?」


「何が?何がじゃないよ……俺、昨日登録したばっかの

新人(ペーペー)だぞ?それがいきなりCランクだよ?

しかもギルド長……英雄様の肝煎りで……」


「良かったじゃない……期待されてるわよ」


「でもさぁ~……ダックは?いきなり俺と同じCランクで

いいの?それに、マギィは何でAランクにならないの?」


「同じ依頼が受けられるからいいけど?何?イヤなの?」


「イヤじゃない、嫌じゃないけどさぁ、やっかんだり……」


「されるかもねぇ……」


マルグリットに言われて、グリフィスは心底嫌そうな顔を

していた。


「ところでさぁ、マギィ……マギィちゃん?って、英雄様と親しそうだったけど、どんな関係?」


「あ~、それ、それ……俺も聞きたい!」


「「聞かせてくれるよね(な!)」」


ドナルドとグリフィス、二人から問い詰められ、

マルグリットは頬を引き攣らせていた。


「親しいとか……そんな関係とか……特には無いんだけど」


「は?まさか……婚約者って……」


マルグリットに婚約者がいる事を知っているドナルドは、

ギルド長がその相手なのかと、斜め上な勘違いをし始めた。


「はぁ……どうしても聞きたいの?」


ドナルドとグリフィスは、うんうん、大きく頷いていた。


「あれは……」


マルグリットは遠い目をしながら、ポツポツと、話し出すのだった。






************







 マルグリットは学園に入ってすぐ、ハンターギルドに

ハンター登録をしていた。


それまで自由になる時間も、お金も無かったマルグリットは休みの度に依頼を受け、昇格試験を受けて、地道にランクを上げていた。


社交シーズンが終わる直前の連休に、マルグリットは

王都を出て東にある、王家直轄領までの乗合馬車の

護衛依頼を受けていた。


 乗合馬車の護衛は、Dランク以上のハンターならば、

単独でも受ける事が可能だった。


秋の収穫祭に合わせて客も多く、二台の馬車を

単独ソロハンター三名、三人組のハンターの、

計六名で護衛する事になっていた。


馬車が出発する前に、乗合馬車組合の担当者と、御者、

護衛に着いたハンター六名で、顔合わせを兼ねた

打ち合わせが行われた。


目的地である直轄領の街まで停車場は野営地を含めて

三か所で、外周門を出た後、客の乗り降りが無い場合は、

野営地までノンストップで移動する事に決まった。


 一台目の馬車には、三人組が護衛として乗り込み、

二台目の馬車には単独ソロハンターの三人……

マルグリット、無口なおっさん、チャラい男が護衛として

乗り込むことになった。


護衛依頼を受けたマルグリットは、直轄領にある温泉まで、乗車賃無料で報酬まで貰えると、軽い気持ちで依頼を引き受けていた。


初めて見る景色をよく見たかったマルグリットは、

自ら進んで、御者の隣の席に座った。


 外周門から野営地までの中間に、停車場があった。

此処で降りる客はいなかったが、直轄領の街まで新たに

二人の客を乗せる事になった。


箱馬車の内部が狭くなった為、マルグリットは御者の隣の席を無口なおっさんハンターに譲り、自分は箱馬車の屋根の荷物置き場に座る事にした。


屋根の上は風景もよく見えるし、チャラ男に話し掛けられる事も無い……

マルグリットは野営地に着くまで、上機嫌だった。


二台の乗合馬車は、途中乗客が増えただけで、何事も無く

無事に野営地に到着した。


野営地には、簡易な小屋と炊事場、馬繋ぎと水場が

設置されていた。


寝具は無くとも、固くて冷たい地面に横たわる事に比べれば床板の上で横になれるだけましだった。


警備面でも、小屋の周りを巡回すればいいので、

何もないところで野宿するよりも楽だった。


二人づつ四時間交代で、見張りと、小屋の周りの巡回をする事になった。


マルグリットは、無口なおっさんと組むことになった。


「Dランクのマギィです。よろしく……」


「ディール、ランクは忘れた……」


「はぁ?まだボケるに年には見えないけど……」


「ム……そういうお嬢ちゃんは、まだまだ母親が

恋しいんじゃ……」


「……親っていう親は、いません」


フンっと、鼻で荒々しく息を吐くと、マルグリットは

それ以降、ディールと名乗ったおっさんハンターと、

必要最小限しか、口をきかなかった。


 見張りを担当する四時間の間、一時間ごとに、

マルグリットとディール(おっさん)は小屋の周りを

見回り、周囲を警戒していた。


最後の巡回をしながら、マルグリットは溜息を

繰り返し吐いていた。


(はぁぁ~……何時から?何で客の中に赤表示が……)

