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11、

読みに来ていただき

有難うございます。


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有難うございます。



 マルグリットが起動した転移魔法陣が光り輝き、

発動すると、エリュシオン、クリストファー、

グリフィス、転移魔法を既に経験しているドナルドでさえ、

眩暈に似た感覚に襲われていた。



「よしっ、転移完了。皆、大丈夫……じゃないみたい?」


元気なのは、マルグリット一人だけ……後の四人は、

ふらつき、その場にへなへなと、座り込んでしまった。


「うぅ……頭が……っぐ……」


「……」


エリュシオンは頭を抱え、クリストファーは青黒い顔をして

無言で何かを耐えていた。


「はぁ~目がまわるぅ……」


グリフィスの目は、漫画だったら確実に、渦巻模様になっている事だろう……

マルグリットはつい、脳内でその姿を思い描いてしまった。


「グーフィー……」


笑いを堪えてグリフィスを見るマルグリットの目は、

熱を帯びている様にも、見えた。


四人の中で、逸早く復活したのはドナルドだった。


「マギィ、そろそろ初めてもいいのかな?」


ドナルドは、マルグリットからもらった“魔法の杖”を、

使ってみたくて、気持ちが高ぶっている様だった。


「ちょっと待ったぁ~!」


荒ぶりそうなドナルドの尻に、マルグリットは容赦なく、

タイキックをぶちかましていた。


「ぐはぁっ……」


ドナルドは、前のめりになって、地面に激突しそうだった。


「ダック、早くやってみたいのはわかるけど、慣らしてからじゃないと、初めてなんだから、ダメだよ」


それに、口止めの約束もしないと……と、続けようとしていたマルグリットに、エリュシオンが冷気を放ちながら、

低く、冷酷な表情で話し掛けていた。


「お、前ら……()()をしようと?……」


エリュシオンの問い掛けに、マルグリットはチッと、

舌打ちして、やっぱ面倒だったな……と、関係の無かった

二人を連れて来たことを、後悔していた。


マルグリットは、未だ座り込んでいるエリュシオンの傍らにしゃがみ込むと、よろけた振りをしてクリストファーに近づき思いっきり頭突きを食らわせていた。


「痛っう~……」


クリストファーは、涙目で頭を抱えていた……


「ゴメンナサイ……ヨロケテシマッテ」


(クゥ~……思った以上に石頭メ……)

思いっきりぶち当たった頭突きの代償は大きかった。


マルグリットは両手で頭を撫で揉み解し、至近距離から

クリストファーの顔を見上げていた。


「!」


クリストファーは、潤んだ目(頭突きの代償)で見上げてくるマルグリットの顔を見て、言葉を失っていた……


エリュシオンは目の前で、親友で幼馴染のクリストファーが

恋に落ちるのを見た……




(何を今更……名ばかりでも、婚約者ではないか……)

エリュシオンは右手を固く握りしめ、ギリギリと歯を、

食いしばっていた。



エリュシオンとクリストファーの、そんな様子など、

歯牙にもかけないマルグリットは二人に迫ると、

これから見る事、聞くこと、知る事、他言無用です、と

口止めをするのだった。


「もし、他人に漏らそうとしたら……死よりも辛い目に、

あいますよ?」


うふふふ……と、マルグリットは意味深に微笑んだ。


その様子を見ているドナルドは、マルグリットの後ろに

吹き荒れるブリザードを見た気がして、身震いしていた。


マルグリットは射貫くような目でドナルドを一瞥すると、

立ち上がろうと、腰を浮かせた。


立ち上がろうとするマルグリットに気が付いたドナルドが、

手を差し出していた。


ドナルドの手を取り立ち上がると、マルグリットはエリュシオンに手を差し出し、立ち上がる様にと促した。


クリストファーは、マルグリットがエリュシオンに手を

差し出したのをみて、何かを失くした様な気持ちになっていた。


マルグリットはグリフィスに近づくと、ピアスの使い方の

説明を始めた。


「グーフィー、左耳に付けたピアスの使い方だけど、

左手でピアスに触れて、防御障壁発動って、声に出しても、

出さなくてもいいわ」


マルグリットのいう事を素直に聞いたグリフィスは、

左耳のピアスに触れて、防御障壁発動と、声に出した。


マルグリットは腰のベルトに下げてあるペン型の魔道具を

手に取った。


「メイス」


学園で使う時には、クルクル回してサイズを変える様にして

使っていたが、それは見せかけのパフォーマンスにすぎなかった。


手に持ち、形状を思い浮かべるだけで、“魔法の杖”は

その形を変える事が出来た。しかもペンとしても使えた。


マルグリットは、手にしていたメイスを、地面に立て、

グリフィスに向けて、倒れるように手を放した。


グリフィスは自分に向かって倒れてきたメイスを

受け止めようと手を出そうとした。


「動かないで!受け止めたらダメ……」


マルグリットに大きな声で言われたグリフィスは、

ビクッと肩をすくめて、その場で固まっていた。



(受け止めるな……って、受け止めなかったら、

棍棒の先の、凶悪な部分がぶつかって、痛い……よなぁ)

そんな事を考えながらも、グリフィスは素直に、

マルグリットのいう事を聞いていた。


グリフィスめがけて倒れて行ったメイスは、グリフィスに

接触する前に、見えない壁に阻まれ、そのまま地面に

滑り落ちていった。


凶悪なメイスの突端が当たって、痛い思いをすると、

覚悟していたグリフィスは、顔の前で腕を交差し、

身構えていた。


いつまで待っても衝撃が来ないのを不思議に思い、

そっと目を凝らしてみると、メイスが横向きになって、

足元に落ちていた



(目閉じてたら、ダメじゃん……)

「グーフィー、もう一度メイスを倒すけど……

自分の周りに、見えない壁がある様に考えて、

今度は目を閉じないで、真直ぐ見てて……」


マルグリットは、グリフィスが頷いた瞬間に、今度は

勢いをつけ、グリフィスめがけてメイスを倒した。



(目閉じない……見えない壁……)

「ぅあっ!」


グリフィスめがけて、勢いよく倒れてきたメイスは、

見えない()()()に阻まれ、空中で

一瞬制止したあと、ゆっくりと滑り落ちて行った。


「よっし、グーフィー、解除って言って……」


グリフィスは言われるまま、解除と声に出していた。


マルグリットはグリフィスに近付くと、囁いた。


「今のが防御障壁……必要な時以外は解除しないと、

女の子の手も握れなくなるからね……」


グリフィスは何も言わずに、ただ首を上下に振っていた。


「それで、さっきのは、まだまだ弱い障壁だから、

打ち込まれたら、防げないと思うよ」


「え?」


「後でまた、説明するね。待ってて……」


そう言うと、マルグリットはドナルドの所へと、

行ってしまった。


エリュシオンとクリストファーは、目の前で起こっている

出来事が、呑み込めないでいた。



次は、アヒルのターン……

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