マルグリットが見えない画面(ナビゲーター)を使って

小屋周辺を索敵すると、敵対表示の赤い点が二つ、

()()()()に表示されていた。


「はぁ~……どうしよう……」


「おい、若い娘っこが溜息ばっかつきやがって……

幸運が逃げるだろうが、ったく、悩み事か?ヨシヨシ

優しい()()()()が、

相談にのってあげよう……さぁさぁ、遠慮しないで……」


そう言うと、ディールと名乗ったハンターは、

マルグリットの頭をワシワシと撫でていた。


マルグリットは、ディールの逞しい身体に飛び込むと

太い首に両手を回してしがみついたのだった。


「お、ぉお?」


ディールは目の前の、娘と言ってもおかしくない程の

若い娘(おんなのこ)が、まさか抱き着いてくるとは

思っていなかった。


いきなり飛びつかれたからとはいえ、逞しい体躯をした

ディールは、ぐらつく事も無くマルグリットをしっかりと

受け止めていた。


「はぁ……何か、悪だくみしてますよね?

()()()()()()()()……ギルド長?」


マルグリットは誰にも聞かれない様、ディールの耳元に

口を寄せて囁くと、離れるために首に回した腕を解いた。


「ふっ……そうかそうか、いやぁ~モテる男は辛いなァ~」


そう言うとディールは、マルグリットの体を拘束する様に

左腕をマルグリットの背中に回し、俵の様に肩に乗せて、

担ぐのだった。


「丁度見張りも交代だし、馬車で休むとしようぜ、二人でな……おぅ、お前ら、邪魔すんなよ」



「ヒューヒュー、やるなぁ~オッサン」


「いいねー、次はオレの相手してぇ~」


「ふっ、そりゃー無理だな……何せ、()()()は俺にゾッコンだからな……」


ディールはニヤニヤしながら、見張りの交代に来た

ハンターに言うと、俵担ぎにしたマルグリットの尻を

撫でていた。


「かぁ~……うらやましぃねぇ」


「終わったら、俺っちの()()()も相手してくれよぉ~」


「「ギャハハハハ……」」


交代に来た二人は、ハンターというよりも、ただのゴロツキ

の様に野卑な態度で品の無い笑いをしていた。


()()()()()()だ、手を出したら殺す……」


「ヒューヒュー、お熱いねぇ……」


「要らなくなったら、ってその頃にゃ()()()()か……」



「お前ら……とっとと見回りに行け…馬車に近づくんじゃねぇぞ」


ディールは威圧を込めて、交代に来たガラの悪い、三人組のメンバー二人に言い放っていた。


「あ、あぁ……お、おい、行くぞ……」


「ッチ……」


二人組の内の一人は、マルグリットに執着している様だった。


二人組が遠ざかると、ディールはマルグリットを担いだまま箱馬車の中に入ると、扉の鍵を閉めた。


「ヨッ、ットット……」


ディールは肩に担いでいたマルグリットを下ろし、

目の前に立たせると、耳元で囁いた。


「お嬢ちゃん、もうち~っと肉付けないと、

抱き心地悪くていけねぇ……」


「んのぉ、セクハラ親父ぃい」


マルグリットはディールの顔目掛けて、上段回し蹴りを

繰り出していた。


ディールはフッ、と鼻で笑いながら、マルグリットの足を

手で受け止めると、足首を掴んで引き寄せた。


「フッ……つーかまえたぁ」


「な!は、離せ!は……」


「駄目駄目、暴れるなぁ~抵抗しても、煽るだけだぞ~」


ディールは楽しそうにマルグリットを床に引き倒すと、その細い身体に覆い被さった。


ディールはマルグリットの脚の間に、片脚を挟み込み、

無理矢理脚を開かせた。


「このぉ、離せぇ……」


マルグリットは迫ってくるディールの顔を殴りつけようと、両手を突き出した。


ディールはマルグリットの両手を、頭の上で一つにすると、左手で押さえつけ、右手で腰のベルトを外し始めていた。


「や……めぇ……」


「フッ……いいぜぇ……ゾクゾクしてきやがる……」


ディールはズボンを脱ぎすて、下着姿になると、

マルグリットのローブの紐を解き、首筋に顔を埋めた。





 若い女ハンターがハンター仲間に襲われている様子を、

馬車の扉の隙間から、目を血走らせながら何者かが見ていた。




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